脊髄圧迫所見 :トップ    
監修: 吉峰俊樹 大阪大学 脳神経外科
高橋敏行 藤枝平成記念病院 脊髄脊椎疾患治療センター

概要

所見のポイント:
  1. 脊髄の存在する脊柱管は限られた空間であり、脊椎や椎間板、各靱帯の加齢変化などの諸因子が脊髄圧迫の原因となる。圧迫性病変により神経組織は生体力学的負担や血液循環不全を生じ、脊髄障害による臨床症候を呈する。このような状態を圧迫性脊髄症と称し、四肢体幹の運動感覚不全や膀胱直腸障害などを来す。
  1. 加齢変化以外の脊髄圧迫要因として脊椎骨折、先天性奇形、脊椎腫瘍、脊髄腫瘍、脊椎感染症、脊髄血管奇形などが挙げられる。
 
症状の診断: >詳細情報 
  1. 詳細な愁訴や病歴の聴取により、脊髄障害高位を推察する。筋力低下やしびれ、感覚低下などの程度や範囲、脊椎近傍の自発痛や運動時痛、膀胱直腸障害などの自覚症状を確認する。頚椎病変では動的影響を受けやすく、頚部運動に伴う症状変動を確認することも重要となる。
  1. 頸髄症に伴う特有の手指症状をmyelopathy handと称し、手指伸展障害や巧緻機能低下を特徴とする。検出にはfinger escape sign(両手を前に出し、指揃えしたときに小指内転保持が困難となる)や10秒テスト(手指の握り開き動作、いわゆる“グー”、“パー”が10秒間に20回に達しない)が有用となる。また、脊髄障害高位より下位の範囲に長索路症状(long tract sign)を来す。長索路症状を疑う所見として、両下肢痙性亢進や深部腱反射亢進、病的反射出現が挙げられる。
  1. 高位診断に際し、脊髄機能の正常領域と障害領域の境界を判定することが肝要となる。
  1. 神経学的高位診断のアルゴリズム:アルゴリズム
  1. 神経学高位診断の指標:<図表>
 
検査方針: >詳細情報 
  1. 診察に際しては、病歴聴取や神経学的所見、特に運動感覚障害の領域を正確に把握することが重要である。また、随伴する頚部痛や背部痛、膀胱直腸障害、姿勢による症状の変動などの有無を確認する。
  1. 診察で、脊髄障害高位が推定できたら、該当脊椎レベルを中心に各種画像評価を行う。画像診断法により、各疾患の診断能力が異なるが、脊椎脊髄評価においてX線、CT、MRIは標準的検査となりつつある。

評価・治療の進め方

※選定されている評価・治療は一例です。症状・病態に応じて適宜変更してください。

頚椎の標準的検査例
  1. 頚椎変性疾患による脊髄症が疑われる場合
○ 頚椎変性疾患による脊髄症が疑われる場合、1)2)の検査をルーチンに行う。必要に応じて3)を行う。

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薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 片山志郎 以下、林太祐、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、
著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
※薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、エルゼビアジャパン編集部によって記載日時にレセプトチェックソフトなどで確認し作成しております。ただし、これらの記載は、実際の保険適用の査定において保険適用及び保険適用外と判断されることを保証するものではありません。また、検査薬、輸液、血液製剤、全身麻酔薬、抗癌剤等の薬剤は保険適用の記載の一部を割愛させていただいています。
(詳細はこちらを参照)

神経学的高位診断のアルゴリズム
頚部脊椎管前後径の計測
動的因子による頚髄圧迫所見の変化
頸椎椎間板ヘルニア
頚椎後縦靱帯骨化症
頚椎黄色靱帯石灰化症
頚髄腫瘍
胸椎黄色靱帯骨化症
胸椎破裂骨折
転移性脊椎腫瘍
著者校正/監修レビュー済
2016/08/05