今日の臨床サポート 今日の臨床サポート

著者: 十倉知久 八戸市立市民病院 救命救急センター

監修: 箕輪良行 みさと健和病院 救急総合診療研修顧問

著者校正/監修レビュー済:2022/09/28
患者向け説明資料

改訂のポイント:
  1. 定期レビューを行い、特に診断について追記した。

概要・推奨   

  1. 肋軟骨部(肋骨肋軟骨接合部、胸肋関節部を含む)の触診で腫脹・熱感・発疹を伴わない圧痛があり、かつ再現性があることが非常に重要である(推奨度1M)
  1. 本疾患は除外診断が非常に重要であり、特に心血管リスクや心肺症状がある場合、心電図、胸部X線、必要に応じて採血、胸部CTを行う(推奨度1)

病態・疫学・診察 

疾患情報(疫学・病態)  
  1. 肋軟骨炎は、肋骨肋軟骨接合部や胸肋関節の非化膿性の炎症であり、通常は片側性の疼痛で複数箇所に起こる[1][2]
  1. 一般的に40~50歳の中年に発症して、やや女性に多い傾向がある[1][2]
  1. プライマリーケアセッティングでは、受診患者の約1~3%が胸痛を主訴としており、20~50%が胸壁由来と診断され、肋軟骨炎と診断されるのは6~13%である[1][2][3]
  1. 一方、救急部門では、受診患者の約9~10%が胸痛を主訴としており、非心原性胸痛の15~45%が筋骨格系由来と診断される[1][4]
  1. 特に虚血性心疾患との鑑別が重要である。高血圧、糖尿病、喫煙歴などのリスク因子がある場合は、心電図や胸部X線が必要となる。
  1. その他、後述する鑑別疾患を常に考慮すべきであり、場合により他の画像が必要となることがある。
  1. 治療に関するエビデンスはないが、非ステロイド抗炎症薬(NSAIDs)を使用することが多い。通常、約3週間で自然軽快して良好な経過をたどる。
 
肋骨肋軟骨接合部、胸肋関節

肋骨肋軟骨接合部、胸肋関節は肋軟骨炎の好発部位である。

出典

植西憲達先生ご提供
問診・診察のポイント  
  1. 肋軟骨部(肋骨肋軟骨接合部、胸肋関節部を含む)の触診で腫脹・熱感・発疹を伴わない圧痛があり、かつ再現性があることが非常に重要な診断ポイントとなる[1][2][3]
  1. 典型的な症状は、深呼吸、咳嗽、体幹の動きで増悪する胸骨周囲の胸痛である[1][2][3]
  1. 第2~5肋軟骨レベルで起こることが多い。

これより先の閲覧には個人契約のトライアルまたはお申込みが必要です。

最新のエビデンスに基づいた二次文献データベース「今日の臨床サポート」。
常時アップデートされており、最新のエビデンスを各分野のエキスパートが豊富な図表や処方・検査例を交えて分かりやすく解説。日常臨床で遭遇するほぼ全ての症状・疾患から薬剤・検査情報まで瞬時に検索可能です。

まずは15日間無料トライアル
本サイトの知的財産権は全てエルゼビアまたはコンテンツのライセンサーに帰属します。私的利用及び別途規定されている場合を除き、本サイトの利用はいかなる許諾を与えるものでもありません。 本サイト、そのコンテンツ、製品およびサービスのご利用は、お客様ご自身の責任において行ってください。本サイトの利用に基づくいかなる損害についても、エルゼビアは一切の責任及び賠償義務を負いません。 また、本サイトの利用を以て、本サイト利用者は、本サイトの利用に基づき第三者に生じるいかなる損害についても、エルゼビアを免責することに合意したことになります。  本サイトを利用される医学・医療提供者は、独自の臨床的判断を行使するべきです。本サイト利用者の判断においてリスクを正当なものとして受け入れる用意がない限り、コンテンツにおいて提案されている検査または処置がなされるべきではありません。 医学の急速な進歩に鑑み、エルゼビアは、本サイト利用者が診断方法および投与量について、独自に検証を行うことを推奨いたします。
薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 伊勢雄也 以下、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光および日本医科大学多摩永山病院 副薬剤部長 林太祐による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、 著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
※同効薬・小児・妊娠および授乳中の注意事項等は、海外の情報も掲載しており、日本の医療事情に適応しない場合があります。
※薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、エルゼビアジャパン編集部によって記載日時にレセプトチェックソフトなどで確認し作成しております。ただし、これらの記載は、実際の保険適応の査定において保険適応及び保険適応外と判断されることを保証するものではありません。また、検査薬、輸液、血液製剤、全身麻酔薬、抗癌剤等の薬剤は保険適応の記載の一部を割愛させていただいています。
(詳細はこちらを参照)
著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
十倉知久 : 特に申告事項無し[2024年]
監修:箕輪良行 : 特に申告事項無し[2024年]

ページ上部に戻る

肋軟骨炎

戻る