今日の臨床サポート 今日の臨床サポート

著者: 根岸明秀 国立病院機構横浜医療センター 歯科口腔外科

監修: 近津大地 東京医科大学

著者校正/監修レビュー済:2024/08/21
参考ガイドライン:
  1. Yoneyama T, Yoshida M, Matsui T, Sasaki H. Oral care and pneumonia. Oral Care Working Group. Lancet. 1999 Aug 7;354(9177):515.
  1. 顎骨壊死検討委員会:薬剤関連顎骨壊死の病態と管理:顎骨壊死検討委員会ポジションペーパー2023
患者向け説明資料

改訂のポイント:
  1. 『薬剤関連顎骨壊死の病態と管理:顎骨壊死検討委員会ポジションペーパー2023』の発行に伴い、薬剤関連顎骨骨髄炎・顎骨壊死について追記した。

概要・推奨   

  1. 在宅において、食事や排泄のケアとともに日常的に必須のケアとして口腔ケアの実施を推奨する(推奨度2)
  1. 口腔乾燥、口臭、う蝕・歯周病などの口腔疾患の改善・疾病予防に加え、誤嚥性肺炎予防、意識レベル向上、生活リズム獲得など全身および生活面の改善を目標として口腔ケアを実施することを推奨する(推奨度2)
  1. 近年増加している薬剤関連顎骨骨髄炎・顎骨壊死(medication-related osteonecrosis of the jaw: MRONJ)を有する対象者もいることから、口腔内の観察はより重要となっている(推奨度2)

まとめ 

まとめ  
  1. 在宅医療とは、狭義には、医療者が通院困難な患者の自宅あるいは老人施設などを訪問して医療を行うことである(広義には病院外で行うすべての医療とされている)。
  1. 在宅医療では、治療一辺倒の医療ではなく、患者のQOLに配慮した医療が求められており、歯科医師は、患者のかかりつけ医と連携を密にし、歯科治療のみならず、口腔ケアの継続的な管理の観点からの取組みが必要となる。
  1. 在宅医療の対象者は、主として要介護高齢者である。原疾患は、脳梗塞、認知症、整形外科的疾患、癌終末期など多彩であり、多くは寝たきりである。
  1. 対象者は、摂食・嚥下機能障害を有することが多く、また免疫能の低下した易感染性であることが多い。そのため、誤嚥性肺炎の発症リスクは高い。
  1. 口腔ケアは、単なる口のなかの清掃だけでなく、喫食(摂食)できる口腔機能の回復や誤嚥性肺炎の予防などの全身に与える影響を考慮した管理である。
  1. 口腔ケアは、含嗽、歯のケア、口腔粘膜のケア、加湿・保湿、義歯のケアを包括的に実施する。
  1. 口腔ケアを実施する際は、対象者の嚥下機能障害を考慮した体位、的確な吸引を考慮する。
  1. COVID-19感染症は5類感染症へ移行されたが、消失したことを意味しているわけではない。現在でもさまざまな施設でクラスターが生じていることから、感染予防に配慮して対応する。
  1. 原疾患に対し骨修飾薬を投与されている対象者も多い。そのため、薬剤関連顎骨骨髄炎・顎骨壊死(MRONJ)発症のリスクを有していることから、口腔ケアを実施する際の口腔内の観察は重要である。発症している場合は、口腔衛生状態の保持とMRONJの処置・管理に精通した歯科医師等との連携が必要となる。

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著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
根岸明秀 : 特に申告事項無し[2024年]
監修:近津大地 : 特に申告事項無し[2024年]

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在宅患者の口腔ケア

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