今日の臨床サポート 今日の臨床サポート

著者: 竹島茂人 沖縄県立八重山病院 救急科

監修: 林寛之 福井大学医学部附属病院

著者校正/監修レビュー済:2023/01/11
患者向け説明資料

改訂のポイント:
  1. 定期レビューを行い、新しい知見を追記した。特にTCCC、DCR(Damage Control Resuscitation)、DCS(Damage Control Surgery)について追記した。

概要・推奨   

  1. 爆弾テロは、救護者等を狙った2つ目の爆弾の爆発に注意しなければならない。
  1. 爆発による損傷は、外見上に異常がなくても、耳、肺、腸管等に損傷があることがある。
  1. 現場での医療対応としては、TCCC(Tactical Combat Casualty Care)に準じて行うことが推奨される。

まとめ 

まとめ  
  1. 爆弾テロは、未だに世界各地で発生している。2013年4月のボストンマラソンでの爆弾テロが有名であるが、2015年8月のバンコックや同年9月には中国、10月にはトルコでも爆弾テロは発生している。2022年4月にはアフガニスタンでも発生している。中東や北アフリカそして南アジアがテロリストによる主戦場となっている。治安が比較的よく、優秀な公安・警察を持つ日本では、爆弾テロの発生は近年みられないが、ガソリン等を使用した放火による無差別殺人は散発している。今後、国内で簡易爆弾等を用いられる可能性はゼロではない。爆弾テロによって引き起こされる多発外傷のメカニズム、そして現場で救護活動を行う際の注意点などについての知識は医療従事者であれば知っておかなければならない必須のものである。
  1. 爆弾テロは、数あるテロ手段のなかでも代表的なものである。爆弾の種類は、多種多様で比較的容易に準備可能なものもある。
  1. 爆発による身体損傷は、鈍的損傷、鋭的損傷、熱傷、四肢断裂、クラッシュ症候群、空気塞栓などが複合した損傷形態を呈する。
  1. 爆弾の爆発による損傷は、その発生メカニズムにより、一次爆風損傷から五次爆風損傷の5つに分類されている[1][2]
  1. 特異的な損傷は一次爆風損傷であり、身体の外見上に損傷がなくても、爆風による風圧により身体内部の鼓膜、肺、腸管などが損傷を受ける[3]
  1. 閉鎖空間(建物内、バス内など)での爆発は、風圧が反射することにより、解放空間(屋外)より大きな損傷を与える[4]
  1. 一次爆風損傷による頭部損傷と外傷後ストレス障害(PTSD)などの精神・神経症状との関係が示唆されている[5]
  1. テロリストは、爆弾内に放射性物質(ダーティーボム)や化学剤(サリンなど)を仕込んだり、救助者に対する二次被害を狙った重複爆弾テロを行うことがあり、不用意に現場に近づかないなどの注意が必要である。

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竹島茂人 : 特に申告事項無し[2024年]
監修:林寛之 : 講演料((株)メディカ出版),原稿料((株)羊土社)[2024年]

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