急性ニコチン中毒 :トップ
監修: 林寛之 福井大学医学部附属病院
花木奈央 京都大学 大学院医学研究科 医療経済学分野

概要

疾患のポイント:
  1. 急性ニコチン中毒とは、主にタバコを誤飲・誤食したことにより、めまい、縮瞳、下痢、腹痛、錯乱、昏睡、けいれんなどの症状が生じることである。
  1. 日本中毒情報センターに寄せられる情報によると、小児の誤飲・誤食事故で最も多いのがタバコによるものである。
  1. 紙巻きタバコ1本につき10~30mgのニコチンを含有しており、消化管を介して吸収されたニコチンが交感神経系、副交感神経系に作用し中毒症が発現する。乳幼児では、タバコ1本が中毒量となる。経口摂取による嘔吐発現量は2~5mg、致死量は乳幼児10~20mg、成人40~60mgである。
  1. 固形のタバコ誤飲によるニコチン中毒は、比較的まれである。液体にタバコをつけ込んだ場合は、ニコチン濃度が上がり、中毒に至る危険がある。
 
診断:アルゴリズム >詳細情報 
  1. タバコ・タバコ関連食品を摂取した病歴があり、顔面蒼白、発汗、嘔吐などの症状が認められる場合は、急性ニコチン中毒を考える。
  1. 血清中のニコチン濃度の測定が診断の補助となるが実臨床では一般的ではない。
 
重症度・予後評価: >詳細情報 
  1. 軽症~中等症では、めまい、発汗、縮瞳、散瞳、悪心・嘔吐、下痢、腹痛、高血圧などの症状が出現する。
  1. 重症患者では、錯乱、不穏・興奮、昏睡、けいれん発作、呼吸筋麻痺、徐脈、低血圧など生命の危機に直結する症状を呈する。
 
治療: >詳細情報 
  1. 治療は呈している症状に対する対症療法である。
  1. けいれん発作を誘発することがあり、催吐は禁忌である。摂取したタバコの量が少量である場合は、胃洗浄は不要である。大量摂取1時間以内であれば胃洗浄を考慮する。
  1. 呼吸、循環動態のモニタリングを開始する。補液を開始し、嘔吐に伴う水分や電解質の喪失を補い、尿量を維持する。また、除脈に対してアトロピンを、けいれん発作が持続している場合は、ジアゼパムの静注、またはミダゾラムの静注または筋注を行う。
  1. 摂取後2~6時間経過観察を行い、症状が出現しない場合は帰宅が可能である。
 
専門医相談のタイミング: >詳細…

評価・治療の進め方

※選定されている評価・治療は一例です。症状・病態に応じて適宜変更してください。

全身状態の評価例
  1. 嘔吐などの症状が出現している場合は、全身状態を評価する必要がある。
  1. 全身状態の評価においては、脱水や電解質以上の有無やその重症度を血液検査によって評価が可能である。

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薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 片山志郎 以下、林太祐、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、
著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
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急性ニコチン中毒の初診時のアルゴリズム
カラシタネ/キダチタバコ
著者校正/監修レビュー済
2016/08/05