今日の臨床サポート 今日の臨床サポート

著者: 日尾有宏 東前橋整形外科病院 足の外科センター

監修: 酒井昭典 産業医科大学 整形外科学教室

著者校正/監修レビュー済:2024/05/29
参考ガイドライン:
  1. 日本整形外科学会日本整形外科スポーツ医学会:アキレス腱断裂診療ガイドライン2019 改訂第2版
患者向け説明資料

改訂のポイント:
  1. 定期レビューを行い、以下について加筆・修正した。
  1. 単純X線、MRI、超音波画像を追加した。

概要・推奨   

  1. アキレス腱は断裂しても歩行可能であり見逃されることがあるため、問診、局所・理学所見が診断に重要である(推奨度1)
  1. 保存治療を行う場合は再断裂率が手術よりも高いことを念頭に置き、早期運動療法を併用してしっかりとした管理下で行う必要がある(推奨度2)
  1. 手術治療は縫合部の強度を上げて早期運動療法を行うことで成績向上が期待できる(推奨度2)

病態・疫学・診察 

疾患情報(疫学・病態)  
  1. アキレス腱は腓腹筋とひらめ筋からなる強力な腱であり、人体で最も太い腱である。
 
アキレス腱の解剖

腓腹筋とひらめ筋およびそれに連続するアキレス腱。

 
  1. アキレス腱断裂は足部を強く踏み込んでアキレス腱が緊張した状態で、さらに急激な外力が同腱に加わることにより発生する。
  1. 多くはスポーツ時、ときに転倒、転落または階段の踏み外しなどの事故に随伴して発生する。
  1. 各年齢層でも発症するが、多くは40歳前後に発症し、加齢による腱の変性や腱に微少外力が繰り返された結果などが誘因となる。
  1. 一部のフルオロキノロン系やキノロン系抗菌薬ではアキレス腱断裂など腱障害の副作用がある。またステロイドを投与している高齢者へのこれらの抗菌薬の併用はアキレス腱断裂リスクを高める。
  1. ステロイド注射は腱断裂を誘発する危険因子となる。
  1. 断裂部位は腱中央からやや近位にかけて認められ、部分断裂は少なく、多くは完全断裂の様式を呈する。
 
アキレス腱断裂

症例:29歳、男性。バスケットボール中に受傷。アキレス腱は完全に断裂している。

出典

長谷川惇先生ご提供
問診・診察のポイント  
問診:
  1. 受傷時期を確認する。また受傷以前にアキレス腱部になんらかの症状がなかったか確認する。

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著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
日尾有宏 : 特に申告事項無し[2024年]
監修:酒井昭典 : 講演料(旭化成ファーマ(株),日本臓器製薬(株),帝人ヘルスケア(株))[2024年]

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アキレス腱断裂

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