今日の臨床サポート 今日の臨床サポート

著者: 武井修治 鹿児島大学大学院医歯学総合研究科(小児科)

監修: 五十嵐隆 国立成育医療研究センター

著者校正/監修レビュー済:2024/05/15
参考ガイドライン:
  1. American Heart Association(https://www.heart.org/en): Circulation 2009, 119:1541-51.
患者向け説明資料

改訂のポイント:
  1. 病態について、加筆した。
  1. A群レンサ球菌関連抗体の測定法の変更に伴う正常上限値の記載を変更した。
  1. ASOは以前は毒素中和反応法で測定され、抗体価はTodd単位で示されていたが、現在ではラテックス凝集比濁法での測定が一般化してIU/mLで表記されている。そのため、改訂版ではこの検査法による正常上限値の記載を変更し、先行感染の判断に関する記載を修正した。また従来からA群レンサ球菌関連抗体としてASOに加えて、ASKとDNAase-Bの検査が行われてきたが、わが国ではASKやDNAase-Bは商業ベースでは測定されなくなり、臨床現場で測定する機会がなくなった。しかし海外ではASOとDNAase-Bが利用されているため、この二つの正常上限値を年齢別に記載した表に差し替え、関連する文献を追記した。
  1. 疫学調査(患者数)を更新した。
  1. 患者発生数について、2017年に報告された2010~2015年の疫学調査(323施設)のdataに更新した。ただこの報告での症例数は少ないため、臨床所見の頻度については多数例で検討した従来のものを残した。
  1. COVID-19パンデミックの影響を加筆した。

概要・推奨   

病態
  1. A群レンサ球菌と宿主組織とのmolecular mimicry(分子類似性)による免疫学的交差反応と考えられており、菌が保有するM蛋白とヒトの心筋や弁膜組織、N-アセチル-β-D-グルコサミンと大脳基底核神経細胞の抗原類似性が報告されている。
  1. 一卵性双生児での発症リスクや家族集積性の報告から、発症には遺伝学的背景が関与することが推定されており、自然免疫系と獲得免疫系の経路にかかわる複数の候補遺伝子が報告されている。
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病態・疫学・診察 

疾患情報(疫学・病態)  
  1. 急性リウマチ熱とは、A群レンサ球菌感染2~3週後に続発する全身性炎症性疾患で、性差はなく5~15歳に好発する。
  1. 先行感染から10日間の抗菌薬投与で発症予防が可能なため[1]、先進国での発生は激減しており、わが国の323施設で2010年~2015年の間に発生した患者数は44例である[2]
  1. COVID-19パンデミック期には発生数が減少[3]したことから、マスクや手洗いなどの感染予防対策の重要性が示唆された。
  1. 急性期には、発熱とともに移動性多関節炎(70%)、心炎(50%)、輪状紅斑(10%)(<図表>)、皮下結節(5%)が出現し、精神症状や舞踏病(5%)は遅れて出現する[4]<図表>
  1. 心炎は心内膜炎であり、僧帽弁や大動脈弁に弁膜障害を残す(リウマチ性心疾患)。
 
リウマチ性心疾患にみられた弁膜肥厚

リウマチ性心疾患患者の疣贅様に肥厚・突出した心弁膜。リウマチ熱では心内膜炎が50~60%にみられ、治療の遅れや不十分な治療では僧帽弁や大動脈弁を中心に機能障害を残す。

出典

Petty Ross E, Laxer Ronald M, et al:Textbook of Pediatric Rheumatology, 7th Edition,2016. p577. FIGURE 44-6.
 
  1. 診断にはJones改定診断基準(2015)[5]が用いられる。<図表>
  1. 急性期の治療では抗菌薬と抗炎症薬が用いられるが、心炎や重症舞踏病には抗炎症薬としてステロイド薬が用いられる[6]
  1. A群レンサ球菌の再感染で再発しやすく、再発すればリウマチ性心疾患のある例では弁膜障害が進行するため、抗菌薬による長期の予防内服が必要である[7]<図表>
 
  1. A群レンサ球菌感染症に罹患した場合、続発症であるリウマチ熱の発症予防目的で10日間の抗菌薬療法を行うべきである(推奨度1、M)
  1. まとめ:リウマチ熱の発症予防に関し、咽頭炎の患者を対象としたA群レンサ球菌を想定した抗菌薬療法の有効性に関するいくつかの大規模コホート研究があるが、それらを統合したメタ解析においても、抗菌薬療法の有効性が明らかとなった[1]。(<図表>
  1. 代表事例:1950~1961年に行われた10件のコホート研究(対象7,665例)を対象としたメタ解析では、抗菌薬によるリウマチ熱の予防効果は、全体では70%(RR=0.32、95%CI=0.21-0.48)、ペニシリン系抗菌薬に限ったコホート研究では80%(RR=0.20、95%CI=0.11-0.36)であった。
  1. 結論:このことから、A群レンサ球菌性咽頭扁桃炎が疑われる例では、抗菌薬の使用がリウマチ熱の発症を減らすことが明らかとなり、特にペニシリン系抗菌薬の10日間投与が勧められている。
 
