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著者: 田所智子1) 香川大学医学部消化器神経内科

著者: 正木勉2) 香川大学医学部 消化器・神経内科学 

監修: 持田智 埼玉医科大学 消化器内科・肝臓内科

著者校正/監修レビュー済:2024/05/29
参考ガイドライン:
  1. 日本肝臓学会:肝癌診療ガイドライン 2021年版
  1. 日本肝胆膵外科学会:転移性肝がん診療ガイドライン(2021)
患者向け説明資料

改訂のポイント:
  1. 『転移性肝がん診療ガイドライン(2021)』に基づき、各種画像診断の推奨度を修正し、肝腫瘍生検の適応および治療効果判定基準について加筆した。
  1. 肝腫瘍生検の適応は現状では限定的であるため、原発巣の組織採取が不可能な場合や、原発も転移巣も診断に十分な情報が得られていないような場合に限り、安全性を十分に考えて考慮する。
  1. 肝転移に対する非手術治療の画像による判定基準としてRECIST(Response Evaluation Criteria in Solid Tumors)がある。

概要・推奨   

  1. 転移性肝癌とは肝臓以外に発生した悪性腫瘍が肝臓に転移したものをいう。
  1. 腹腔内臓器から門脈血流を受ける臓器であるため、消化器癌(大腸癌、胃癌、膵癌、胆道癌、食道癌など)からの転移の頻度が高い。
  1. 肝転移が初発症状であることもあり、その場合は腫瘍による腹部膨満や右季肋部痛などの圧迫症状がみられる。また胆管浸潤や狭窄による閉塞性黄疸や、下大静脈の閉塞により下半身の浮腫も症状として挙げられる。
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病態・疫学・診察 

疾患情報(疫学・病態)  
  1. 転移性肝癌とは肝臓以外に発生した悪性腫瘍が肝臓に転移したものをいう。
  1. 肝臓は人体において最大の臓器であり、動脈および門脈の二重の血流を有しており、癌の血行性転移を来しやすい。
  1. 原発性肝癌の約20倍の頻度であり、悪性腫瘍で死亡した症例の20~50%に肝転移が存在する。
  1. 腹腔内臓器から門脈血流を受ける臓器であるため、消化器癌(大腸癌、胃癌、膵癌、胆道癌、食道癌など)からの転移の頻度が高い。
  1. 癌患者の5.14%が癌診断時に肝転移を指摘されており、その頻度が最も高いのは膵臓癌(35.6%)で、次いで大腸癌(26.9%)、小腸癌(14.6%)、胃癌(14.2%)、食道癌(14.2%)であった[1]
  1. 消化器癌以外の原発巣として消化管間質腫瘍(GIST)、神経内分泌腫瘍、悪性リンパ腫、乳癌、肺癌、頭頚部癌、腎癌、婦人科癌(子宮癌、卵巣癌)なども挙げられる。
  1. かつては全身転移の一部とみなされ、予後不良とされて積極的治療を断念されていたが、治療の急速な進歩により予後は改善してきている。
  1. さらに肝切除の進歩と普及および安全性の向上により、一部の転移性肝癌では根治可能であったり、有意な延命効果が認められることがわかってきた。
 
  1. 嚢胞性の肝転移を来す場合がある。(参考文献:[2]
  1. まとめ:嚢胞性肝転移には2つのメカニズムが考えられている。1つは多血性病変の増大速度が非常に速いときに内部壊死を起こし、ひいては嚢胞変性を来すと考えられている。もう1つは粘液腺癌の肝転移は嚢胞性になりやすいと考えられている。内分泌腫瘍、肉腫や一部の肺癌や乳癌は前者の、結腸癌や卵巣癌の肝転移は後者のメカニズムにより嚢胞性になることが多いと考えられている。
問診・診察のポイント  
  1. 他部位の悪性腫瘍の既往歴の有無を確認する。

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薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 伊勢雄也 以下、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光および日本医科大学多摩永山病院 副薬剤部長 林太祐による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、 著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
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(詳細はこちらを参照)
著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
田所智子 : 特に申告事項無し[2024年]
正木勉 : 研究費・助成金など(大塚製薬(株))[2024年]
監修:持田智 : 講演料(ギリアド・サイエンシズ(株),アッヴィ合同会社,あすか製薬(株),東レ(株),大塚製薬(株),エーザイ(株))[2024年]

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