非ST上昇型心筋梗塞 :トップ    
監修: 代田浩之 順天堂大学大学院医学研究科循環器内科学
宮内克己 順天堂大学 循環器内科

概要

疾患のポイント:
  1. 非ST上昇型心筋梗塞とは、不安定プラークの破綻あるいは血管のびらんに血栓形成が生じ冠動脈の内腔閉塞を来す急性冠症候群(ACS)の1病態であり、心電図上はSTの持続的上昇を示さないが、心筋に障害を認め心筋逸脱酵素であるトロポニンT、トロポニンIあるいはCPK、CPK-MBの上昇を認める状態である。症状としては20分以上継続する胸痛を認めることが多い。また、心電図はST低下あるいはT波の陰転化等を認めることもあるが変化のないこともある。
  1. 非ST上昇型心筋梗塞の評価方法にトロポニンが加わり、頻度は増加傾向にある。なお、 不安定狭心症 、 ST上昇型心筋梗塞 の対応については別項を参考にしてほしい。
 
診断: >詳細情報 
  1. ポイント:
  1. 非ST上昇型心筋梗塞は、 不安定狭心症 、 ST上昇型心筋梗塞 と共に、急性冠症候群(ACS)の一の病態である。これらの病態は類似した病態でもあり、また不安定狭心症は非ST上昇型心筋梗塞、ST上昇型心筋梗塞に悪化をすることもある。したがって、非ST上昇型心筋梗塞の評価は、急性冠症候群の評価と並行して以下のように行う。
  1. 急性冠症候群の急性期対応のまとめ: >詳細情報 
  1. 急性冠症候群のリスクの評価:
  1. 急性冠症候群のリスクの評価のポイント:
  1. 問診・診察、心電図、心筋障害のバイオマーカーによる最初のリスク評価を行う。
  1. 問診・診察:
  1. 問診・診察としては胸痛の種類や、既往歴、リスク因子(1:糖尿病、2:高血圧、3:喫煙、4:高コレステロール血症、5:冠動脈疾患の家族歴)などに焦点をあわせて確認を行う。
  1. 心電図:
  1. 心電図による評価を来院10分以内に行う。ST上昇型心筋梗塞は、2つの連続する誘導のSTの≥1 mm(0.1 mV)の上昇または、V2 または V3誘導ののSTの≥2 mm (0.2 mV)の上昇、新規発症の左脚ブロックにて診断される。非ST上昇型心筋梗塞は、STの低下またはQ波を伴わないT波の陰転化を…

評価・治療の進め方

※選定されている評価・治療は一例です。症状・病態に応じて適宜変更してください。

診断のための検査
  1. 非ST上昇型心筋梗塞は、心電図変化(ST低下、T波陰転化)を確認し、血液マーカーでトロポニン陽性となれば診断はほぼ確定する。 エビデンス 
  1. 鑑別疾患として、他にトロポニン陽性となる疾患である、心筋炎や大動脈解離、肺血栓症、心不全などに起因する心筋障害が考えられ、問診や心電図所見により鑑別を行う。
  1. 病院へ胸痛で来院するも、症状が消失し、心電図変化なく、トロポニンも陰性であれば、後日運動負荷を行う事で問題がない事が多い。一方、症状・心電図変化を認めた場合は、リスク評価に基づいて緊急または待機的に冠動脈造影を行う。
  1. 大動脈解離や肺血栓塞栓症を疑う場合はD-dimerや胸部動脈造影などによる評価の追加を検討する。
○ 診断のためには1-3)のいずれかと4)による評価を行い、さらに5)を追加する。症状が安定する場合は6)-8)を考慮する。また、大動脈解離や肺血栓塞栓症を疑う場合は9)10)を追加する。

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薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 片山志郎 以下、林太祐、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、
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(詳細はこちらを参照)

急性冠症候群(ACS)の初期対応アルゴリズム
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SYNTAXスコアと米国心臓病学会による冠動脈の解剖セグメント
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著者校正/監修レビュー済
2018/02/28

編集部編集コンテンツ:
 
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