眼筋麻痺 :トップ    
監修: 沖波聡 倉敷中央病院眼科
大平明彦 若葉眼科病院

概要

症状のポイント:
  1. 眼筋麻痺とは視器に属する筋肉に麻痺を生じている状態を元来は指す用語である。しかし、実践的には眼球や眼瞼を動かして周辺視することが十分できない状態や左右眼を協調して動かすことができない状態(厳密には、外眼筋麻痺)のことを指していることが多い。それに対して眼球内の毛様筋や虹彩筋が麻痺している状態を、内眼筋麻痺と区別して呼んでいる。
  1. 眼筋麻痺を発症した患者は、  複視 (物が2つに見える)を訴えて受診することが多い。一般医としては対応に慣れていない所見・症状であり、適切な専門医に紹介することが勧められる。(アルゴリズム参照。アルゴリズム

緊急対応: >詳細情報 
  1. 眼筋麻痺自体が緊急処置を要することはまれである。しかし、眼筋麻痺を生じるに至った原因疾患が緊急対応を必要とすることはある。その代表は、 未破裂脳動脈瘤 による動眼神経麻痺である。特に、瞳孔散大を伴う場合は、脳動脈瘤の検査をすぐに勧める必要がある。
  1. 劇症型MG(呼吸筋麻痺の恐れ)、ギランバレー症候群(呼吸筋麻痺の恐れ)、頭蓋内・眼窩内感染症、小児の眼窩壁骨折( 眼外傷 )による眼筋麻痺も検査と治療を急いだほうがよい場合がある。

症状治療・診断的治療: >詳細情報 
  1. 治療も原因疾患の治療が優先され、麻痺による自覚症状(複視、注視困難)に対しては当面は対症療法を行う。
  1. 複視(片眼遮蔽(眼帯をする等)、プリズム眼鏡等)、注視麻痺(頭位の調整)、眼瞼下垂(lid-crutch眼鏡、テーピングなどによる挙上)、瞳孔・調節異常(羞明には(低濃度)縮瞳点眼薬を試みる)を行う。
 
診断へのアプローチ:(身体診察 >詳細情報 ・鑑別疾患: 鑑別疾患 ・アルゴリズム:アルゴリズム
  1. 眼球運動は、上位中枢からの運動指令が末梢神経を経由して、眼球に付着する外眼筋に届き、眼球を回転…

評価・治療の進め方

※選定されている評価・治療は一例です。症状・病態に応じて適宜変更してください。

初診時の検査
  1. 詳細な問診と視診で初期診断過程はほとんど終了する エビデンス 。残りの検査を列挙すれば以下のようである。必要に応じて無駄のない取捨選択をして検査を行う。
○ どの眼筋の動きが異常なのかをまず同定する。発症様式や随伴症状などからどの部位の障害で麻痺が発現しているのかを、眼窩から末梢神経、中枢へと、さかのぼる順番で検討する。併せて、障害発生の原因となりうる諸々の疾患を想定し、下記の血液検査などで原因疾患を絞っていくことになる。

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リファレンス

img  1:  Causes and prognosis in 4,278 cases of paralysis of the oculomotor, trochlear, and abducens cranial nerves.
 
PMID 1575221  Am J Ophthalmol. 1992 May 15;113(5):489-96.
img  2:  Cause and prognosis of neurologically isolated third, fourth, or sixth cranial nerve dysfunction in cases of oculomotor palsy.
 
PMID 18369697  Jpn J Ophthalmol. 2008 Jan-Feb;52(1):32-5. doi: 10.1007・・・
img  3:  Aetiology and outcomes of adult superior oblique palsies: a modern series.
 
PMID 18327160  Eye (Lond). 2009 Mar;23(3):640-4. doi: 10.1038/eye.2008・・・
薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 片山志郎 以下、林太祐、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、
著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
※薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、エルゼビアジャパン編集部によって記載日時にレセプトチェックソフトなどで確認し作成しております。ただし、これらの記載は、実際の保険適用の査定において保険適用及び保険適用外と判断されることを保証するものではありません。また、検査薬、輸液、血液製剤、全身麻酔薬、抗癌剤等の薬剤は保険適用の記載の一部を割愛させていただいています。
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著者校正/監修レビュー済
2016/08/05