今日の臨床サポート 今日の臨床サポート

著者: 古森孝英 神戸大学 口腔外科学分野

監修: 近津大地 東京医科大学

著者校正/監修レビュー済:2022/06/23
参考ガイドライン:
  1. 日本外傷歯学会:歯の外傷治療のガイドライン 2018
患者向け説明資料

改訂のポイント:
  1. 定期レビューを行った。

概要・推奨   

  1. 脱臼歯の再植は、受傷後短時間での治療が推奨される(推奨度1)
  1. 歯牙破折や脱臼歯は、受傷後1年以上の予後観察が推奨される(推奨度2)

病態・疫学・診察 

疾患情報(疫学・病態)  
  1. 歯牙破折・脱臼といった歯の外傷は、転倒やスポーツ・交通事故・殴打などによって生じる。また、まれに全身麻酔挿管時の喉頭鏡による偶発症としても生じることがある。
  1. 歯牙破折・脱臼は、上顎前歯、特に中切歯に発生することが多い。また、1~2歳の乳幼児と7~8歳の学童に多発する傾向がある[1]
  1. 乳歯では歯牙破折よりも脱臼が多く、永久歯では脱臼よりも歯牙破折が多いとされている。また、歯根未完成の幼若永久歯では脱臼が多い[2]
  1. 歯牙破折には、歯冠破折と歯根破折があり、脱臼には、震盪・亜脱臼・側方脱臼・陥入・挺出・完全脱臼(脱落)がある[1]
 
歯牙破折

歯冠破折および歯根破折

出典

著者提供
 
破折

a:歯冠部破折(露髄なし) b:歯冠部破折(露髄あり) c:歯根部破折

出典

古森孝英 編著:歯科衛生士講座 口腔外科学 第2版.永末書店,2017,P.77,図2-2-1
 
脱臼の分類

a: 挺出 b:陥入 c:側方脱臼

出典

著者提供
 
  1. 完全脱臼歯は、歯の保存条件がよければ再植されるが、受傷から処置までの時間が短いほうが予後がよい[1]
  1. 歯牙破折や脱臼歯は、受傷後1年間以上の定期的な予後観察が必要である[1]
問診・診察のポイント  
  1. 問診では、具体的な受傷日時・場所・原因・受診までの処置を聴取する。特に受傷してから来院までの経過時間については、予後に大きく影響することがあるので正確に聴取する。

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著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
古森孝英 : 特に申告事項無し[2024年]
監修:近津大地 : 特に申告事項無し[2024年]

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歯牙破折・脱臼

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