今日の臨床サポート 今日の臨床サポート

著者: 川崎恵吉 昭和大学医学部整形外科学講座

監修: 竹下克志 自治医科大学整形外科

著者校正/監修レビュー済:2022/04/13
参考ガイドライン:
  1. 手の変形性関節症(Hand OA)に対しては、さまざまな装具や薬物療法の保存療法や手術療法は行われているが、本邦では明確な治療ガイドラインは存在していない。
  1. 欧米では、ヘバーデンを含む手の変形性関節症の治療ガイドラインが発表されている(片岡利行. 手の変形性関節症の治療ガイドライン. 整・災害 2018,61;571-576.)。
  1. 2007年 欧州リウマチ学会(EULAR)
  1. 2012年 米国リウマチ学会(ACR)
  1. 2016年 パンアメリカンリウマチ学会(PANLAR)
患者向け説明資料

改訂のポイント:
  1. 定期レビューを行い、投薬や保存的加療に関して、一部加筆修正を行った。

概要・推奨   

  1. 保存的加療が原則である。
  1. 罹患指の安静や外固定、装具、運動療法、投薬(対処療法)。 
  1. それでも改善が無ければ手術を考慮する(関節固定、骨棘切除、人工関節置換術等)。

病態・疫学・診察 

疫学情報・病態・注意事項  
  1. ヘバーデン結節(Heberden nodes)は手指の遠位指節間(DIP)関節に生じる変形性関節症(炎)で骨棘、骨性隆起と関節裂隙の狭小および関節変形を伴う。
  1. 一般に40歳代以降の女性に好発し示指と中指に好発する。発生は加齢とともに増加する。
  1. DIP関節背側の中央の伸筋腱付着部を挟んで2つの結節ができるのが特徴である。
  1. 慢性のDIP関節腫脹から始まり、除々にDIP関節の変形と手の繊細な動きができなくなり器用に手を使えなくなる(巧緻障害)。原因に遺伝的素因があるとされているが証明されておらず原因は不明である。
  1. 1802年にHeberdenがこの小隆起を報告したので、Heberden結節と称されている。
  1. 近位指節間(PIP)関節に発症した変形性手指関節症をブシャール結節(Bouchard nodes)という。
  1. 児玉らは、大規模住民コホートROADスタディから、手の変形性関節症の罹患関節の関節ごとの有病率は、DIP関節が最多で、続いて母指IP、PIP、母指CMC、MCP関節の順であった、と報告している。<図表>[1]
  1. 欧米人に比べ中国人は、母指、示指、中指の有病率が高く、箸の使用との関連が指摘されている。
  1. 本疾患は閉経後女性に好発することから、近年エストロゲンとの関係が指摘されている。エストロゲンのレセプターが滑膜組織内に存在するとも言われ、エストロゲンの減少は腱や関節の腫脹を来すと考えられている。
  1. 閉経移行期の以降の女性に対するホルモン補充療法が手指の関節痛に効果があるかどうかは現在のところ不明。
  1. 「今日の治療指針」では、代替療法として、比較的初期の炎症症状を有する症例にエクオール(大豆に含まれるイソフラボンから体内で産生される物質で、エストロゲンに似た化学構造物である)を勧めている。
問診・診察のポイント  
  1. 外傷・膠原病・関節リウマチなどの既往歴、家族歴の有無について聞く。

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著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
川崎恵吉 : 講演料(久光製薬(株))[2024年]
監修:竹下克志 : 講演料(第一三共(株))[2024年]

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手指の変形、ヘバーデン結節

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