今日の臨床サポート 今日の臨床サポート

著者: 高澤直子 順天堂東京江東高齢者医療センター 泌尿器科

監修: 堀江重郎 順天堂大学大学院医学研究科 泌尿器外科学

著者校正/監修レビュー済:2024/10/16
参考ガイドライン:
  1. 日本排尿機能学会日本泌尿器科学会女性下部尿路症状診療ガイドライン 第2版
  1. 日本排尿機能学会:過活動膀胱診療ガイドライン 第3版
  1. 日本サルコペニア・フレイル学会国立長寿医療研究センター:フレイル高齢者・認知機能低下高齢者の下部尿路機能障害に対する診療ガイドライン2021
患者向け説明資料

改訂のポイント:
  1. 定期レビューを行い、『過活動膀胱診療ガイドライン 第3版』および『フレイル高齢者・認知機能低下高齢者の下部尿路機能障害に対する診療ガイドライン2021』を参考に修正・加筆した。
  1. 抗コリン薬での認知機能障害のリスクについて明記した。

概要・推奨   

  1. 尿失禁はQOL疾患の代表的なものであり、直接生命に関わることはないものの、QOLを著しく阻害する。
  1. 尿失禁には種々の病態があるが、病態により治療法が異なるため、適切な治療選択においては正確な病態診断が重要であり、専門診療においては他覚的検査も必要となる。

病態・疫学・診察 

疫学情報・病態・注意事項  
まとめ:
  1. 尿失禁とは、自分の意図とは関係なく尿が漏れる状態で、排尿障害の一種である。
  1. 高齢者における尿失禁の頻度はきわめて高く、わが国では、60歳以上に高齢者の50%以上に尿失禁があると報告されている。
  1. その実際の数は、300万人以上ともいわれている。現実的には、羞恥心により尿失禁があっても病院に受診できないことが多い。
  1. また、一般内科医や泌尿器科医の高齢者尿失禁に対する関心は、残念ながら高いとはいえない。
  1. しかしながら、尿失禁はQOL疾患の代表的なものであり、直接生命に関わることはないものの、QOLを著しく阻害する。したがって、尿失禁の一般診療における、重症度の評価、治療選択、治療効果判定においては、自覚症状およびQOLへの影響の評価が一義的に重要である。
  1. 他方、尿失禁には種々の病態があるが、病態により治療法が異なるため、適切な治療選択においては正確な病態診断が重要であり、専門診療においては他覚的検査も必要となる。
 
疫学:
  1. 尿失禁についての本格的な疫学調査はわが国では行われておらず、正確な罹患率は不明であるが、1986年頃から、いくつかの尿失禁罹患率の調査、報告が行われている。
  1. 高齢者の尿失禁については、一般に在宅者の10%、病院・老人施設入所者については50%に尿失禁がみられると報告されており、わが国では1993年時点で約400万人の尿失禁罹患者がいるといわれている。急速に高齢社会化が進むわが国においては、50年後には約1,000万人の高齢者が尿失禁を有すると推計される。
  1. 高齢者では切迫性尿失禁の割合が多く、年齢が高いほど尿失禁頻度は増加する。女性尿失禁については、種々の対象群において罹患率が報告されている。
  1. 尿失禁以外は健康な女性における尿失禁罹患率は、10~46%と報告されており腹圧性尿失禁のほうが切迫性尿失禁より多いが、年齢が高くなるにつれて切迫性尿失禁の頻度が高くなる。わが国では、混合型尿失禁は20%程度にみられる。
問診・診察のポイント  
診断:
  1. 一般診療における診断では、症状の評価および身体的検査が重要であるが、必ずしも自覚症状と病態が一致しないこともあり、専門診療においては種々の他覚的検査が必要となる。

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著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
高澤直子 : 特に申告事項無し[2025年]
監修:堀江重郎 : 特に申告事項無し[2025年]

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尿失禁

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