今日の臨床サポート

B型肝炎(診断)

著者: 田中榮司 信州大学医学部地域医療推進学教室

監修: 持田智 埼玉医科大学 消化器内科・肝臓内科

著者校正済:2022/06/23
現在監修レビュー中
患者向け説明資料

概要・推奨   

  1. B型慢性肝炎やHBVキャリアの診断にはHBs抗原を測定する。HBs抗原検査試薬には一般測定用と精密測定用があり、前者は経済的であるが感度の点でやや劣るのでB型肝炎の診断には後者を用いることが推奨される(推奨度2)
  1. B型急性肝炎の診断にはHBs抗原に加えIgM-HBc抗体を測定する。B型急性肝炎とキャリアからの急性発症との鑑別には、IgM-HBc抗体の抗体価が有用である(推奨度1)
  1. B型肝炎ウイルスは9つの遺伝子型に分けられている。遺伝子型による臨床的差異が報告されており、B型肝炎ではこれを調べることが勧められる(推奨度2)
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薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 伊勢雄也 以下、林太祐、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、 著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
※同効薬・小児・妊娠および授乳中の注意事項等は、海外の情報も掲載しており、日本の医療事情に適応しない場合があります。
※薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、エルゼビアジャパン編集部によって記載日時にレセプトチェックソフトなどで確認し作成しております。ただし、これらの記載は、実際の保険適応の査定において保険適応及び保険適応外と判断されることを保証するものではありません。また、検査薬、輸液、血液製剤、全身麻酔薬、抗癌剤等の薬剤は保険適応の記載の一部を割愛させていただいています。
(詳細はこちらを参照)
著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
田中榮司 : 未申告[2022年]
監修:持田智 : 講演料(MSD(株),ギリアド・サイエンシズ(株),東レ(株),アッヴィ合同会社,大日本住友製薬(株),エーザイ(株),大塚製薬(株),あすか製薬(株)),研究費・助成金など(ヤンセンファーマ(株),EAファーマ(株),(株)MICメディカル,アッヴィ合同会社,EPSインターナショナル(株),ギリアド・サイエンシズ(株)),奨学(奨励)寄付など(東レ(株),アッヴィ合同会社,あすか製薬(株),エーザイ(株),大日本住友製薬(株),EAファーマ(株))[2022年]

改訂のポイント:
  1. 定期レビューを行った(変更なし)。

病態・疫学・診察

疾患情報(疫学・病態)  
  1. B型肝炎の診断は急性肝炎、慢性肝炎(肝硬変を含む)、キャリアに分けて考える。
  1. 急性肝炎ではB型以外のウイルス肝炎、肝炎ウイルス以外のウイルスによる肝炎、薬物性肝障害、急性肝炎様の病態を示す他疾患などを鑑別する必要がある。
  1. B型急性肝炎ではB型肝炎ウイルス(HBV)キャリアの急性増悪との鑑別も必要である。
  1. 慢性肝炎ではC型慢性肝炎、自己免疫性肝炎、薬物性肝障害、脂肪肝疾患、アルコール性肝障害などを鑑別する必要がある。
  1. HBVに持続感染しているが肝炎を発症していない患者を、無症候性キャリアと呼ぶ。このなかで、特にウイルスの活動性が十分低下し肝炎を発症しない患者を非活動性キャリアと呼ぶ。
  1. B型肝炎ウイルスキャリアの病期とその病態:表<図表>
  1. 血中HBV DNA量の評価と病期:図<図表>
  1. B型急性肝炎は感染症法の5類感染症に分類され、診断した医師は、7日以内に最寄りの保健所に届け出る必要がある。
 
  1. 近年、B型急性肝炎では遺伝子型Aが増えている。遺伝子型Aは従来日本に存在するB型やC型に比較して慢性化しやすいので、注意が必要である(推奨度1)
  1. 近年、B型急性肝炎は性行為感染症として増加しており、国際交流の増加や性の多様化が深く関与していると考えられる。B型急性肝炎の遺伝子型に関しては、従来B型慢性肝炎においては少数(2%未満)しか存在しないとされていた遺伝子型Aの頻度が高いことが報告されている。特に、都市部では遺伝子型Aの割合が多く、要因として国際交流の機会の増加、性風俗もしくは違法薬物の乱用が盛んになっていることが考えられた。この遺伝子型Aによる急性肝炎の特徴として、わが国に主に存在する遺伝子型BやCに比べて、肝炎の程度は軽いが、遷延化あるいは慢性化する可能性が高いという報告があり、わが国において、慢性肝炎においても遺伝子型Aが蔓延することが危惧されている。実際、その傾向はみられており、2005~06調査では2000~01年の調査と比べ遺伝子型Aが約2倍(3.5%)に増加している。
問診・診察のポイント  
  1. 急性肝炎では肝炎ウイルスの感染経路を推定する。

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文献 

Jay H Hoofnagle, Edward Doo, T Jake Liang, Russell Fleischer, Anna S F Lok
Management of hepatitis B: summary of a clinical research workshop.
Hepatology. 2007 Apr;45(4):1056-75. doi: 10.1002/hep.21627.
Abstract/Text Chronic hepatitis B is caused by persistent infection with the hepatitis B virus (HBV), a unique DNA virus that replicates through an RNA intermediate produced from a stable covalently closed circular DNA molecule. Viral persistence appears to be due to inadequate innate and adaptive immune responses. Chronic infection has a variable course after several decades resulting in cirrhosis in up to one-third of patients and liver cancer in a proportion of those with cirrhosis. Sensitive assays for HBV DNA levels in serum have been developed that provide important insights into pathogenesis and natural history. Therapy of hepatitis B is evolving. Peginterferon induces long-term remissions in disease in one-third of patients with typical hepatitis B e antigen (HBeAg) positive chronic hepatitis B, but a lesser proportion of those without HBeAg. Several oral nucleoside analogues with activity against HBV have been shown to be effective in suppressing viral levels and improving biochemical and histological features of disease in a high proportion of patients with and without HBeAg, at least in the short term. What is uncertain is which agent or combination of agents is most effective, how long therapy should last, and which criteria should be used to start, continue, switch or stop therapy. Long-term therapy with nucleoside analogues may be the most appropriate approach to treatment, but the expense and lack of data on long-term safety and efficacy make recommendations difficult. Clearly, many basic and clinical research challenges remain in defining optimal means of management of chronic hepatitis B.

PMID 17393513

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