暴れる患者への対応 :トップ    
監修: 林寛之 福井大学医学部附属病院
小淵岳恒 福井大学医学部附属病院 救急部

概要

ポイント:
  1. 「暴れる患者」といっても様々であり、必ずしも「精神疾患」だけではない。治療可能な身体疾患を見逃さない。バイタルサインに鍵が隠れていることもある。
  1. 必ず陰に隠れている「身体疾患」を想定しながら対応を行う。すぐに精神科へ紹介するのではなく、初診の患者さんであるほど冷静に検査・加療を行う必要がある。
  1. 暴れる患者に出会った際には必ず「応援」を呼ぶことが必要である。特に男性職員(研修医、コメディカル、事務職員、警備員)の力が必要になることが多く、最低でも5人の力が必要になる。
 
非薬物的対応:
  1. 言い分を同意、または確認する。喧嘩はしない。
  1. 必要に応じて身体抑制を行う。最低5人(頭部1人、四肢に1人ずつ)で対応する。
 
薬物抑制:(表<図表>参照)
  1. 暴れる患者に対して治療を行う際に、まず落ち着かせることが必要であり、その際には薬物を使用する。暴れる患者の場合、輸液路が無ければまず筋注からアプローチする。静注の場合、暴れるため針刺し事故になりやすい。もし輸液路があれば静注で行う。
  1. セレネース5mg 筋注、静注・・・ただし精神科患者が発熱がある場合悪性症候群の可能性があるため、ドルミカムを使用する。セレネースで錐体外路症状が出る場合、予防をしたい場合は、アキネトンを使用する。
  1. ドルミカム 5mg筋注、2.5~5mg静注 呼吸抑制に注意してモニタリングする。アルコール離脱、ベンゾジアゼピン離脱の場合はドルミカムで鎮静する。
  1. なお、ドロレプタン(ドロペリドール)の方がセレネース(ハロペリドール)よりも効果が迅速であった。 エビデンス 
  1. ドルミカム5mg投与した群とドロレプタン10mgを投与した群、ドルミカム投与群のうち3人は一時的に補助換気が必要となり、1人は気管内挿管が必要であった。セレネース、ドロレプタン投与時は共にQT延長を認めるため心電図の評価が必要である。 エビデンス   エビデンス 
  1. 1つのメタ解析では、認知症症状が出現している高…

評価・治療の進め方

※選定されている評価・治療は一例です。症状・病態に応じて適宜変更してください。

初診時に重要な血液検査・画像評価例
  1. 「暴れる患者」の背景には「身体疾患」が隠れていることが多い。
確実に行いたい血液検査として
  1. 血糖値
  1. 電解質
  1. 甲状腺機能
可能であれば、血中アルコール濃度、各種ビタミン(B1、B2、B12など)
  1. 絶対に針刺し事故にならないように細心の注意を払いながら採血を行う。
  1. また、画像評価としては、慢性硬膜下血腫を確実に評価することが大事である。
  1. 特に外傷歴(1~2カ月以内の高齢者頭部外傷)のあるときには評価が必須となる。
○ 意識レベルの変動、低下、バイタルサインの異常がある場合、血液検査を行う。慢性硬膜下血腫の半数は精神症状で来院するので、頭部CTの検査閾値は低くする。

追加情報ページへのリンク

  • 暴れる患者への対応に関する詳細情報
  • 暴れる患者への対応に関する評価・治療例(詳細) (1件)
  • 暴れる患者への対応に関するエビデンス・解説 (13件)
  • 暴れる患者への対応に関する画像 (3件)
薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 片山志郎 以下、林太祐、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、
著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
※薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、エルゼビアジャパン編集部によって記載日時にレセプトチェックソフトなどで確認し作成しております。ただし、これらの記載は、実際の保険適用の査定において保険適用及び保険適用外と判断されることを保証するものではありません。また、検査薬、輸液、血液製剤、全身麻酔薬、抗癌剤等の薬剤は保険適用の記載の一部を割愛させていただいています。
(詳細はこちらを参照)

暴れる患者初診時の8つのステップ
暴れる患者へのマネージメント
救急外来における鎮静法
著者校正/監修レビュー済
2017/05/31

編集部編集コンテンツ:
 
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