今日の臨床サポート 今日の臨床サポート

著者: 野川茂 東海大学医学部付属八王子病院脳神経内科

監修: 内山真一郎 国際医療福祉大学臨床医学研究センター

著者校正/監修レビュー済:2025/03/12
参考ガイドライン:
患者向け説明資料

改訂のポイント:
  1. 定期レビューを行った(変更なし)。

概要・推奨   

【概要】
  1. 高血圧性脳症は高血圧緊急症のひとつに含まれ、本来脳血管自動調節能(cerebral autoregulationを有する脳血管に閾値を超えた高血圧負荷がかかり、脳血管のvasospasmおよび血液脳関門BBBのbreak-through現象による血管原性浮腫を生じ、可逆的あるいは非可逆的な組織学的変化が起きる状態である。
  1. 従来、このような病態はCTのみでは同定しにくいこともあったが、近年、MRI、MRA、脳灌流画像などにより、reversible cerebral vasoconstriction syndromeRCVSやPRESposterior reversible encephalopathy syndromeといったダイナミックな病態として捉えられるようになり、正しい診断が迅速な治療に結びつくようになってきた。
  1. 高血圧性脳症は、脳、心、腎、大血管などの標的臓器に不可逆的な変化をもたらす「高血圧緊急症」のひとつとされ[1][2]、速やかに適切に治療されなければ、脳血管障害(脳梗塞、脳出血、くも膜下出血)などの後遺症を残し、死に至ることもある疾患である。
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病態・疫学・診察 

疾患情報  
  1. 高血圧性脳症とは、血圧の急激な上昇に伴う神経障害で、脳血管自動調節能の逸脱による脳血管のvasospasmおよびBBBのbreak-through現象による血管性浮腫が原因と考えられている。
  1. 長期の高血圧患者では、220/110 mmHg以上(JNC7[3]の定義)で発症することが多いが、正常血圧者では160/100 mmHgでも発症することがある[4]
  1. 主症状は激しい頭痛、悪心・嘔吐、視力障害、痙攣、意識障害などである。
  1. 本疾患では、後方循環の白質に浮腫性病変を来すことが多く、後方可逆性白質脳症症候群(posterior reversible encephalopathy syndrome、PRES[5])、あるいは可逆性後白質脳症症候群(reversible posterior leukoencephalopathy syndrome、RPLS[6])とも呼ばれる。これらは同義であるため、併記されることもある(RPLS/PRES)。
  1. 高血圧により二次的に可逆性脳血管攣縮症候群(reversible cerebral vasoconstriction syndrome、RCVS[7])を呈することがあり、本疾患の類縁疾患と考えられる。
  1. 高血圧の原因は様々であり( >詳細情報 参照)、受診時には必ずしも、高血圧を呈しているとは限らない。症状の詳細な聴取、PRES、RCVSを含めたMRI所見などの解析が重要である。
  1. 脳卒中などの各種神経疾患との鑑別が重要であるため、必要であれば脳神経内科医または脳神経外科医にコンサルトする。
  1. また、子癇および子癇前症は高血圧性脳症と類似しているが、血管の蛋白透過性の亢進なども加わった病態であり、必すしも高血圧を呈さないこともある[8][9]
  1. 高血圧性脳症は、治療の遅滞が非可逆的な脳障害や、ときに致死的転帰を招く高血圧緊急症である。
  1. 治療には降圧薬の点滴静注による速やかな降圧が必要であるため、原則として集中治療室(ICU)かそれに類する環境下での治療を要する。
概念・病態生理  
  1. 高血圧性脳症とは、1928年にOppenheimerらが提唱した概念で、急激な血圧上昇、あるいは持続的な高度の高血圧により神経症状が引き起こされた病態である[10]。脳血管には全身血圧の変化に関わらず、脳血流を一定に保つ脳血管自動調節能autoregulationが存在することが知られている。一般には、脳血管自動調節能の働く全身平均血圧は60-150 mmHg程度とされており、その上限を超えた際に高血圧性脳症を生じるとされる[11]
  1. その機序としては、従来2種類の説が報告されている。

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薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 伊勢雄也 以下、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光および日本医科大学多摩永山病院 副薬剤部長 林太祐による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
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尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
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(詳細はこちらを参照)
著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
野川茂 : 講演料(武田薬品工業(株))[2025年]
監修:内山真一郎 : 特に申告事項無し[2025年]

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高血圧性脳症

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