強迫性障害(強迫症) :トップ    
監修: 上島国利 昭和大学
松永寿人 兵庫医科大学 精神科

概要

疾患のポイント:
  1. 強迫性障害(強迫症)(obsessive-compulsive disorder、OCD)とは、強迫観念ないし強迫行為など、強迫症状を特徴とする精神科疾患である。
  1. 一般人口中の生涯有病率は1~2%程度とされる。
  1. 強迫症状は、反復的・持続的な思考や衝動、イメージに捉われる「強迫観念」と、手洗い、確認などの繰り返しや儀式行為、呪文を唱える、数を数えるなど心の中の行為を含む「強迫行為」からなり、両者は併存することが多い。
  1. 一般的にOCD患者は、この様な観念・行為の無意味さや不合理性、過剰性を十分に認識し、何とか制御しようと抵抗を試みているものの、不安や苦痛に圧倒され、思うようにならず、大きな葛藤やストレスが生じている。
 
診断: >詳細情報 
  1. OCDの診断では、以下が必須である。
  1. 強迫観念ないし強迫行為など、強迫症状が存在(多くの場合、両者が共存)。
  1. 経過中に、強迫症状の過剰性や不合理性を認識したことがある(子どもには適用されない)。(注;DSM-5では、洞察の必要性に関する基準は削除されている。)
  1. 強迫症状が強い苦痛を生じ、時間を浪費(1日1時間以上)させ、日常や社会的、職業的機能に著しい障害を来している。
  1. 強迫症状の出現や内容が、他の精神障害や身体疾患、物質使用などによるものではない。
  1. その他、DSM-5では、症状の不合理性に関する洞察を「病識が十分または概ね十分」、この信念がおそらく正しいと思っている「病識が不十分」、この信念の正当性を完全に確信している「病識が欠如した・妄想的な信念を伴う」、のいずれに該当するかを特定する必要がある。さらにチック障害の生涯罹病があれば「チック関連」と特定する。
  1. また、思考の内容が、その障害の特異的病理に限定的な場合、OCDとは診断されない(体重やカロリーへの執着[摂食障害]、恐怖する対象や状況へのとらわれ[恐怖症]、顔など外見について想像上の欠陥へのとらわれ[身体醜形障害]など)。


重症度・予後: >詳細情報 

評価・治療の進め方

※選定されている評価・治療は一例です。症状・病態に応じて適宜変更してください。

初期治療例
  1. 治療は基本ガイドライン案に沿って行う。アルゴリズム
  1. OCD患者に対する薬物療法の第1選択はSSRIである。 解説  解説 
  1. わが国ではパロキセチン(パキシル)とフルボキサミン(ルボックス、デプロメール)がOCDの適応を有しており、前者では30~50mg/日、後者では150~250mg/日程度が目標用量となる。
  1. 抗不安薬の使用は急性期不安の制御などを要する状態にできるだけ限定し、漫然と用いない。 解説 
  1. パロキセチン(パキシル)の安全性調査では、副作用を理由にした服薬中断は10%程度にとどまり、重篤なもの(白血球数増加、浮動性めまい、記憶障害、振戦、躁病および射精障害など)の出現率は1%程度であった。 解説 
  1. 患者の状態によって睡眠薬等の薬剤を追加する。
○ SSRIは、下記の1)か2)の有効性に差はなく、いずれかを用いる。対象者の年齢や性別、副作用、あるいは妊娠などによる中断の可能性を参考に選択する。

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薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 片山志郎 以下、林太祐、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、
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尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
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(詳細はこちらを参照)

米国精神医学会による治療ガイドライン
日本におけるOCDの治療ガイドライン案
強迫のメカニズム
強迫メカニズムへの薬物療法の効果
強迫メカニズムへのCBTの効果
Y-BOCS
著者校正済:2018/07/23
現在監修レビュー中


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