抗菌薬によるリウマチ熱の発症予防

1950~1965年に行われた10のコホート研究では、A群レンサ球菌感染症が想定される咽頭炎患者7,665例において、抗菌薬によるリウマチ熱の予防効果は、コホート研究全体では70%(RR=0.32、95%CI=0.21-0.48)、ペニシリン系抗菌薬に限ったコホート研究では80%(RR=0.20、95%CI=0.11-0.36)であった。

出典

Katharine A Robertson, Jimmy A Volmink, Bongani M Mayosi
Antibiotics for the primary prevention of acute rheumatic fever: a meta-analysis.
BMC Cardiovasc Disord. 2005 May 31;5(1):11. doi: 10.1186/1471-2261-5-11. Epub 2005 May 31.
Abstract/Text BACKGROUND: Rheumatic fever continues to put a significant burden on the health of low socio-economic populations in low and middle-income countries despite the near disappearance of the disease in the developed world over the past century. Antibiotics have long been thought of as an effective method for preventing the onset of acute rheumatic fever following a Group-A streptococcal (GAS) throat infection; however, their use has not been widely adopted in developing countries for the treatment of sore throats. We have used the tools of systematic review and meta-analysis to quantify the effectiveness of antibiotic treatment for sore throat, with symptoms suggestive of group A streptococcal (GAS) infection, for the primary prevention of acute rheumatic fever.
METHODS: Trials were identified through a systematic search of titles and abstracts found in the Cochrane Central Register of Controlled Trials (Cochrane Library Issue 4, 2003), MEDLINE (1966-2003), EMBASE (1966-2003), and the reference lists of identified studies. The selection criteria included randomised or quasi-randomised controlled trials comparing the effectiveness of antibiotics versus no antibiotics for the prevention of rheumatic fever in patients presenting with a sore throat, with or without confirmation of GAS infection, and no history of rheumatic fever.
RESULTS: Ten trials (n = 7665) were eligible for inclusion in this review. The methodological quality of the studies, in general, was poor. All of the included trials were conducted during the period of 1950 and 1961 and in 8 of the 10 trials the study population consisted of young adult males living on United States military bases. Fixed effects, meta-analysis revealed an overall protective effect for the use of antibiotics against acute rheumatic fever of 70% (RR = 0.32; 95% CI = 0.21-0.48). The absolute risk reduction was 1.67% with an NNT of 53. When meta-analysis was restricted to include only trials evaluating penicillin, a protective effect of 80% was found (Fixed effect RR = 0.20, 95% CI = 0.11-0.36) with an NNT of 60. The marginal cost of preventing one case of rheumatic fever by a single intramuscular injection of penicillin is approximately USD 46 in South Africa.
CONCLUSION: Antibiotics appear to be effective in reducing the incidence of acute rheumatic fever following an episode of suspected GAS pharyngitis. This effect may be achieved at relatively low cost if a single intramuscular penicillin injection is administered.

PMID 15927077
 
  1. リウマチ熱の発症予防目的の抗菌薬としては、ペニシリン系抗菌薬が推奨される(推奨度1、RG)
  1. まとめ:抗菌薬によるリウマチ熱発症予防のための抗菌薬としてはペニシリン系抗菌薬の服用が推奨されている。しかしアレルギー等でペニシリン系抗菌薬が使えない場合はマクロライド系抗菌薬、狭域のセファロスポリン系抗菌薬が代用される。(<図表>
  1. 代表事例の説明・結論:米国心臓協会(American Heart Association、AHA)によるリウマチ熱予防のための治療ガイドライン[7]では、経口抗菌薬としては、ペニシリンV 40 mg/kg/日(分3)またはアモキシシリン50 mg/kg/日(分1)が推奨され、ペニシリンアレルギー等で使えない症例では、クラリスロマイシン15mg/kg/日(分2)、アジスロマイシン12 mg/kg/日(分1)5日間、クリンダマイシン20 mg/kg/日(分3)などのマクロライド系抗菌薬の使用が推奨されている。
  1. 追記:わが国では経口ペニシリンG(バイシリンG)が使用されてきたが、安価なために配置されている医療機関は少なくなった。その意味での代替薬としては、FDAが承認しているアモキシシリン(パセトシン)が使いやすい。
問診・診察のポイント  
問診で確認すべきこと:
  1. 先行(2~3週前)するA群レンサ球菌感染症の存在

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武井修治 : 特に申告事項無し[2025年]
監修:五十嵐隆 : 特に申告事項無し[2025年]

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