今日の臨床サポート 今日の臨床サポート

著者: 内山倫宏 獨協医科大学 埼玉医療センター 糖尿病内分泌・血液内科

監修: 神田善伸 自治医科大学附属病院 血液科

著者校正/監修レビュー済:2024/12/11
参考ガイドライン:
  1. Gnanaraj J, Parnes A, Francis CW, et al. Approach to pancytopenia: Diagnostic algorithm for clinical hematologists. Blood Rev, 32(5): 361-7, 2018
  1. 再生不良性貧血の診断基準と診療の参照ガイド改訂版作成のためのワーキンググループ:再生不良性貧血診療の参照ガイド 令和4年度改訂版. 2023
患者向け説明資料

改訂のポイント:
  1. 定期レビューを行い、文章の一部を簡潔な表現に修正した。また、2つの症例報告を追記した。
 

概要・推奨   

  1. 汎血球減少(pancytopenia)は、造血幹細胞の問題あるいは二次的に造血幹細胞に影響する原因により、造血障害が起こっていることを示す。
  1. 汎血球減少は、日常診療で時折遭遇する病態であり、血球減少の程度によっては迅速な対応が必要となる。
  1. 「汎血球減少=血液疾患」とは限らず、汎血球減少の診断には総合的な病態解釈が求められる。
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病態・疫学・診察 

疫学情報・病態・注意事項  
  1. 汎血球減少(pancytopenia)は赤血球、白血球、血小板のすべての血球成分が減少した状態である。
  1. 成人では、ヘモグロビン濃度が男性 12.0 g/dL未満、女性 11.0 g/dL未満、白血球数 4,000 /μL未満、血小板数 100,000 /μL未満を同時に認める場合に汎血球減少と診断する。この基準は施設や汎血球減少を診断する状況により異なる。
  1. 汎血球減少は、造血幹細胞の問題あるいは二次的に造血幹細胞に影響する原因により造血障害が起こっていることを示すため、原因の検索が必須である。
  1. 汎血球減少は日常診療で時折遭遇する血球異常であるが、「汎血球減少=血液疾患」とは限らないことに注意する。
  1. 骨髄における血球産生の低下だけでなく、末梢での血球の消費・破壊亢進が原因となることもある。
 
汎血球減少を来す疾患

汎血球減少を来す疾患は多岐にわたるが、日常臨床において、軽症のものは脾機能亢進症、軽症骨髄異形成症候群の頻度が高い。

出典

樋口敬和先生ご提供
 
  1. 骨髄における血球産生の低下は、①造血細胞の障害:再生不良性貧血、薬剤性、放射線治療後、アルコール多飲、②造血細胞のクローン性異常:骨髄異形成症候群、発作性夜間ヘモグロビン尿症、③異常細胞による骨髄浸潤(置換):急性白血病、悪性リンパ腫の骨髄浸潤、がんの骨髄転移、多発性骨髄腫、骨髄線維症、有毛細胞白血病、粟粒結核、サルコイドーシス、④血球成熟障害:ビタミンB12欠乏症、葉酸欠乏症、銅欠乏症、アルコール多飲――により起こる。
  1. 末梢での血球の消費・破壊亢進は、①免疫学的機序:全身性エリテマトーデス(SLE)、シェーグレン症候群、薬剤性、②脾機能亢進症:慢性肝疾患/肝硬変、特発性門脈圧亢進症、③感染症④血球貪食症候群――により起こる。
  1. 実地臨床では複数の機序が同時に関与している場合もあることを念頭においてアプローチする。
  1. 汎血球減少の重症度は、血球減少の程度、原因、進行速度、持続期間、併存疾患、合併疾患などにより異なるが、緊急性を適切に判断して対応する。
  1. 汎血球減少が高度である際には緊急の対応が必要である。
  1. 赤血球、白血球、血小板のうちいずれか2系統の血球が減少した状態をbicytopeniaと呼ぶ。この場合も基本的に汎血球減少と同様にアプローチする。
  1. 1系統または2系統の血球の減少であっても、経過中に他の血球も減少して汎血球減少(またはbicytopenia)となることもある。
  1. 汎血球減少のアプローチにおいては、まずは診断に骨髄検査が必要か判断する。
  1. 脾機能亢進症(慢性肝疾患/肝硬変、特発性門脈圧亢進症)、発作性夜間ヘモグロビン尿症、SLE、シェーグレン症候群、ビタミンB12欠乏症、葉酸欠乏症、感染症、アルコール多飲、サルコイドーシス、結核、非定型抗酸菌症などの疾患および薬剤性は、骨髄検査を行わなくても診断可能である。
  1. 骨髄検査を行わなくても診断できる汎血球減少を来す疾患:表<図表>
  1. 骨髄検査を行わなくても診断可能な疾患が考えられれば、可能ならば原因の治療を行い、必要に応じて支持療法を行いながら汎血球減少の経過観察をする。
  1. 多くの薬剤が、造血細胞障害、免疫学的機序により汎血球減少を来す。
  1. 薬剤が原因であると疑われる場合は、軽症の汎血球減少であれば経過観察しながら精査を進めることも可能である。
  1. これら以外の原因の可能性が高ければ、骨髄検査を考慮する。
  1. 汎血球減少の原因として日常臨床においては、高齢者を中心に骨髄異形成症候群の頻度が高い。
  1. 高齢者で月~年単位で徐々に進行する汎血球減少をみたら、骨髄異形成症候群の可能性を念頭に置く。
  1. 急性に起こった高度の汎血球減少は、重症感染症、急性白血病、血球貪食症候群などが鑑別に挙がる。
  1. 急性白血病でも汎血球減少を来す場合があり、末梢血中に白血病細胞を認めないこともある。
  1. 診断が確定しても、複数の原因が関与している可能性を念頭において、除外診断することが重要である。
問診・診察のポイント  
 
問診:
  1. 過去の検査データについて。

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(詳細はこちらを参照)
著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
内山倫宏 : 未申告[2024年]
監修:神田善伸 : 講演料(旭化成(株),MSD(株),ノバルティスファーマ(株),ファイザー(株),サノフィ(株),中外製薬(株),アステラス製薬(株),協和キリン(株)),奨学(奨励)寄付など(協和キリン(株),中外製薬(株))[2024年]

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