今日の臨床サポート 今日の臨床サポート

著者: 松永寿人 兵庫医科大学 精神科

監修: 上島国利 昭和大学

著者校正/監修レビュー済:2022/10/12
患者向け説明資料

改訂のポイント:
  1. 定期レビューを行い、主に薬物療法において加筆・修正を行った。

概要・推奨   

  1. SSRIの反応性を評価する際には、まずはこれを十分な量、そして十分な期間投与することが推奨される。反応性の評価には通常Y-BOCS総得点の変化、あるいはClinical Global Impressions-Improvement Scale(CGI-I)を用いる(推奨度2)
  1. SSRI抵抗性を疑う場合、その投与量、投与期間に加え、患者の薬物アドヒアランスが良好かを確認する事が推奨される(推奨度2)
  1. 抗不安薬はあくまでも、SSRIの効果発現までの間、あるいは急性期の不安制御のため、補助的に用いるべきであり、できるだけ限定的使用とすることが推奨される(推奨度2)
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病態・疫学・診察 

疾患情報  
  1. 一般人口中の強迫性障害(強迫症)(obsessive-compulsive disorder:OCD)の生涯有病率は1~2%程度と考えられる。
  1. 通常は強迫観念と強迫行為からなる。
  1. 強迫観念とは、「自分の心の産物として認識されるもので、少なくとも経過中の一時期には、無意味ないし不適切、侵入的なものと体験され、無視や制御を試みても絶えず心を占める思考や衝動、イメージ」である。
  1. 強迫行為は、「主には観念に伴い高まる苦痛や不安を、予防・緩和したり、恐ろしい出来事を避けたりすることを目的とし、あるいは厳密に適用しなければならない規則に従って、そのばかばかしさや、過剰であることを自ら認識し止めたいと思いつつも、駆り立てられるように行う反復的行為や心の中の行為(祈る、呪文を唱える、数を数えるなど)」である。
  1. OCDと診断するには、以下を確認する必要がある。
  1. 強迫観念ないし強迫行為など、強迫症状が存在(多くの場合、両者が共存)。
  1. 経過中に強迫症状の過剰性や不合理性を認識したことがある(子どもには適用されない)。(注;DSM-5では、洞察の必要性に関する基準は削除されている。)
  1. 強迫症状が強い苦痛を生じ、時間を浪費(1日1時間以上)させ、日常や社会的、職業的機能に著しい障害を来している。
  1. 強迫症状の出現や内容が、他の精神障害や身体疾患、物質使用などによるものではない。
  1. OCDのサブタイプについて、DSM-IV-TRでは、経過中おおむね一貫し、症状の不合理性の「洞察に乏しいもの」を特定する必要がある。一方、2013年5月に改訂されたDSM-5では、チック症の生涯病歴を有する場合を「チック関連」と特定する。
  1. さらにDSM-5では、病識の程度を、「病識が十分、またはおおむね十分」、「病識が不十分」、「病識が欠如/妄想的な信念をともなう」のいずれに該当するか特定する必要がある。
問診・診察のポイント  
  1. 現存する強迫症状の内容や重症度の評価とともに、今までの既往、治療歴、家族歴を確認する。

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薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 伊勢雄也 以下、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光および日本医科大学多摩永山病院 副薬剤部長 林太祐による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、 著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
※同効薬・小児・妊娠および授乳中の注意事項等は、海外の情報も掲載しており、日本の医療事情に適応しない場合があります。
※薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、エルゼビアジャパン編集部によって記載日時にレセプトチェックソフトなどで確認し作成しております。ただし、これらの記載は、実際の保険適応の査定において保険適応及び保険適応外と判断されることを保証するものではありません。また、検査薬、輸液、血液製剤、全身麻酔薬、抗癌剤等の薬剤は保険適応の記載の一部を割愛させていただいています。
(詳細はこちらを参照)
著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
松永寿人 : 未申告[2024年]
監修:上島国利 : 特に申告事項無し[2024年]

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強迫性障害(強迫症)

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