今日の臨床サポート 今日の臨床サポート

著者: 福本誠二 たまき青空病院

監修: 平田結喜緒 公益財団法人 兵庫県予防医学協会 健康ライフプラザ

著者校正/監修レビュー済:2024/07/24
参考ガイドライン:
  1. 日本内分泌学会日本骨代謝学会、厚生労働省難治性疾患克服研究事業 ホルモン受容機構異常に関する調査研究班:くる病・骨軟化症の診断マニュアル(2015)
  1. 日本内分泌学会日本骨代謝学会、厚生労働省難治性疾患克服研究事業 ホルモン受容機構異常に関する調査研究班:ビタミンD不足・欠乏の判定指針(2017)
患者向け説明資料

改訂のポイント:
  1. 定期レビューを行い、以下について加筆・修正した。
  1. 診察のポイント:遺伝性低リン血症性疾患では、う歯や歯肉膿瘍、永久歯の早期脱落などの歯科的異常、聴力障害を示す場合がある。
  1. 診断:図表「FGF23関連低リン血症性くる病・骨軟化症」において、カルボキシマルトース鉄による低リン血症性疾患を追加した。
  1. 治療:腫瘍性骨軟化症患者に対するブロスマブの有効性に関して新たに文献を追加した。
    ブロスマブは、腫瘍性骨軟化症患者の生化学所見の改善、骨折治癒促進や症状緩和に有効であることから使用が推奨される(Imanishi Y, et al. J Bone Miner Res. 2021 Feb;36(2):262-270.)。
  1. 用語の統一、表記の変更を行った。

概要・推奨   

  1. 天然型ビタミンDに加え活性型ビタミンD3製剤も、ビタミンD欠乏性骨軟化症患者の骨軟化症の改善に有効であることから、使用が推奨される(推奨度1、O)
  1. リンと活性型ビタミンD3の併用は、症状を有する成人X染色体顕性低リン血症性くる病・骨軟化症患者の血中リン濃度を上昇させ、骨石灰化障害を改善することから、使用が推奨される(推奨度1、O)
  1. ブロスマブは、成人X染色体顕性低リン血症性くる病・骨軟化症患者の生化学所見の改善、骨折治癒促進や症状緩和に有効であることから使用が推奨される(推奨度1、R)
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病態・疫学・診察 

疾患情報  
  1. 骨軟化症とは、成長軟骨帯閉鎖以降に発症する、骨石灰化障害を特徴とする疾患である。このため骨軟化症では、骨中のカルシウム(Ca)量が減少する。
  1. 二重エネルギーX線吸収測定法などによる骨量測定法は、骨中のCa含量を測定する。したがって骨軟化症は、骨粗鬆症とともに、骨量が減少する疾患である。
  1. 骨軟化症の原因は多岐にわたる。各病因の診断、治療は、それぞれ異なる。
  1. 慢性低リン血症が、骨軟化症の病因であることが多い。
  1. くる病と骨軟化症は、同一の病因によって惹起される。成長軟骨帯閉鎖以前に発症したものを、特にくる病と呼んでいる。
  1. 骨軟化症患者は骨痛や筋力低下を訴え、神経・筋疾患などと混同されることがある。このため、特に低リン血症や高ALP血症を認める患者では、骨軟化症の存在を考慮に入れることが重要である。
  1. ビタミンD欠乏性くる病・骨軟化症は、天然型ビタミンDにより治癒し得る。天然型ビタミンDの効果が乏しい疾患が、ビタミンD抵抗性くる病・骨軟化症と呼ばれている。
  1. ビタミンD抵抗性くる病・骨軟化症は、FGF23関連低リン血症性疾患、Fanconi症候群、高Ca尿症を伴う遺伝性低リン血症性くる病(hereditary hypophosphatemic rickets with hypercalciuria:HHRH)などを含む疾患群である。
  1. FGF23は、骨によって産生され、血中リン濃度を低下させるように作用するホルモンである。FGF23は、腎臓でKlotho-FGF受容体複合体に結合することにより、作用を発揮する。FGF23は、近位尿細管刷子縁膜上に発現する2a型、および2c型ナトリウム-リン共輸送体の発現を低下させることにより、リン再吸収を抑制する。FGF23はまた、ビタミンD代謝酵素発現調節を介し、血中1,25-水酸化ビタミンD[1,25(OH)2D]濃度を低下させ、腸管リン吸収を抑制する。
  1. 過剰なFGF23作用により惹起される低リン血症性くる病・骨軟化症を、FGF23関連低リン血症性くる病・骨軟化症と呼んでいる。
  1. ビタミンD抵抗性くる病・骨軟化症、およびビタミンD依存性くる病・骨軟化症は、指定難病であり、中等症以上の場合などでは、認定されると保険料の自己負担分の一部が公費負担として助成される。
  1. ビタミンD抵抗性くる病/骨軟化症ビタミンD依存性くる病/骨軟化症(令和6年4月施行)
  1. 難病法に基づく医療費助成制度
問診・診察のポイント  
  1. 発症時期の確定のため、小児期の成長、症状の発現時期を確認する。

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オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 伊勢雄也 以下、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光および日本医科大学多摩永山病院 副薬剤部長 林太祐による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
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(詳細はこちらを参照)
著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
福本誠二 : 報酬額(協和キリン(株))[2024年]
監修:平田結喜緒 : 特に申告事項無し[2024年]

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