今日の臨床サポート

薬剤性肺炎

著者: 山口正雄 帝京大学

監修: 長瀬隆英 東京大学 内科学専攻器官病態内科学講座

著者校正/監修レビュー済:2020/01/17
参考ガイドライン:
日本呼吸器学会:薬剤性肺障害の診断・治療の手引き 第2版 2018
患者向け説明資料

概要・推奨   

  1. 薬剤性肺炎の可能性を疑う(推奨度1)。薬剤投与歴を確認することがまず重要推奨度1症状としては呼吸器症状、特に乾性咳や呼吸困難に着目するとともに他の異常所見(例として皮疹や肝障害、好酸球増多など)も参考にする(推奨度1
  1. 血清KL-6、SP-Dは間質性肺炎のマーカーとして多用されるが、薬剤性肺炎でも上昇し得るので診断の参考となる(推奨度1)
薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 伊勢雄也 以下、林太祐、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、
著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
※薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、エルゼビアジャパン編集部によって記載日時にレセプトチェックソフトなどで確認し作成しております。ただし、これらの記載は、実際の保険適用の査定において保険適用及び保険適用外と判断されることを保証するものではありません。また、検査薬、輸液、血液製剤、全身麻酔薬、抗癌剤等の薬剤は保険適用の記載の一部を割愛させていただいています。
(詳細はこちらを参照)
著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
山口正雄 : 特に申告事項無し[2021年]
監修:長瀬隆英 : 講演料(アストラゼネカ),研究費・助成金など(中外製薬)[2021年]

改訂のポイント:
  1. 薬剤性肺障害の診断・治療の手引きが改訂され、最近新たに臨床に登場した薬剤の情報も含めるよう加筆修正を行った。

病態・疫学・診察

疾患情報(疫学・病態)  
  1. 医薬品が適切に選択され、適切に投与されたにもかかわらず、本来の投与目的とは異なる有害な反応が生じることを有害薬物反応(adverse drug reaction)と呼ぶ。薬剤性肺障害は、薬剤と関連して生ずる多様な肺病態を指す。欧米ではdrug-induced lung(またはpulmonary)diseasesと呼ぶことが多く、臓器毒性に基づいて障害が発生したと考えられる場合はtoxicosisやinjuryも用いられる。国内では、一般的に発症機序を毒性作用に限定せずに薬剤性肺障害の用語が使われるとともに、薬剤性肺炎の言い方も用いられる。
  1. 薬剤による肺障害の発症率を高める危険因子が知られている。
  1. 薬剤ごとに異なるが、大まかに共通するものとしては高齢、既存の肺疾患(間質性肺炎など)、酸素投与、放射線照射、抗腫瘍薬の多剤併用が挙げられる。
  1. 関節リウマチで用いられるメトトレキサート(Methotrexate:MTX)では、糖尿病、低アルブミン血症、関節リウマチの肺胸膜病変合併、以前の抗リウマチ薬投与歴、高齢などが危険因子である。
  1. ゲフィチニブにおいて、知られている発症危険因子として男性、喫煙歴、既存の肺線維症や間質性肺炎の存在、化学療法歴、全身状態不良が挙げられており、これら各因子は発症した患者における予後不良にも関連している。
  1. 薬剤性肺障害の発症率に対しては人種差も影響しており、特にゲフィチニブにおいては、欧米白人の肺障害の発症率は日本人と比べて6〜10分の1にとどまっている。
  1. 薬剤投与開始後に数週〜数カ月間(ときには数年)経過してから発症し、原因薬剤を続けている限り症状は悪化していく。以下の表に示す通り、薬剤により起こりやすい肺障害の型が知られている。
 
病歴・診察のポイント  
  1. 薬剤(サプリメントを含む)の詳細な使用歴と症状の経過の付き合わせが特に重要である。

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文献 

著者: Hiroshi Ohnishi, Akihito Yokoyama, Keiichi Kondo, Hironobu Hamada, Masahiro Abe, Kazutaka Nishimura, Kunio Hiwada, Nobuoki Kohno
雑誌名: Am J Respir Crit Care Med. 2002 Feb 1;165(3):378-81. doi: 10.1164/ajrccm.165.3.2107134.
Abstract/Text KL-6, surfactant protein (SP)-A, SP-D, and monocyte chemoattractant protein-1 (MCP-1) are reported to be sensitive markers for interstitial lung diseases (ILD). However, each marker has been studied independently. The aim of this study was a comparative analysis of the diagnostic values of these markers. Subjects consisted of 33 patients with ILD (21 cases of idiopathic pulmonary fibrosis and 12 associated with collagen vascular diseases) and 82 control subjects (12 cases of bacterial pneumonia and 70 healthy volunteers). Receiver operating characteristic curves revealed that KL-6 was superior to the other markers. The cut-off levels for these markers that resulted in the highest diagnostic accuracy were determined to be 465 U/ml for KL-6, 48.2 ng/ml for SP-A, 116 ng/ml for SP-D, and 1080 pg/ml for MCP-1. The sensitivity, specificity, and diagnostic accuracy were 93.9%, 96.3%, and 95.7% for KL-6; 81.8%, 86.6%, and 85.2% for SP-A; 69.7%, 95.1%, and 87.8% for SP-D; and 51.5%, 92.7%, and 80.9% for MCP-1; respectively. The serum levels of SP-A and SP-D, but not of KL-6, were significantly higher in patients with bacterial pneumonia than in healthy volunteers. These results suggest that of the markers studied, KL-6 is the best serum marker for ILD.

PMID 11818324  Am J Respir Crit Care Med. 2002 Feb 1;165(3):378-81. do・・・
著者: H Ohnishi, A Yokoyama, Y Yasuhara, A Watanabe, T Naka, H Hamada, M Abe, K Nishimura, J Higaki, J Ikezoe, N Kohno
雑誌名: Thorax. 2003 Oct;58(10):872-5.
Abstract/Text BACKGROUND: The circulating level of KL-6/MUC1 is a sensitive marker for various interstitial lung diseases. Previous case reports have suggested that KL-6 may also be increased in some patients with drug induced pneumonitis. A study was undertaken to determine whether serum KL-6 could be a marker for particular types of drug induced pneumonitis.
METHODS: The findings of high resolution computed tomographic (HRCT) chest scans of 30 patients with drug induced pneumonitis were reviewed separately by two independent observers. The pneumonitis was classified into four predominant patterns: widespread bilateral consolidation (diffuse alveolar damage, DAD; n=7), fibrosis with or without consolidation (chronic interstitial pneumonia, CIP; n=11), consolidation without fibrosis (bronchiolitis obliterans organising pneumonia or eosinophilic pneumonia, BOOP/EP; n=8), and diffuse ground glass opacities without fibrosis (hypersensitivity pneumonitis, HP; n=4). Serum KL-6 levels were measured by a sandwich enzyme linked immunosorbent assay.
RESULTS: The overall sensitivity of serum KL-6 in detecting drug induced lung disease was 53.3%, which was lower than its sensitivity in detecting other interstitial lung diseases. However, the KL-6 level was increased in most patients with a DAD or CIP pattern (16/18; 88.9%) and was closely correlated with their clinical course. In contrast, serum KL-6 levels were within the normal range in all patients with a BOOP/EP or HP pattern.
CONCLUSIONS: Particular patterns detected by HRCT scanning, such as DAD and CIP but not the BOOP/EP or HP patterns, are associated with increased circulating KL-6 levels in drug induced pneumonitis. Serum KL-6 levels may reflect the clinical activity of the particular disorders.

PMID 14514942  Thorax. 2003 Oct;58(10):872-5.

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