今日の臨床サポート 今日の臨床サポート

著者: 中村豊 ゆたかこどもクリニック

監修: 渡辺博 帝京大学老人保健センター

著者校正/監修レビュー済:2023/03/22
参考ガイドライン:
  1. 日本耳科学会など:小児急性中耳炎診療ガイドライン 2018年版
  1. 小児外来診療における抗菌薬適正使用のためのワーキンググループ:小児上気道炎に対する抗菌薬適正使用のすすめ 
  1. 厚生労働省:抗微生物薬適正使用の手引き 第二版 
患者向け説明資料

改訂のポイント:
  1. 小児滲出性中耳炎診療ガイドライン 2022年版が刊行された。本コンテンツで主に触れている急性中耳炎に関する新たな記載はないが、これを機会に参考となる記述を追加した。

概要・推奨   

  1. 中耳炎の診断は臨床所見と鼓膜所見を組み合わせて行う(推奨度1
  1. 年齢・臨床症状・鼓膜所見より重症度の判定を行う(推奨度2) 
  1. 重症度に基づき初期治療方針を決定する(推奨度1
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病態・疫学・診察 

疾患情報(疫学・病態)  
  1. わが国の小児急性中耳炎の診療のためのガイドラインとして、日本耳科学会などによる「小児急性中耳炎診療ガイドライン」(ガイドライン1)と、小児外来診療における抗菌薬適正使用のためのワーキンググループ作成の「小児上気道炎および関連疾患に対する抗菌薬使用ガイドライン」(ガイドライン2)、厚生労働省が出した、抗微生物薬適正使用の手引き 第二版(ガイドライン3)の3つがある。それぞれにおける中耳炎の定義は次のとおりである。
  1. ガイドライン1[1]
  1. 急性に発症した中耳の感染症で、耳痛、発熱、耳漏を伴うことがある。『急性に発症』とは、本人の訴えあるいは両親や保護者に急性症状が発見され、急性症状が持続する間に受診した場合としている。持続については3週間を超えない。
  1. ガイドライン2[2]
  1. 急性の耳漏がみられるかあるいは中耳に貯留液を認め、かつ耳痛などの感染症状と鼓膜の明らかな発赤・強い腫脹・水疱形成などの感染所見を1つ以上認めるものとしている。
  1. ガイドライン3[3]
  1. 耳痛、発熱、耳漏を伴うことがある急性に発症した中耳の感染症。耳管経由で中耳腔まで炎症、感染が波及して生じる。
  1. ガイドライン1は2013年版までは正確な鼓膜所見の評価や鼓膜切開などの耳処置を施行できる耳鼻科医を対象としていたが、2018年版では小児急性中耳炎の診療に携わるすべての医師を対象と変更して小児科医も対象に含めた。ガイドライン2と3はすべての一般診療医を対象としている。
  1. ガイドライン3は第二版が2019年12月に刊行され、初版に含まれていなかった中耳炎が取り上げられた。急性中耳炎は抗菌薬使用が多い疾患であることから、一般診療医が抗菌薬の必要性を判断するための基準と初期選択薬について簡明に記載されている。
  1. 中耳炎は、ウイルスが呼吸器粘膜に感染することにより、粘膜浮腫が起こり耳管機能障害をきたすため、上気道に存在する病原菌が中耳に侵入し炎症を生じると考えられる。穿孔がなければ外耳からの感染は考えられない。
  1. 肺炎球菌、インフルエンザ菌ならびにモラクセラ・カタラーリスが起炎菌の多くをしめる。以前は薬剤耐性化が問題となっていたが、抗菌薬適正使用の普及や肺炎球菌ワクチンの定期接種化を受けて耐性化はいくぶん改善傾向にある。
  1. 1歳までに75%が罹患、7歳までに40%が4回以上罹患する頻度の高い感染症である。[4][5]
  1. かぜ症状で受診した児の鼓膜を観察すると中耳に液の貯留を認めることがある。特に乳児の滲出性中耳炎の約50%は急性中耳炎発症後に生じるとされる[6]。低年齢児では、急性炎症消退後に遷延する中耳貯留液の可能性もあり、鼓膜所見から急性中耳炎と滲出性中耳炎を鑑別することが難しい。低年齢児は反復性中耳炎の危険因子でもあり、滲出性中耳炎ではなく、急性中耳炎としての治療を必要とすることが多い。
 
  1. 海外のガイドライン
  1. 小児の急性中耳炎に関するガイドラインは諸外国からも公刊されている。ガイドライン1で触れられているのは、米国、カナダ、イタリアのガイドラインである。ガイドライン2ではオランダのガイドラインに触れている。このほかにもSuzukiらはヨーロッパのガイドラインを17編集めて比較している。[7] 
  1. 多くの国のガイドラインで共通している診断の決め手は
  1. 急性発症である(耳痛や発熱など)。
  1. 中耳腔に液貯留が証明されている。
  1. 鼓膜の炎症が確認できること。
  1. この点は、わが国のガイドラインも同様で、重要なことは鼓膜の正確な観察である。
 
問診・診察のポイント  
  1. 耳痛の有無を聞くこと(夜間の不機嫌は重要なサインである。乳児では耳を引っ張る、こする、触る)。

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オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 伊勢雄也 以下、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光および日本医科大学多摩永山病院 副薬剤部長 林太祐による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
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尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
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著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
中村豊 : 特に申告事項無し[2024年]
監修:渡辺博 : 特に申告事項無し[2024年]

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中耳炎(小児科)

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