今日の臨床サポート 今日の臨床サポート

著者: 吉田正貴 桜十字病院、国立長寿医療研究センター

監修: 松田公志 関西医科大学附属病院 病院長

著者校正/監修レビュー済:2024/07/24
参考ガイドライン:
  1. 日本排尿機能学会日本泌尿器科学会:過活動膀胱診療ガイドライン第3版
  1. 日本サルコペニア・フレイル学会/国立長寿医療研究センター:フレイル高齢者、認知機能低下高齢者の下部尿路機能障害に対するガイドライン2021
  1. 日本排尿機能学会:過活動膀胱・神経因性膀胱に対するボツリヌス療法適正使用指針
  1. 日本排尿機能学会日本泌尿器科学会:夜間頻尿診療ガイドライン第2版
  1. 日本排尿機能学会日本泌尿器科学会:女性下部尿路症状診療ガイドライン第2版
  1. 日本泌尿器科学会男性下部尿路症状・前立腺肥大症診療ガイドライン
 
患者向け説明資料

改訂のポイント:
  1. 定期レビューを行い、症例を加筆した。

概要・推奨   

  1. 過活動膀胱の診療は「過活動膀胱診療ガイドライン第3版」に基づいて行う。診療アルゴリズムは一般医家向けと泌尿器科専門医向けがある。
  1. 過活動膀胱の治療薬として、以下の薬剤は推奨される(推奨度2)
  1. 抗コリン薬:プロピベリン(バップフォー)、ソリフェナシン(ベシケア)、イミダフェナシン(ステーブラ、ウリトス)、トルテロジン(デトルシトール)、フェソテロジンフマル(トビエース)
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  1. β3作動薬:ミラベグロン(ベタニス)、ビベグロン(ベオーバ)
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  1. 前立腺肥大症の治療薬のα1遮断薬 [タムスロシン(ハルナール)、シロドシン(ユリーフ)、ナフトピジル(フリバス)] とPDE5阻害薬(タダラフィル(ザルティア)は過活動膀胱症状も改善するので推奨される(推奨度2)
  1. α1遮断薬単独治療で過活動膀胱の症状が残存する男性患者に対して、抗コリン薬またはβ3作動薬の併用は推奨される(推奨度2)
  1. β3作動薬と抗コリン薬の併用療法は過活動膀胱に対する2次薬物療法として推奨される(推奨度2)

病態・疫学・診察 

疾患情報  
  1. 過活動膀胱とは、尿意切迫感を主症状とし、通常はこれに頻尿、夜間頻尿を伴い、場合によっては切迫性尿失禁を合併する状態を総称して過活動膀胱と呼ぶ。過活動膀胱(OAB)では、蓄尿中の膀胱平滑筋の不随意収縮(排尿筋過活動)をしばしば伴う。
  1. 最新の国内の疫学調査では、40歳以上の成人の13.8%(男性16.6%、女性11.0%)に過活動膀胱を認める。
 
過活動膀胱(OAB)の有病率

2023年に全国で実施された排尿に関する調査によると、OABの条件を「尿意切迫感が週1回以上」に加えて、以下のいずれかの症状(昼間の頻尿(昼間8回以上)、夜間頻尿1回以上、如意切迫感、切迫性尿失禁)を有するものと定義した場合、40歳以上の男女の13.8%にOABの症状がみられるという結果になった。この有病率は加齢とともに上昇した。
また、50歳代以上では、女性に比べて男性のOAB患者が多いことから、OABと前立腺肥大症との関連が示唆されている。

出典

Mitsui T, Sekido N, Masumori N, Haga N, Omae K, Saito M, Kubota Y, Sakakibara R, Yoshida M, Takahashi S.
Prevalence and impact on daily life of lower urinary tract symptoms in Japan: Results of the 2023 Japan Community Health Survey (JaCS 2023).
Int J Urol. 2024 Jul;31(7):747-754. doi: 10.1111/iju.15454. Epub 2024 Mar 21.
Abstract/Text OBJECTIVES: A large-scale nationwide epidemiological survey of lower urinary tract symptoms (LUTS) was conducted via the Internet in 2023 to clarify the current prevalence of LUTS and evaluate its impact on daily life in Japan.
METHODS: The survey was conducted among individuals aged 20-99 years old who had anonymously registered with a Japanese online research company. The survey consisted of 48 questions related to LUTS and daily life.
RESULTS: A total of 6210 participants (3088 females and 3122 males), who were selected by probability sampling based on the composition of the Japanese population (age range: 20-99), were recruited. The overall prevalence of LUTS was 77.9% among the subjects aged ≥20 and 82.5% among those aged ≥40. The prevalence of LUTS differed between the sexes and trends toward significant increases in prevalence with age were seen for almost all LUTS. Furthermore, the prevalence of overactive bladder (OAB) was 11.9% among the subjects aged ≥20 and 13.8% among those aged ≥40. This study also showed that LUTS negatively affected daily life. However, the percentage of subjects who visited a physician to receive treatment for LUTS was low, including for participants with a history of treatment for LUTS, although this increased with age.
CONCLUSION: The prevalence of LUTS, including OAB, increased with age and negatively affected daily life. However, since the percentage of patients who visit a physician to receive treatment for LUTS remains low, further educational activities regarding LUTS are necessary.

© 2024 The Authors. International Journal of Urology published by John Wiley & Sons Australia, Ltd on behalf of The Japanese Urological Association.
PMID 38514235
 
  1. なお、下部尿路症状とは、蓄尿症状、尿排出症状(尿線途絶、尿勢低下、腹圧排尿など)、排尿後症状(残尿感など)の総称である。
  1. 蓄尿症状には、尿意切迫感以外に、頻尿、夜間頻尿、切迫性尿失禁が含まれる。
  1. 尿の貯留に伴い膀胱壁が伸展すると、これが尿意となって大脳に伝達される。この膀胱壁から大脳に至る求心性情報伝達が機能的に亢進すると、尿意切迫感という病的感覚の出現につながる。
  1. 原因として、さまざまな神経疾患、前立腺肥大症に代表される下部尿路閉塞、女性における骨盤底の脆弱化、加齢などが挙げられるが、原因不明の特発性も少なくない。
  1. 同様の症状を呈し得る他疾患(尿路感染症、膀胱結石、膀胱癌など)を鑑別する必要があり、このためには尿検査が必須である。
  1. 適切な治療により過活動膀胱の症状改善が可能である。
問診・診察のポイント  
  1. 尿意切迫感の有無を適切に聞き出す。尿意切迫感とは急に起こる強い尿意で、それを抑えるのが困難な病的知覚である。

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オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 伊勢雄也 以下、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光および日本医科大学多摩永山病院 副薬剤部長 林太祐による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
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著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
吉田正貴 : 特に申告事項無し[2025年]
監修:松田公志 : 特に申告事項無し[2024年]

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