今日の臨床サポート 今日の臨床サポート

著者: 田辺晶代 国立国際医療研究センター病院 糖尿病内分泌代謝科

監修: 平田結喜緒 公益財団法人 兵庫県予防医学協会 健康ライフプラザ

著者校正/監修レビュー済:2023/07/19
参考ガイドライン:
患者向け説明資料

改訂のポイント:
  1. 定期レビューを行い、一部修正した。
  1. かつてACTH非依存性大結節性副腎皮質過形成(AIMAH)と呼ばれていた病名を両側副腎皮質大結節性過形成(Primary bilateral macronodular adrenal hyperplasia:PBMAH)へ修正した。

概要・推奨   

  1. クッシング症候群はまれな疾患である。身体所見やホルモン基礎値からクッシング症候群が疑われても、診断を確定するためには各種内分泌機能検査が必要である(推奨度2)
  1. クッシング症候群を疑った際には皮下出血斑、打撲痕、四肢近位筋力低下、赤色皮膚線条の有無を確認する(推奨度1)
  1. 副腎偶発腫瘍に対して副腎性クッシング症候群のスクリーニング検査を施行することが推奨される(推奨度2)
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病態・疫学・診察 

疾患情報(疫学・病態)  
ポイント:
  1. クッシング症候群とは、コルチゾール過剰産生により、満月様(円形)顔貌、野牛肩、中心性(腹部)肥満と四肢近位筋萎縮、皮膚菲薄化、赤色皮膚線条、皮下出血斑などの特徴的な身体所見(クッシング徴候)を呈する疾患群である。クッシング病、コルチゾール産生副腎皮質腫瘍や異所性ACTH産生腫瘍などが含まれる。
  1. クッシング症候群はまれな疾患であり、クッシング症候群の年間頻度は下垂体性が1.2~1.7人/100万人、副腎腺腫が0.6人/100万人であった。また、クッシング症候群を疑い検査を施行された症例の9.2%(794/8,631例)が最終的にクッシング症候群と確定診断された。
 
  1. クッシング症候群を疑った際には皮下出血斑、打撲痕、四肢近位筋力低下、赤色皮膚線条の有無を確認する(推奨度1O)(参考文献:[1]
  1. 研究背景:クッシング徴候の頻度と識別指数が提示されている。
  1. 研究事例の説明:クッシング症候群の症例で頻度が高い臨床症状、身体所見は体重増加、肥満、皮下出血斑、満月様顔貌、月経異常、多毛、高血圧である。一方、特異度が高いのは皮下出血斑、打撲痕、四肢近位筋力低下、赤色皮膚線条である。
  1. 結論:特徴的といわれるクッシング徴候の中でも特異度が高いのは皮下出血斑、打撲痕、四肢近位筋力低下、赤色皮膚線条である。
 
ACTH依存性とACTH非依存性:
  1. クッシング症候群はACTH依存性とACTH非依存性に大別される。
  1. ACTH依存性クッシング症候群の病因は、ACTH産生下垂体腺腫(クッシング病)と異所性ACTH症候群である。
  1. ACTH依存性クッシング症候群ではACTH、血中コルチゾールともに正常~上昇している。
  1. ACTH非依存性クッシング症候群の病因には副腎コルチゾール産生腺腫、副腎皮質癌、両側副腎皮質大結節性過形成(PBMAH)などがある。
  1. ACTH非依存性クッシング症候群ではACTHが低値、血中コルチゾールが正常~上昇している。
病歴・診察のポイント  
  1. クッシング症候群の特徴的身体所見である満月様顔貌、野牛肩、中心性肥満と四肢近位筋萎縮、皮膚菲薄化、赤色皮膚線条、皮下出血斑などを確認する。クッシング症候群の症例で頻度が高い臨床症状、身体所見は体重増加、肥満、皮下出血斑、満月様顔貌、月経異常、高血圧である。一方、特異度が高いのは皮下出血斑、打撲痕、四肢近位筋力低下、赤色皮膚線条である。ACTH依存性クッシング症候群および副腎皮質腫瘍が副腎男性ホルモンを同時産生している場合は多毛、髭などの男性化徴候がみられる。

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オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 伊勢雄也 以下、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光および日本医科大学多摩永山病院 副薬剤部長 林太祐による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、 著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
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(詳細はこちらを参照)
著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
田辺晶代 : 特に申告事項無し[2024年]
監修:平田結喜緒 : 特に申告事項無し[2024年]

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