今日の臨床サポート 今日の臨床サポート

著者: 渡辺昌文 山形大学医学部 内科学第一講座(循環・呼吸・腎臓内科学)

監修: 伊藤浩 川崎医科大学総合内科学3教室

著者校正/監修レビュー済:2022/10/26
患者向け説明資料

改訂のポイント:
  1. 前回改定から、新しいガイドラインは発表されていない。
  1. レジストリー、メタ解析などで、症例の集積が進み、くも膜下出血 、CKD、悪性腫瘍、肥満、敗血症、COPDなどの患者で本症が合併すると予後が悪いことが報告されている。
  1. 遺伝的要因として、ADRB1, GRK5, BAG3などの遺伝子バリアントなどが注目されているが、結論は出ていない。

概要・推奨   

【概要】
  1. たこつぼ型心筋症は、左心室壁の一部が一過性に無収縮となる症候群である。無収縮となる領域は、冠状動脈の支配領域では説明がつかず、80%以上の症例で心尖部を中心とした領域である。冠動脈造影検査で無収縮の原因となる冠動脈病変は認められない。
  1. 1990年、佐藤らによって最初に報告され[1][2]、左室造影で、左室心尖部とその周囲が拡張したまま収縮しない様が、蛸壺の形を連想させることから、「たこつぼ心筋障害」または「たこつぼ心筋症」と呼ばれた。
  1. 河合らTakotsubo Cardiomyopathy Study GroupTCSG, 2007)による狭義の「たこつぼ心筋症」の診断基準[3]、より広義のMayo clinic criteria2008[4]Inter TAK Diagnostic Criteria2018[5]が代表的な診断基準である。
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  1. 予後は、必ずしも良好とはいえず、再発も稀ではない。
    【推奨】
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病態・疫学・診察 

疾患情報(疫学・病態)  
  1. たこつぼ型心筋症は、1990年にわが国から初めて報告された。当初、主に日本で注目を集めたが、2000年代に入って、海外でもその存在が広く認識されるようになった。2006年には、アメリカ心臓病学会も、本症候群を、後天的心筋症に含めた。
  1. いずれの診断視診やガイドラインも主に経験に基づいて作成されている。近年、The GErman Italian Spanish Takotsubo (GEIST) Registry、National Registry on TAKOtsubo syndrome (RETAKO) など、国際的な Registry が行われており、病態解明が期待される。
疫学
  1. 高齢女性(女性90%、平均年齢67歳)に多くみられる。
  1. 発症前にストレスがあることが多く、心因性ストレスのみ(27.7%)、身体的ストレスのみ(36.0%)、両方のストレス(7.8%)の場合がある。ストレスが認められない(28.5%)こともある[6]
  1. 身体的ストレスの内容としては、急性呼吸不全(20.2%)、術後・骨折後(18.4%)、脳神経疾患(15.5%)、感染症(8.1%)などである[6]
  1. 心因性ストレスの内容としては、悲しみ・喪失感(22.1%)、パニック・恐怖・心配(22.1%)、対人摩擦(16.1%)、怒り・不満(15.8%)、経済・雇用問題(7.6%)などである[6]
  1. 心因性ストレスは、幸福なことでもきっかけとなる。ネガティブな場合に比べて、年齢が高めで、高血圧歴は少なく、midventricular type が多い[7]
  1. 病歴に、神経疾患や精神疾患が比較的多いことが報告されている。
  1. 強度の地震の際に本症候群の患者が増加したという複数の報告がある[8]
  1. COVID-19 感染時にも、見られるという報告がある。
  1. ごく軽症で、病院を受診しない患者がいることも予想される。また全身状態の悪い入院患者で発症した場合、心臓カテーテル検査などの侵襲的な検査は施行されず、本症の診断が確定しないこともあると考えられる。
  1. 遺伝的要因として、ADRB1, GRK5, BAG3などの遺伝子バリアントなどが注目されているが、結論は出ていない[9]
 
病態
  1. たこつぼ型心筋症は、左心室壁の一部が一過性に無収縮となる症候群である。無収縮となる領域は、冠状動脈の支配領域では説明がつかず、80%以上の症例で心尖部を中心とした領域である。冠動脈造影検査では、無収縮の原因となる冠動脈病変は認められない。
  1. 本症では、心筋マクロファージの炎症性浸潤、炎症性サイトカインの上昇などの慢性炎症状態が5か月程度持続するという報告がある[10]
  1. 発症機序は、主要な冠動脈の基質的病変が原因ではないことに異論はないが、真の発症機序は不明である。以下のような説が唱えられているが、いずれもコンセンサスを得られていない。診断基準の作成・予防・根本的な治療は困難である。
  1. 冠動脈多枝攣縮
  1. 自律神経異常 
  1. 冠動脈微小循環障害
問診・診察のポイント  
  1. 急性心筋梗塞との鑑別が重要である。冠動脈危険因子(高血圧、糖尿病、脂質異常、肥満、喫煙、虚血性心疾患の家族歴など)についての問診、病歴の聴取など、急性心筋梗塞の可能性を検討する。

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薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 伊勢雄也 以下、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光および日本医科大学多摩永山病院 副薬剤部長 林太祐による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
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(詳細はこちらを参照)
著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
渡辺昌文 : 未申告[2024年]
監修:伊藤浩 : 講演料(第一三共(株),大塚製薬(株))[2024年]

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たこつぼ(型)心筋症/たこつぼ症候群

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