脳静脈血栓症

著者: 橋本洋一郎 熊本市立熊本市民病院

監修: 内山真一郎 国際医療福祉大学臨床医学研究センター

著者校正/監修レビュー済:2019/10/26
参考ガイドライン:
  1. Saposnik G, Barinagarrementeria F, Brown RD, Bushnell CD, Cucchiara B, Cushman M, deVeber G, Ferro JM, Tsai FY, American Heart Association Stroke Council and the Council on Epidemiology and Prevention. Diagnosis and management of cerebral venous thrombosis: a statement for healthcare professionals from the American Heart Association/American Stroke Association. Stroke [Internet]. 2011 Apr 1 [cited 2018 Sep 7];42(4):1158–92. Available from: http://stroke.ahajournals.org/cgi/doi/10.1161/STR.0b013e31820a8364 PMID: 21293023
  1. 日本脳卒中学会 脳卒中治療ガイドライン委員会:脳卒中治療ガイドライン2015、協和企画、2015
  1. Ferro J, Bousser MG, Canhão P, Coutinho JM, Crassard I, Dentali F, di Minno M, Maino A, Martinelli L, Masuhr F, de Sousa DA, Stam J; for the European Stroke Organization: European Stroke Organization guideline for the diagnosis and treatment of cerebral venous thrombosis- endorsed by the European Academy of Neurology. Eur Stroke J 2017; 2(3): 195-221.PMID: 31008314

概要・推奨  

  1. 脳静脈血栓症は脳梗塞と似て非なる症候を呈する。①進行性に増悪すること②症候の動揺③頭蓋内圧亢進症候やけいれんを伴うことが多いこと④両側性病変に伴う症候が多いこと――などであるため、このような特徴を持つ頭痛は積極的に脳静脈血栓症を検査することが推奨される(推奨度2)。
  1. 脳静脈血栓症はCTやMRIにて診断を行う。特に、MRIのT2*強調画像やSWIとMRV、あるいはCTAでまず診断を行い、必要に応じて脳血管造影を行うことが推奨される(推奨度1)。
  1. 頭痛のみあるいは持続時間の長い症例を除いて、脳静脈血栓症の疑いのある患者では神経画像診断の前にD-dimerの測定が推奨される(推奨度2)。
  1. 脳静脈血栓症では潜在性の悪性腫瘍のルーチンなスクリーニングは転帰改善のためには推奨されない(推奨度3)。
  1. 脳静脈血栓症では死亡の減少、機能的転帰の改善、静脈血栓の予防のための凝固系検査のスクリーニングは推奨されない(推奨度3)。
  1. 脳静脈血栓症の治療において原因不明の場合は、凝固系検査を行うことが推奨される(推奨度2)。
  1. 脳静脈血栓症急性期には抗凝固療法が第1選択となる。積極的なヘパリンによる抗凝固療法[活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)値が約2倍程度になるようヘパリン量を調節し、約2週間のヘパリン持続静注後、経口投与に切り替える]が推奨される(推奨度2)。
  1. 脳静脈血栓症急性期に出血性梗塞を来しても、発症数日以内に明らかな出血の拡大傾向がなければ、ヘパリンによる抗凝固療法を考慮してよい。しかし、その投与には慎重を要する(推奨度2)。
  1. 血栓溶解療法の効果は十分立証されていないが、重症例あるいは抗凝固療法によって改善のみられない症例に血栓溶解薬(ウロキナーゼあるいは組織プラスミノゲンアクチベーター[t-PA])の局所投与を試みてもよい(推奨度3)。
  1. 機械的血栓回収療法による血管内治療は難治性の脳静脈血栓症の効果的な治療として推奨される(推奨度2)。
  1. 開頭外減圧術は、治療困難な頭蓋内圧亢進症症例では考慮してもよい(推奨度2)。
薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 片山志郎 以下、林太祐、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、
著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
※薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、エルゼビアジャパン編集部によって記載日時にレセプトチェックソフトなどで確認し作成しております。ただし、これらの記載は、実際の保険適用の査定において保険適用及び保険適用外と判断されることを保証するものではありません。また、検査薬、輸液、血液製剤、全身麻酔薬、抗癌剤等の薬剤は保険適用の記載の一部を割愛させていただいています。
(詳細はこちらを参照)

改訂のポイント:
  1. GRADEシステムで作成されたESOのガイドライン(2017年)の内容を踏まえて定期レビューを行った。
  1. D-dimerの測定、潜在性の悪性腫瘍や凝固系検査のスクリーニング、直接作用型経口抗凝固薬(DOAC)、機械的血栓回収療法による血管内治療、妊娠中や産褥期の急性脳静脈血栓症について言及した。


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