今日の臨床サポート 今日の臨床サポート

著者: 永田愛 長崎大学 産婦人科

監修: 金山尚裕 静岡医療科学専門大学校

著者校正/監修レビュー済:2024/06/12
参考ガイドライン:
  1. 日本産科婦人科学会日本産婦人科医会:産婦人科診療ガイドライン産科編2023
患者向け説明資料

改訂のポイント:
  1. 産婦人科診療ガイドライン―産科編2023の発行に伴うレビューを行い、以下を加筆した。
  1. カリウム血症が原因の不整脈による妊産婦死亡例が報告されており、輸液を行う際は血清K値を確認し、必要に応じ輸液による補正を行うことが望ましい(推奨度1)

概要・推奨   

  1. 休養を心がけるよう勧め、少量頻回の食事摂取と水分補給を促す(推奨度1)
  1. 脱水に対してブドウ糖を含んだ輸液を十分に行う(推奨度1)
  1. 輸液にはビタミンB1(チアミン)を添加して、Wernicke脳症を予防する(推奨度1)
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  1. ビタミンB6(ピリドキシン)投与を考慮する(推奨度2)
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病態・疫学・診察 

疾患情報(疫学・病態)  
  1. 妊娠5~6週前後からみられる初期の悪心・嘔吐・嗜好の変化などの症状を総称して「つわり」といい、全妊婦の約80%(50%:悪心+嘔吐、25%:悪心のみ、25%:無症状)[1][2]に認められる妊娠初期の一般的な症状である。
  1. 妊娠悪阻は、つわりの重症型である。両者に明確な線引きはないが、ほぼ毎日嘔吐し、尿中ケトン体陽性で、持続的に体重が減少する場合、特に5%以上の体重減少を認める場合に、妊娠悪阻と診断する[3]
 
つわりと妊娠悪阻の主な違い

つわりと妊娠悪阻を区別する明確な基準はない。ここに示すポイントや、本人の重症感、治療の希望などを総合して判断する。悪化すると治療が難しくなるため、本人の意向も聞きながらできるだけ早い段階での介入が望ましい。

出典

東島 愛, 増崎 英明: 産婦人科の薬剤使用プラクティス:病態別処方-産科編-. 産婦人科の実際 2011;.60(11):1645.
 
  1. つわりの病因については妊娠10週頃をピークとして絨毛から分泌されるhCGが関与しているとする説、免疫反応であるとする説などがあるが、いまだ明らかになっていない。
 
妊娠悪阻の病態像

つわりの原因については、妊娠10週頃をピークとして絨毛から分泌されるhCGが関与しているとする説、免疫反応であるとする説などがあるが、いまだ明らかになっていない。病状が進行すると、電解質異常や酸塩基平衡の異常を来す。また、ビタミンB1欠乏によるWernicke脳症の予後は、発症から治療開始までの期間が短いほど良好とされ、治療が遅れるほど健忘症状を主体とするKorsakoff症候群へ移行する可能性が高くなる。

 
  1. 経産婦より初産婦に多い。また、妊娠年齢が低い、絨毛量が多い(胞状奇胎や双胎妊娠など)、遺伝的素因、悪阻の既往、多産、女児を妊娠[4]、ヘリコバクター・ピロリ感染[5]はリスクファクターといわれている。
  1. 悪心・嘔吐は早朝の空腹時に多くみられ、唾液の分泌亢進や嗜好の変化、全身倦怠感を訴えるものも少なくない。また、脱水による皮膚の乾燥や、動悸、乏尿、不眠などがみられることもある。
  1. 妊娠7~12週をピークとして、症状の多くは一過性であり、妊娠12~16週までに自然に消失するが、20~30%の妊婦は妊娠20週以降、まれに分娩まで症状の遷延を認める[1][6]
  1. つわりが重症化して妊娠悪阻と診断され、入院加療を要する妊婦は全体の1~2%であるが、妊娠悪阻の約10%は妊娠全期間にわたり症状が遷延する。
  1. 病状が進行すると、電解質や酸塩基平衡の異常を来し、肝機能・腎機能障害、意識障害にまで至る場合がある。
  1. ビタミンB1欠乏によるWernicke脳症を生じると、神経学的後遺症を残すこともあるため、このような状態になる前に治療を開始する。
問診・診察のポイント  
  1. 嘔気の程度や1日の嘔吐回数、食事摂取状況を確認する。

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オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 伊勢雄也 以下、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光および日本医科大学多摩永山病院 副薬剤部長 林太祐による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
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尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
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(詳細はこちらを参照)
著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
永田愛 : 特に申告事項無し[2024年]
監修:金山尚裕 : 特に申告事項無し[2024年]

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妊娠悪阻

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