発達障害(自閉症・ADHD) :トップ    
監修: 上島国利 昭和大学
岡田俊 名古屋大学 親と子どもの心療科

概要

疾患のポイント:
  1. 発達障害(神経発達症)とは、人生早期より認められる脳機能の偏りにより、物事のとらえ方や行動パターンが一定の様式を示し、日常生活に支障を来す状態をいう。発達障害には、知的障害(知的能力障害)、自閉スペクトラム症(広汎性発達障害)、注意欠如・多動症(ADHD)、コミュニケーション症、特異的言語症、チック症などの運動症、学習症などが含まれる。
 
診断:
  1. 自閉症は、人生早期から認められる、以下の症状で診断される。
  1. (1)対人コミュニケーションと対人相互作用の障害
  1. 対人関係の障害(視線、表情、ジェスチャーを使ったやりとりの障害、仲間関係が構築できない、興味のあるものを他人と共有することの欠如、対人的・情緒的な相互性の欠如)
  1. コミュニケーションの障害(ことばの遅れ、ことばを使った相互的なやりとりの障害、言外のニュアンスや冗談・比喩がわからない、ごっこ遊びやみたて遊びの欠如)
  1. (2)行動、関心、活動の限局性、反復的パターン
  1. 限局した関心と活動(通常よりも限局した対象に強い関心を持つ、常同的な振る舞いを好む、こだわりが強い)
  1. 感覚過敏または鈍麻、環境の感覚的側面への異常な関心
  1. コミュニケーションの障害が軽く、2歳までに初語、3歳までに二語文が認められる場合にはアスペルガー障害、上記(1)(2)の徴候が認められるが、自閉症、アスペルガー障害の診断基準を満たさない場合を特定不能の広汎性発達障害と呼ぶ。しかし、この三者に本質的な相違はないとの見方が優勢であり、これらを合わせて自閉スペクトラム症と表現される。
  1. 注意欠如・多動症(ADHD)は、12歳以前から認められる学校、家庭、職場などの複数の場面で認められる発達水準に不相応な不注意、多動性-衝動性によって診断される。不注意と多動性-衝動性の両方が認められる場合には混合型の病像、不注意または多動性-衝動性のどちらか一方が優勢に認められる場合には、それぞれ不注意優勢型の病像、多動性-衝動性優勢型の病像と呼ばれる。
  1. 除外診断には、画像診…

評価・治療の進め方

※選定されている評価・治療は一例です。症状・病態に応じて適宜変更してください。

診断のための評価例・症状の評価例
  1. 構造化面接に基づく診断方法として以下が挙げられる。
  1. PARS: 日本自閉症協会が作成した保護者面接による診断・支援ニーズの評価のための質問紙。
  1. PDDAS: 栗田廣の作成した標準化面接による広汎性性発達障害の診断のための評価面接手法。
  1. ADI-R:養育者に本人が幼少期の頃の発達を聴取し、自閉スペクトラム症の診断の有無を評価する構造化面接。
  1. ADOS-2:検査場面における検査者と本人のやりとりをもとに対人行動を評価し、自閉スペクトラム症の診断を行う。年齢により異なるモジュールを用いる。
  1. ASRS: 成人期ADHDのスクリーニングを実施し、さらに陽性例においては追加の回答と生育歴の聴取等も加えて行い、診断する。
  1. CAADID: 本人に対する構造化面接を実施し、成人期ADHDの診断を行う
  1. 知能能力障害の有無、発達の偏りを把握する。以下のものが有用である。
  1. [小児の場合] WPPSI-WISC-Ⅳ、新版K式発達検査、田中ビネー知能検査
  1. [成人の場合] WAIS-Ⅲ、新版K式発達検査、田中ビネー知能検査
  1. 小児ではWPPSI-ⅢまたはWISC-Ⅳ、新版K式発達検査、田中ビネー知能検査のいずれか1つを行う。成人ではWAIS-Ⅲを実施するのが通例であるが、知的能力障害がある場合などは、新版K式発達検査、田中ビネー知能検査を行うこともある。
  1. 発達障害の適応行動の評価には、以下を用いる。
  1. Vineland-Ⅱ適応行動尺度:発達障害の適応行動を評価する
  1. 感覚過敏の評価には、以下を用いる。
  1. [3~82歳]SP感覚プロファイル:保護者が質問票に回答する
  1. [11~82歳]AASP青年・成人感覚プロファイル:本人が質問票に回答
  1. [0~36月]ITSP: 乳幼児感覚プロファイル:保護者が質問票に回答
  1. 発達障害の症状の評価には、以下を用いる
  1. [小児・成人]ADHD-RS:面接評価によるADHD症状の重症度評価
  1. [6~18歳]Conners3日本語版:保護者記入または自己記入(8-18歳)によるADHD症状の評価
  1. [18歳以上]CAARS日本語版:自己記入または観察者評価によるADHD症状の評価
  1. [2歳半〜18歳]SRS-2対人応答性尺度:自閉スペクトラム症における対人性障害の程度の評価
  1. [18歳以上]AQ自己記入による自閉スペクトラム症の傾向の強さの評価
  1. 生育・発達歴、生活・問題歴、家族歴を把握する。また、問診の実施、母子手帳、ホームビデオ、保育園・幼稚園の連絡帳、学校の通知表も参考にする。生育歴の確認が最も大切である(鑑別診断も含めて)。対人関係の障害、コミュニケーションの障害、限局した関心と活動に重点をおき生育・発育歴、生活・問題歴、現在症、相談・治療歴、家族歴を評価する。
○ 小児ではWPPSI-ⅢまたはWISC-Ⅳ、新版K式発達検査、田中ビネー知能検査のいずれか1つを行う。成人ではWAIS-Ⅲを実施するのが通例であるが、知的能力障害がある場合などは、新版K式発達検査、田中ビネー知能検査を行うこともある。

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薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 片山志郎 以下、林太祐、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、
著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
※薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、エルゼビアジャパン編集部によって記載日時にレセプトチェックソフトなどで確認し作成しております。ただし、これらの記載は、実際の保険適用の査定において保険適用及び保険適用外と判断されることを保証するものではありません。また、検査薬、輸液、血液製剤、全身麻酔薬、抗癌剤等の薬剤は保険適用の記載の一部を割愛させていただいています。
(詳細はこちらを参照)

不注意、多動性-衝動性が疑われる患者への対応
著者校正/監修レビュー済
2018/06/06

改訂のポイント:
  1. 子どもの注意欠如・多動性障害(ADHD)の診断・治療ガイドライン第4版
に基づき改訂を行った。