今日の臨床サポート 今日の臨床サポート

著者: 相野田祐介 国立がん研究センター東病院 感染症科

監修: 具芳明 東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科 統合臨床感染症学分野

著者校正/監修レビュー済:2023/11/08
参考ガイドライン:
  1. 米国胸部学会(ATS)/米国感染症学会(IDSA):成人市中肺炎診断治療ガイドライン 2019(https://www.idsociety.org/practice-guideline/community-acquired-pneumonia-cap-in-adults/
患者向け説明資料

改訂のポイント:
  1. 定期レビューを行い、以下について追記した。
  1. 疫学:国内の東北地域における多施設研究では、急性期病院の入院肺炎症例の38.4%、70歳以上の高齢者では42.8%が誤嚥性肺炎だったという報告がある(Suzuki J, et al. PLoS One. 2021 Jul 30;16(7):e0254261.)。ただし、この報告は後ろ向きの観察研究であり、誤嚥性肺炎において嫌気性菌の検出は従来と比べて頻度が低かった(<1%)とも述べられている。
  1. 診断:システマティックレビューでは、嚥下障害の有無そのものよりも、高齢者におけるフレイルの程度や複数の基礎疾患などから誤嚥性肺炎と診断される可能性が高いと報告されている(Yoshimatsu Y, et al. Eur Geriatr Med. 2022 Oct;13(5):1071-1080.)。
  1. 治療:システマティックレビューでは、誤嚥性肺炎におけるルーチンの嫌気性菌カバーに関する有益性は示せなかったが、エビデンスを評価するデータも不十分としている(Yoshimatsu Y, et al. J Clin Med. 2023 Mar 2;12(5):1992.)。

概要・推奨   

  1. 誤嚥性肺炎とは、細菌が唾液や胃液とともに肺に流れ込んで生じる肺炎である。誤嚥が背景にある状態の肺炎で考慮する。
  1. 誤嚥性肺炎の抗菌薬は、明らかな嫌気性菌の関与が考慮される状況(肺化膿症・膿胸)などの所見がある場合には、β-ラクタマーゼ産生型嫌気性菌カバーのあるものを選択することが推奨されている(推奨度2)
  1. メトロニダゾール単剤の治療は推奨されていない。メトロニダゾールを用いる場合には、必ず口腔内レンサ球菌などに感受性のある薬剤([ペニシリンG[PCG]やアモキシシリン[AMPC]など)を併用する必要がある(推奨度3)
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薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 伊勢雄也 以下、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光および日本医科大学多摩永山病院 副薬剤部長 林太祐による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、 著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
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(詳細はこちらを参照)
著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
相野田祐介 : 特に申告事項無し[2024年]
監修:具芳明 : 研究費・助成金など(MSD(株))[2024年]

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