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著者: 伊藤泰介 浜松医科大学 皮膚科学教室

監修: 戸倉新樹 掛川市・袋井市病院企業団立 中東遠総合医療センター 参与/浜松医科大学 名誉教授

著者校正/監修レビュー済:2025/01/15
患者向け説明資料

改訂のポイント:
  1. 外用剤として0.75%メトロニダゾールゲル(1日2回)が保険適用となっている。
  1. 『尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン 2023』を参照に、下記の点を加筆・修正した。
  1. 臨床的分類の名称を変更した
  1. 治療をアップデートした
  1. 増悪因子として長時間のマスク着用が報告されている(Choi ME, et al. Ann Dermatol. 2024 Apr;36(2):81-90.)。
  1. 酒さ患者ではQOLが低下しており(Woo YR, et al. J Cutan Med Surg. 2023 Nov;27(6):601-607, Chernyshov PV, et al. J Eur Acad Dermatol Venereol. 2023 May;37(5):954-964.)、患者の精神面、社会生活面に大きな影響を与えていることを理解して診療にあたることが大切である。

概要・推奨   

  1. 酒さは顔面を主座とした慢性炎症性皮膚疾患であり、寛解・再燃を繰り返す
  1. 酒さは臨床的に4型(A. 紅斑・毛細血管拡張型、B. 丘疹膿疱型、C. 瘤酒皶・鼻瘤、D. 眼型)に分類される。
  1. 紅斑症状に対しては、増悪因子の回避に務める(推奨度1
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  1. 閲覧にはご契約が必要となります。閲覧にはご契約が必要となりま す。閲覧にはご契約が必要となり
  1. 外用剤は、0.75% メトロニダゾールゲル(1日2回)が保険適用である。その他、アゼライン酸軟膏(クリニック限定化粧品)、レチノイド外用剤(ディフェリン)、タクロリムス(プロトピック)などが挙げられるが、いずれも日本では保険適用外である。

病態・疫学・診察 

疾患情報(疫学・病態)  
  1. 参考文献:[1][2]
  1. 酒さは、顔面を主座とする炎症性疾患である。
  1. 酒さの主症状は、紅斑(いわゆる赤ら顔)、ニキビ様の丘疹・膿疱症状、鼻瘤に代表される肉芽腫変化、眼瞼結膜や眼球結膜の充血・炎症症状の4主症状がある。
 
酒さの4病型

酒さは臨床的に4型(A. 紅斑・毛細血管拡張型、B. 丘疹膿疱型、C. 瘤腫型酒皶・鼻瘤、D. 眼型)に分類される。

出典

Mikkelsen CS, Holmgren HR, Kjellman P, Heidenheim M, Kappinnen A, Bjerring P, Huldt-Nystrøm T.
Rosacea: a Clinical Review.
Dermatol Reports. 2016 Jun 15;8(1):6387. doi: 10.4081/dr.2016.6387. Epub 2016 Jun 23.
Abstract/Text Rosacea is a field within dermatology with new insight within immunological research and new treatment-algorithm. Patient education on rosacea and appropriate treatments is an important aspect in helping patients succeed with therapy. Treatment should be tailored to each individual patient, taking into account: symptoms, trigger factors, patients' wishes, most bothersome symptoms, psychological aspect, individual needs. A combination of clinical therapies to treat different symptoms concomitantly may offer the best possible outcomes for the patient. In this review article we describe these aspects.

PMID 27942368
 
  1. 日本における酒さの疫学・発症頻度は、調査されておらず不明である。白人での頻度は数%~10%とされ、有色人種での頻度は白人よりも低いと考えられている。
  1. 酒さの発症年齢は思春期以降と考えられ、女性の患者が多い。
  1. いわゆる赤ら顔の人々は、酒さの初期症状の可能性があるが、皮膚病との認識が医療者にもないことがある。
  1. 酒さの症状の増悪因子にステロイド外用剤があり、顔面の紅斑を主訴とする患者へのステロイド外用剤使用には注意が必要である。
問診・診察のポイント  
  1. 参考文献:[1][2]
  1. 酒さは顔面を主座とした慢性炎症性皮膚疾患であり、寛解・再燃を繰り返す。

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オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 伊勢雄也 以下、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光および日本医科大学多摩永山病院 副薬剤部長 林太祐による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
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(詳細はこちらを参照)
著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
伊藤泰介 : 講演料(日本イーライリリー(株),ファイザー(株)),研究費・助成金など(日本イーライリリー(株),ファイザー(株),アッヴィ合同会社,マルホ(株),ブリストル・マイヤーズ スクイブ(株))[2024年]
監修:戸倉新樹 : 講演料(サノフィ(株),日本イーライリリー(株),アッヴィ合同会社,協和キリン(株))[2024年]

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