今日の臨床サポート 今日の臨床サポート

著者: 黒川哲司 福井県済生会病院産婦人科

監修: 青木大輔 赤坂山王メディカルセンター

著者校正/監修レビュー済:2024/09/18
参考ガイドライン:
  1. 日本産科婦人科学会/日本産婦人科医会:産婦人科診療ガイドライン婦人科外来編2023
  1. 国立がん研究センター:有効性評価に基づく子宮頸がん検診ガイドライン更新版(2020年7月29日)
患者向け説明資料

改訂のポイント:
  1. 『産婦人科診療ガイドライン婦人科外来編2023』に基づき、改訂を行った。
  1. 引用文献を更新した。
  1. 「子宮頸がん検診の推奨グレード」を追記した。

概要・推奨   

  1. がん検診の感度を上げるために細胞診とハイリスクHPV検査を組み合わせ使用する(推奨度2)
  1. 細胞診でASC-USの場合に、コルポスコピー・生検の必要性を判定するためにハイリスクHPV検査を行う(推奨度1)
  1. 子宮頸部細胞診の細胞採取は、(妊娠女性以外では)ヘラもしくはブラシで行う(推奨度1)
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まとめ 

まとめ  
  1. 子宮頸がん検診は20歳以上の女性を対象に行う。わが国では年齢の上限はない。有効性評価に基づく子宮頸がん検診ガイドラインでは、細胞診を20~69歳、HPV検査を30~60歳にすることが望ましいとされている。
  1. さらに、HPV検査のメリットは検診間隔を5年に拡大できることであり、検診間隔の順守が重要であること、HPV陽性者に対する長期の追跡を含む精度管理体制の構築が前提であることが記載されており、留意する必要がある。
  1. 子宮全摘後の女性には通常子宮頸がん検診を行わない(ただし、子宮頸部病変で子宮全摘した女性ではフォローアップが必要)。
  1. 子宮頸部細胞診はブラシまたはヘラを使用して採取することが推奨されている[1]
  1. HPV検査は、ハイリスクHPV検査とHPVタイピング検査の2つに大きく分類される[2]
  1. 現在わが国で体外診断薬として承認されているHPV検査のうち、HPV DNAキアゲンHC II(キアゲン)、コバス4800システムHPV・コバス5800システムHPV・コバス6800/8800システムHPV(ロシュ・ダイアグノスティック)、アキュジーンm-HPV・Alinity mシステム HR HPV(アボットジャパン)、アプティマHPV(ホロジックジャパン)、BD Onclarity HPV キット(日本BD)はハイリスクHPV検査に分類されるが、コバス4800システムHPV、アキュジーンm-HPV、BD Onclarity HPV キットでは、HPV-16陽性とHPV-18陽性を区別することができる(簡易ジェノタイピング)。クリニチップHPV(積水メディカル)、MEBGEN HPVキット(MBL)はHPVタイピング検査である。
  1. ハイリスクHPV検査が臨床において役に立つのは以下のような場合である[2][3]
  1. がん検診の感度を上げるために、細胞診にハイリスクHPV(HPV HR)検査を併用する。ただし偽陽性が増加することに留意する。
  1. 細胞診でASC-USの場合に、コルポスコピー・生検の必要性を判定するためにハイリスクHPV検査を行う。ハイリスクHPV検査が陽性の場合にはただちにコルポスコピー・生検を行う。
  1. ASC-USの取り扱い[2][3]
  1. CIN2/3に対する子宮頸部円錐切除後の管理において、病変の残存・再発の早期発見のためにハイリスクHPV検査を行う。
  1. CIN1/2の進展リスク評価のために、HPVタイピング検査を行う。

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(詳細はこちらを参照)
著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
黒川哲司 : 講演料(MSD(株))[2024年]
監修:青木大輔 : 特に申告事項無し[2024年]

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