肺化膿症 :トップ    
監修: 具芳明 国立国際医療研究センター病院 AMR臨床リファレンスセンター
大路剛 神戸大学 医学部感染症内科

概要

疾患のポイント:
  1. 肺化膿症とは、肺実質感染の一部が壊死に陥った化膿性炎症である。各種嫌気性菌、黄色ブドウ球菌、肺炎桿菌、大腸菌、緑膿菌などが原因となることが多い。なお、結核菌による化膿性炎症は肺化膿症と区別する。
  1. なお、肺膿瘍、肺化膿症は病理学的には同様の病態である。
  1. 他の臓器の膿瘍性疾患と異なり多くは気管によって外界と交通している。
  1. 肺化膿症の原因は、たいてい誤嚥性肺炎で、原因微生物の多くは口腔内の偏性嫌気性菌である。
 
診断:アルゴリズム  >詳細情報 
  1. 胸部X線写真や胸部CTでair-fluid levelを伴う肺の空洞影を認めることから診断することが大半である。(診断・治療アルゴリズムアルゴリズム
  1. しかし、この空洞影の所見のみでは他の鑑別診断もいろいろと挙がる。<図表>
  1. 排菌のある肺結核の除外は感染制御の観点から非常に重要である。
 
予後:
  1. 通常、3日から7日程度の治療で解熱する。4週から6週間ほど投与して治療を終了することが一般的である。
  1. 解熱しなければ、気管の閉塞やまれな病原微生物の可能性を考え、気管支鏡による観察と検体採取を考慮する。
  1. 肺化膿症の診断では、慢性の経過の発熱疾患の病歴から疑い、胸部画像検査で診断していく。いきなり胸部CTに進むよりは排菌のある肺結核を考え、胸部X線写真撮影を先行させるほうが望ましい。
 
治療:アルゴリズム  >詳細情報 
  1. 多くの肺化膿症の原因微生物は横隔膜上の嫌気性菌であり、ペニシリンやアンピシリンで治療可能である。しかし、アンピシリンやペニシリンGの経静脈投与にもかかわらず、解熱しない場合などは、ペニシリン耐性のFusobacterium属、Prevotella属なども考え、アンピシリン・スルバクタムやクリンダマイシンの使用も考慮する。
  1. 通常の膿瘍と異な…

評価・治療の進め方

※選定されている評価・治療は一例です。症状・病態に応じて適宜変更してください。

肺化膿症を疑った場合に行う検査例
  1. 慢性の発熱、体重減少では、まず肺結核を疑う必要がある。比較的換気の悪いことが多いCT室でいきなり撮影する胸部CTのオーダーは医療従事者の労働安全衛生の観点から望ましくない。
○ 症状、鑑別疾患に基づき、下記の検査を考慮する。

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薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 片山志郎 以下、林太祐、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、
著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
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肺の空洞性病変鑑別の流れ
肺の空洞性病変の鑑別
肺化膿症
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著者校正/監修レビュー済
2016/06/30