今日の臨床サポート 今日の臨床サポート

著者: 木村宗芳 虎の門病院 臨床感染症部臨床感染症科

監修: 細川直登 亀田総合病院

著者校正済:2022/04/27
現在監修レビュー中
参考ガイドライン:
  1. ヨーロッパ真菌学会(European Confederation of Medical Mycology):Global guideline for the diagnosis and management of mucormycosis:an initiative of the European Confederation of Medical Mycology in cooperation with the Mycoses Study Group Education and Research Consortium.2019
患者向け説明資料

改訂のポイント:
  1.  定期レビューに加えて、治療薬の項目にポサコナゾールを追記した。

概要・推奨   

  1. ムーコル症の確定診断は、感染組織の生検で行う。生検組織は、病理検査(グロコット染色など)、培養検査に提出する。また可能であればPCR検査も追加することが望ましい(推奨度2)
  1. 肺ムーコル症の早期診断には、胸部CT検査の所見が有用なことがある。ただし、感度・特異度ともに高い所見は存在しない。そのため、疑わしい所見を見つけたときにも診断的手技(気管支鏡検査、CTガイド下肺生検、外科手術での生検)での証明を怠ってはならない(推奨度1)
  1. ムーコル症に対する抗真菌薬の第1選択はリポソーマルアムホテリシンBである。本症を疑った際には、可能な限り早期から十分量の本剤を使用することが望ましい(推奨度1)
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病態・疫学・診察 

疾患情報(疫学・病態)  
  1. 本症は、糸状真菌であるムーコル目(Mucorales)に属するいくつかの菌種による感染症である。ヒトに生じるムーコル症を生じる菌種としては、Rhizopus(クモノスカビ)、Mucor(ケカビ)、Rhizomucor(リゾムコール)、Cunninghamella(クスダマカビ)、Absidia(コミケカビ)などが知られている。
  1. ムーコル感染症の診断は難しいとされる。リスク因子と病歴から本症を疑った際には可能な限り感染が疑われる組織の生検を実施し、病理組織での診断および組織培養、組織のPCR検査などによる診断を試みることが望ましい。
  1. ムーコル感染症のリスク因子として、造血幹細胞移植、固形臓器移植、血液悪性疾患、コントロール不良な糖尿病(特にケトアシドーシスを来している状態)、鉄過剰状態が挙げられる。
  1. ムーコル感染症のリスク因子として、造血幹細胞移植、固形臓器移植、血液悪性疾患、コントロール不良な糖尿病(特にケトアシドーシスを来している状態)、鉄過剰状態が挙げられる。
  1. ボリコナゾール予防投与中に出現した真菌性肺炎または真菌性副鼻腔炎はムーコル症のリスク因子とされる。
  1. 予後の悪い疾患であり、早期診断・早期治療が不可欠である。可能な限り早期に診断をつける必要があるが、本症を疑った際には、診断が確定する前から適切な治療を開始していなければならない。
  1. 治療の原則は十分量のリポソーマルアムホテリシンB点滴による治療、感染組織のデブリードマン、リスク因子の解除である。
問診・診察のポイント  
  1. リスク因子の有無を確認する。

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薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 伊勢雄也 以下、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光および日本医科大学多摩永山病院 副薬剤部長 林太祐による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、 著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
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著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
木村宗芳 : 特に申告事項無し[2024年]
監修:細川直登 : 未申告[2024年]

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ムーコル副鼻腔炎、肺感染症

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