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改訂のポイント:
  1. 『フォーカスアップデート版PCPS/ECMO/循環補助用心内留置型ポンプカテーテルの適応・操作』『IMPELLA適正使用指針』を参照に、Impellaを含むそれぞれの機械補助装置の病態ごとの使い分けに関して加筆・修正を行った。
  1. 『重症心不全に対する植込型補助人工心臓治療ガイドライン』を参照に、DTを含めた植込型補助人工心臓を用いた最新の治療戦略に関して加筆・修正を行った。

概要・推奨   

  1. 内科治療に抵抗性を示す急性心不全に際しては速やかに機械的補助循環を考慮すべきである(推奨度2)
  1. ただし機械的補助循環を行う際には同時に出口戦略も模索する必要がある(推奨度2)
  1. 併存疾患のために中長期的な予後が見込めない患者に対して機械的補助循環治療を行うべきではなく、その適応は慎重に検討すべきである(推奨度4)

概要 

機械的補助循環  
  1. 「血行動態が不安定な心不全に対して、(原則として)一時的に心臓のポンプ機能を補助・代行し、心臓のポンプ失調の回復を待つ方法」を循環補助という。
  1. 循環補助の第1選択は薬物療法であるが、心原性ショックを含む重症心不全が薬物治療抵抗性となった場合には、機械的補助循環(mechanical circulatory support)を速やかに導入する必要となる。
  1. 機械的補助循環法の中には、圧補助法であるIABP(Intra-aortic balloon pumping)と流量補助法である静-動脈バイパス(veno-arterial bypass、VAB)や補助人工心臓(ventricular assist device、VAD)などがある。
  1. 近年、経皮的左室補助ポンプImpellaが臨床応用され、盛んに用いられるようになってきた。VADに関しては、以前はポンプが体外に設置される体外設置型VADのみがわが国で使用されていたものの、2011年からは植込型VADが積極的に使用されるようになった。
 
経皮的心肺補助
  1. 経皮的心肺補助(Percutaneous Cardio-Pulmonary Support、PCPS)は、VABを経皮的カニュレーションにより行うシステムであり、機械的補助循環を簡便かつ迅速に実施できるシステムであり、循環補助のみではなく呼吸補助が可能である。
  1. 海外でECMO(Extra-Corporeal Membrane Oxygenation)と呼称されているものとほぼ同義であり、わが国でもECMOと呼称されることが多くなってきた。呼吸補助のみを行うためのVV ECMOや、心肺両方の補助を行うためのVA ECMOなど、さまざまな回路が使用されている。
  1. 近年、経皮的左室補助ポンプImpellaが積極的に使用されるようになった。ECMOと比較して、侵襲度が小さい点や左室に対する後負荷が軽減される(ECMOは後負荷が増大する)点に利点がある一方で、ECMOよりは補助流量が少ない点や人工肺を通過しないために酸素化を促進する機能を持たない点が欠点である。

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オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 伊勢雄也 以下、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光および日本医科大学多摩永山病院 副薬剤部長 林太祐による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
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著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
今村輝彦 : 特に申告事項無し[2024年]
監修:辻田賢一 : 特に申告事項無し[2024年]

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経皮的心肺補助の概要・適応

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