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心臓神経症

著者: 稲光哲明 にゅうわ会及川病院 心療内科

監修: 今井靖 自治医科大学 薬理学講座臨床薬理学部門・内科学講座循環器内科学部門

著者校正/監修レビュー済:2020/01/17

概要・推奨  

  1. 胸痛を主訴に循環器科を受診する患者の30~60%は心臓神経症である。一方で、正確な診断がつけられず、専門的な治療を受けられないまま経過している患者が多い(O、推奨度2)。
  1. 胸痛を主訴とする患者で心臓神経症を積極的に疑う症例としては、若い女性で強い不安を訴えて多彩な自律神経症状を伴っている場合である。器質的心疾患患者との不安の違いは、心臓への注意集中と症状に対する不安の程度が強いことである(O、推奨度2)。
  1. 冠動脈疾患患者でも不安やうつを伴うことが多く、不安やうつは冠動脈疾患のリスク因子であり、合併症であり、予後不良因子であることから治療介入が必要となる(O、推奨度2)。
  1. 心臓神経症においては交感神経機能が亢進した状態にある(O)。β遮断薬は心臓神経症の交感神経機能亢進状態を抑制するので、一定の効果が望める(R、推奨度3)。
  1. 心臓神経症には抗うつ薬が有効である。SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)は、効果と忍容性でTCA(三環系抗うつ薬)に勝るため、心臓神経症でも第1選択薬である。しかし、すべての抗うつ薬において共通した使用上の注意事項がある(M、推奨度1)。
  1. 心臓神経症にBZD(ベンゾジアゼピン系抗不安薬)は有効であるが、耐性や依存性のため使用は限定されるべきである。社会生活に支障をきたしている場合に、1カ月をめどに減量していくか、週に2、3回以下で不安発作時に使用する頓服薬として処方する(推奨度2)。
  1. 心臓神経症の治療においては「良好な治療関係」、「わかりやすい検査結果の説明」に加えて、一般心理療法(傾聴、受容、支持や病態の理解を促す心理面のアプローチ)が重要である(推奨度2)。
  1. 認知行動療法(CBT)が不安症状の軽減や行動の拡大に有効であり、その長期予後は薬物療法を越える(M、推奨度2)。
  1. 心臓神経症の短期予後は比較的よいが、長期予後では再発も多く、問題が残されている(O、推奨度2)。
薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 片山志郎 以下、林太祐、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、
著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
※薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、エルゼビアジャパン編集部によって記載日時にレセプトチェックソフトなどで確認し作成しております。ただし、これらの記載は、実際の保険適用の査定において保険適用及び保険適用外と判断されることを保証するものではありません。また、検査薬、輸液、血液製剤、全身麻酔薬、抗癌剤等の薬剤は保険適用の記載の一部を割愛させていただいています。
(詳細はこちらを参照)

改訂のポイント:
  1. 定期レビューを行い、以下の点について一部改訂を行った。
  1. BZDは睡眠薬としても、抗不安薬としても、即効性、有効性、安全性の面から、現在でも汎用されている薬剤である。しかし、最近、本剤の長期間投与により、たとえその使用量が適正であっても、精神依存や身体依存が形成されることが問題となってきた。さらに、転倒・骨折のリスク、認知機能低下のリスク、せん妄誘発のリスクなども懸念されており、BZDの安易な長期の処方を避けるべきであると注意喚起が下された。すでに、平成26年にBZDを含む向精神薬の多剤併用に保険診療上の規制が実施されていたが、平成30年にはBZDの漫然とした長期処方に規制が加えられている。
  1. これまで心臓神経症の治療薬として、SSRIと同等の重要な薬剤として扱われていたBZDだが、その使用法を制限するとともに、使用に際しての注意や患者への教育が必要となった。一方で、一般心理療法の重要性がさらに強まってきている。
  1. 今回の改定では、そうした診療面の実情に合わせて、すでに発表された類縁疾患のガイドラインをもとに作成した治療のアルゴリズムを改訂した。
  1. 今後、BZDの使用は控える方向になると考えられるので、それに代わる、重症例に対する治療法や、現在すでにBZDを使用中の患者に対する減量法などについて、エビデンスが揃い次第追加していく。


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