今日の臨床サポート

突き指

著者: 山中一良 済生会神奈川県病院 整形外科

監修: 落合直之 キッコーマン総合病院外科系センター

著者校正/監修レビュー済:2021/04/07
患者向け説明資料

概要・推奨   

  1. 指が物にぶつかって受傷するいわゆる「突き指」には、骨折や靭帯損傷など重度の損傷が隠れている場合がある。
  1. 注意深い診察とX線写真撮影により、損傷に応じた適切な治療を行うことが推奨される。
薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 伊勢雄也 以下、林太祐、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、
著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
※薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、エルゼビアジャパン編集部によって記載日時にレセプトチェックソフトなどで確認し作成しております。ただし、これらの記載は、実際の保険適用の査定において保険適用及び保険適用外と判断されることを保証するものではありません。また、検査薬、輸液、血液製剤、全身麻酔薬、抗癌剤等の薬剤は保険適用の記載の一部を割愛させていただいています。
(詳細はこちらを参照)
著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
山中一良 : 特に申告事項無し[2021年]
監修:落合直之 : 特に申告事項無し[2021年]

改訂のポイント:
  1.  定期レビューを行い、「概要・推奨」について加筆を行った。

病態・疫学・診察

疾患情報(疫学・病態)  
  1. 「突き指」は指が固いものにぶつかって受傷したことによる指外傷の総称であり、単一の病態を示すものではない。
  1. 挫傷や捻挫などの軽度の外傷以外に、槌指変形、 手指骨折(手指の骨折、脱臼、ボクサー骨折)や腱損傷、靱帯損傷など重度組織損傷が存在する場合があるので、これらを見逃さないようにしなければならない。
 
突き指

突き指の受傷機転

出典

img1:  ExitCare, Patient Information, 2012 ExitCare, LLC.
 
 
 
  1. 示指PIP関節捻挫症例
  1. 現病歴:
  1. 棚から落ちてきた重量物を支えようとして、右示指をぶつけた。
  1. 初診時所見:
  1. 右示指はPIP関節を中心に疼痛と腫脹があり、屈伸時に痛みを伴っていた。PIP関節の側方動揺性はなかった。
  1. X線像その他画像の解釈と診断結果:
  1. X線写真では骨傷はなかった。
  1. 上記から推定できる病態とその根拠:
  1. PIP関節を中心とする腫脹はあるが、関節の動揺性はなく骨傷もないためPIP関節捻挫と診断される。
  1. 治療計画とinformed consent:
  1. 疼痛軽減のための外用薬と2-3週間の比較的安静。
  1. 治療経過と成績:
  1. ロキソニンテープを処方し、週1回の経過観察とした。3週間後には腫脹も軽減し可動域も正常に復した。
 
PIP関節捻挫

PIP関節に骨傷を認めない

出典

img1:  著者提供
 
 
 
  1. 中指PIP関節側副靱帯断裂例
  1. 1現病歴:
  1. 転倒した際に中指を地面に突いて受傷。
  1. 初診時所見:
  1. 右中指PIP関節橈側を中心に腫脹と圧痛があり、PIP関節橈側の側方動揺性があった。
  1. X線像その他画像の解釈と診断結果:
  1. 単純X線写真では骨傷はなかったが、ストレスX線写真では橈側関節裂隙の開大が見られた。
  1. 上記から推定できる病態とその根拠:
  1. ストレスX線写真で橈側関節裂隙の開大が見られたことから、PIP関節橈側側副靱帯断裂と診断された。
  1. 治療計画とinformed consent:
  1. 関節不安定性が大きいことから、手術治療(靱帯修復術)を行う。
  1. 治療経過と成績:
  1. アンカーを用いて靱帯修復術を行った。術後は1週間の副子固定の後、隣接指とのテーピング下での自動可動域訓練を開始した。2カ月後、PIP関節の不安定性はなく、可動域も正常に復した。
 
PIP関節側副靱帯断裂

ストレスX線撮影ではPIP関節橈側裂隙が拡大する(a)、全身麻酔による靱帯修復術を行った(b)。基節骨内に白く写っているものは靱帯を固定するためのアンカーという材料。

出典

img1:  著者提供
 
 
 
