今日の臨床サポート 今日の臨床サポート

著者: 長濱通子 神戸ほくと病院皮膚科・美容皮膚科

監修: 戸倉新樹 掛川市・袋井市病院企業団立 中東遠総合医療センター 参与/浜松医科大学 名誉教授

著者校正/監修レビュー済:2022/11/09
患者向け説明資料

改訂のポイント:
  1. 本邦でいう扁平母斑の臨床像は多様であり、海外での扁平母斑(Nevus Spilus)とは異なることに注意。
  1. 乳幼児期は色素性母斑の色調が薄く茶色のこともあるため、扁平母斑との鑑別が必要である。

概要・推奨   

  1. 日本では、神経線維腫症1型(neurofibromatosis type 1: NF1)にみられる淡茶色の類円形の色素斑をカフェオレ斑と称し、その他の淡茶色から褐色の様々な形態の色素斑を扁平母斑と総称しているが、欧米ではNFによる色素斑を区別せず、淡茶色から茶色の色素斑をカフェオレ斑と呼ぶことが多い。
  1. 小児期に6個以上の扁平母斑がある場合は神経線維腫I型を疑う(six spots criteria)。
  1. 効果の定まった治療はない。レーザー治療の効果は不定なので、治療を希望する場合は専門医に紹介することが推奨される。

病態・疫学・診察 

疾患情報(疫学・病態)  
  1. 扁平母斑は、比較的境界明瞭な淡茶色から茶褐色の色素斑で、出生時に見られる場合もあるが、出生後出現し顕著となる場合も多い。
  1. 本邦では、神経線維腫症1型(neurofibromatosis type 1: NF1)にみられる淡茶色の類円形の色素斑をカフェオレ斑と称し、その他の淡茶色から褐色の様々な形態の色素斑を扁平母斑と総称しているが、欧米では淡茶色から茶色の色素斑をカフェオレ斑と呼ぶことが多い。
  1. 扁平母斑(カフェオレ斑)の色素斑の内部に点状の色調の濃い黒褐色斑が散在するものを、点状集簇性母斑(speckled lentiginous nevus)と呼ぶが、欧米ではこれを扁平母斑と呼称しており注意が必要である。
  1. 粘膜を除いてどこにでもできる。
  1. 形状は類円形のものや辺縁が平滑あるいはギザギザした不整形を呈するものもある。
  1. 大きさは数mm程度のものから20cmを超える大型のものまでさまざまである。
  1. 色調も明るい茶褐色から濃い茶褐色までみられる。
  1. 単発性の扁平母斑は健常人の10~30%にみられる。白人に比べて有色人種のほうが有病率が高い。
  1. 身体の成長に応じて増大するが、成長が止まるとそれ以上増大しない。
  1. 通常は数個以内であるが、1.5cm以上(小児では0.5cm以上)の類円形の淡茶色斑が6個以上ある場合はNF1である可能性が高い。
  1. その他、Albright症候群、Watson症候群、Bloom症候群などのまれな症候群でも多発性の扁平母斑(カフェオレ斑)がみられる。
  1. 組織学的には、メラノサイトの増加はないか、軽度であり、表皮基底細胞層のメラニン色素が増加している。
  1. 紫外線曝露により、色調が濃くなる。
  1. 扁平母斑は悪性化することはないが、点状集簇性母斑は悪性黒色腫の発生例が報告されている。
問診・診察のポイント  
  1. 扁平母斑の多くは乳幼児期に明らかとなるので、発生時期を確認する。

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著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
長濱通子 : 特に申告事項無し[2024年]
監修:戸倉新樹 : 講演料(サノフィ(株),日本イーライリリー(株),アッヴィ合同会社,協和キリン(株))[2024年]

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扁平母斑

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