今日の臨床サポート 今日の臨床サポート

著者: 新井文子 聖マリアンナ医科大学 血液・腫瘍内科

監修: 宮﨑泰司 長崎大学病院血液内科

著者校正/監修レビュー済:2023/06/22
患者向け説明資料

改訂のポイント:
  1. 定期レビューを行った(変更なし)。

概要・推奨   

  1. HLHの初期治療として推奨されるのは94およびHLH-2004である(推奨度1)
  1. 家族性HLHの場合はHLH-94による初期治療に引き続き早期に造血幹細胞移植を行う。移植前処置としてはRICが推奨される。幹細胞ソースは骨髄が推奨されるが、供給不可能であれば臍帯血移植を選択する(推奨度2)
  1. 二次性HLHの場合、リンパ腫など悪性腫瘍は原疾患の治療方針に従う。リンパ腫以外の場合、慢性活動性EBウイルス感染症では同種造血幹細胞移植の適応となるため、除外する必要がある(推奨度2)
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病態・疫学・診察 

疾患情報  
  1. 血球貪食症候群(hemophagocytic lymphohistiocytosis、HLHもしくはhemophagocytic syndrome、HPS)は、骨髄、リンパ節、肝臓、脾臓などの網内系組織において、活性化したマクロファージなどの組織球が血液細胞を貪食し、発熱、肝障害などとともに著明な血球減少が生じる重篤な疾患である。病態:何らかの原因で活性化したリンパ球が過剰なサイトカインを分泌した結果生じる。PRF 、SAP、XIAPなどの遺伝子異常を背景に生じる家族性HLHと、悪性腫瘍(リンパ腫など)、感染症(ウイルス感染など)、自己免疫性疾患などに伴う二次性HLH(続発性)がある。
  1. スウェーデンでは常染色体劣性の家族性HLHは、新生児5万人に1人というデータがある[1][2]。わが国では2001年から2005年までの5年間で799例が報告されているが、家族性はそのうち4.1%で、二次性が95%以上であったと報告されている[1]。その結果から類推される本邦の発症数は年間約150例とされる。
問診・診察のポイント  
  1. 持続性の発熱に加え、肝脾腫大による腹部症状の急速な進行、さらに紫斑、点状出血などの皮下出血や、鼻粘膜、口腔粘膜、肛門などからの粘膜出血などをみた場合、本症候群を疑う。思春期までの若年者ではEBウイルスなど感染症や遺伝子異常に基づく家族性が、成人ではリンパ腫、ウイルス感染症、自己免疫性疾患などの基礎疾患を合併する二次性が多いため、これらを疑わせる病歴や臨床症状の有無について問診で確認する。特に成人例の基礎疾患ではリンパ腫が最も多いため、リンパ節腫脹に加え、先行する体重減少、発熱の経緯などに注意する。意識障害、神経症状、髄膜刺激症状は重要な確認事項である。

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薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 伊勢雄也 以下、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光および日本医科大学多摩永山病院 副薬剤部長 林太祐による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、 著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
※同効薬・小児・妊娠および授乳中の注意事項等は、海外の情報も掲載しており、日本の医療事情に適応しない場合があります。
※薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、エルゼビアジャパン編集部によって記載日時にレセプトチェックソフトなどで確認し作成しております。ただし、これらの記載は、実際の保険適応の査定において保険適応及び保険適応外と判断されることを保証するものではありません。また、検査薬、輸液、血液製剤、全身麻酔薬、抗癌剤等の薬剤は保険適応の記載の一部を割愛させていただいています。
(詳細はこちらを参照)
著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
新井文子 : 特に申告事項無し[2024年]
監修:宮﨑泰司 : 未申告[2024年]

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血球貪食症候群

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