  1. 示指伸筋腱断裂例
  1. 現病歴:
  1. タンスに左示指をぶつけて受傷した。受傷後、同指が伸びないのに気づき、近医を受診したところ、当院を紹介され受傷10日後に来院した。
  1. 初診時所見:
  1. 左示指PIP関節は屈曲位をとり自動伸展が不能であった。
  1. X線像その他画像の解釈と診断結果:
  1. X線写真では骨傷を認めなかった。
  1. 上記から推定できる病態とその根拠:
  1. PIP関節の自動伸展ができず、X線写真で骨傷を認めないことから、伸筋腱の中節骨停止部における腱断裂と診断される。
  1. 治療計画とinformed consent:
  1. 手術治療(腱縫合術)と3週間の外固定、その後可動域訓練を行う。
  1. 実施した手術的治療:
  1. 全身麻酔による伸筋腱縫合術
  1. 治療経過と成績:
  1. 術後3週間PIP関節伸展位でアルミ副子による固定を行い、その後自動可動域訓練を開始した。6週間後には指の可動域はほぼ正常に復した。スポーツ復帰は術後3か月からと指示した。
 
伸筋腱断裂

初診時PIP関節の自動伸展は不能であった(a)。術中所見としては、伸筋腱は中節骨停止部で断裂していた(b)。伸筋腱縫合術を行った(c)。

出典

img1:  著者提供
 
 
 
  1. 示指脱臼骨折例
  1. 現病歴:
  1. ソフトボール試合中、ボールが右示指にぶつかり受傷した。
  1. 初診時所見:
  1. 右示指のPIP関節は著明に腫脹し、伸展位をとり、屈曲不能であった。
  1. X線像その他画像の解釈と診断結果:
  1. PIP関節は背側脱臼しており、掌側板裂離骨折も存在した。
  1. 上記から推定できる病態とその根拠:
  1. X線写真より掌側板裂離骨折を伴うPIP関節背側脱臼骨折と診断される。
  1. 治療計画とinformed consent:
  1. 徒手整復と、その後の伸展ブロックによる自動屈伸訓練。
  1. 治療経過と成績:
  1. 中手ブロックによる麻酔下で徒手整復を行った。PIP屈曲位では関節は安定化するため、アルミ副子による伸展ブロックを装着させ、早期から自動屈伸訓練を行った。3週後には伸展ブロックも除去してさらに可動域訓練を行った。5か月後の最終診察時には、指の関節可動域は正常に復した。
 
PIP関節脱臼骨折

初診時XPでは掌側板裂離骨折を伴う背側脱臼骨折を呈していた(a)。徒手整復後、アルミ副子による伸展ブロック装着下にPIP関節の自動屈伸運動を行わせた(b)。骨折部は癒合し、関節の可動域も正常に復した(c)。

出典

img1:  著者提供
 
 
 
  1. 末節骨・中節骨骨折例
  1. 現病歴: 
  1. ソフトボール試合中、ボールが右小指にぶつかり受傷した。
  1. 初診時所見:
  1. 右小指は変形腫脹とも著明であった。
  1. X線像その他画像の解釈と診断結果
  1. 末節骨基部と中節骨基部の粉砕骨折が存在した。
  1. 上記から推定できる病態とその根拠:
  1. X線写真から末節骨、中節骨の高度の関節内粉砕骨折と診断される。
  1. 治療計画とinformed consent:
  1. 手術治療(観血的整復固定術)、3週間程度の外固定、その後の可動域訓練。
  1. 実施した手術的治療:
  1. 全身麻酔での鋼線を用いた観血的整復固定術。
  1. 治療経過と成績:
  1. 術後3週間のアルミ副子固定を行い、その後外来で鋼線の抜釘を行い、関節可動域訓練を開始した。3か月後の時点で、骨癒合は良好であるがPIP関節およびDIP関節の中等度の可動域制限を残している。
 
末節骨・中節骨骨折

初診時X線写真では、末節骨基部、中節骨基部の高度粉砕骨折を認める(a)。鋼線を用いた観血的整復固定術を行った(b)。

出典

img1:  著者提供
 
 
 
問診・診察のポイント  
問診:
  1. 受傷時の状況を確認する。受傷時に加わった外力の大きさを推察し、重度損傷の可能性について考慮する。

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