今日の臨床サポート 今日の臨床サポート

著者: 桑山隆志 東京都立病院機構 がん・感染症センター駒込病院 外科(乳腺)

監修: 中村清吾 昭和大学医学部外科学講座乳腺外科学部門

著者校正/監修レビュー済:2022/02/16
患者向け説明資料

改訂のポイント:
  1.  定期レビューを行った(変更なし)

概要・推奨   

  1. 血性乳頭分泌を来す患者のうち56.6%が乳管内乳頭腫であるが、33.2%は乳癌と診断され、鑑別診断が最も重要である(推奨度2)
  1. 末梢性の乳管内乳頭腫では、病理学的に異型細胞を伴う場合、非浸潤癌の発生リスクが4~5倍と高いため、切除後であっても経過観察が必要である(推奨度2)

病態・疫学・診察 

疾患情報(疫学・病態)  
  1. 発生部位の違いにより中枢性および末梢性に分類され、中枢性のものは孤立性乳管内乳頭腫、末梢性のものは乳管内乳頭腫症とも呼ばれる。
  1. 良性上皮性腫瘍の中で最も頻度が高く、30~50歳代に最も多い。
  1. 血性乳頭分泌が64~88%に認められ、ときには腫瘤を触知することがある。
  1. 通常2~3mm程度の大きさであるが、なかには2~3cmになるものもある。
  1. 非浸潤性乳管癌との鑑別が非常に重要であり、分泌物の細胞診・分泌物中のCEA濃度測定などが有用とされているが、偽陰性症例も多いため、慎重な対応が必要である。
  1. 組織診にて異型上皮が存在する場合、乳癌の発生が通常の5~7倍との報告もあり、経過観察が必要である。
 
  1. 血性乳頭分泌を来す患者のうち56.6%が乳管内乳頭腫であるが、33.2%は乳癌と診断され、鑑別診断が最も重要である(推奨度2o)。(参考文献:[1][2][3]
  1. 血性乳頭分泌の細胞診で乳管内乳頭腫の確定診断を行うことは非常に困難であり、乳癌での陽性率もわずか30%にすぎない。したがって血性乳頭分泌を来す患者で、乳管造影やMRIにて悪性を否定できない患者に対しては針生検やマンモトーム生検、さらにはmicrodochectomyを行い、鑑別診断を行うことが必要となる。
 
問診・診察のポイント  
  1. 乳頭分泌の性状・開口部の確認を行う。

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著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
桑山隆志 : 特に申告事項無し[2024年]
監修:中村清吾 : 特に申告事項無し[2024年]

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孤立性乳管内乳頭腫・乳管内乳頭腫症

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