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著者: 大路剛 神戸大学大学院医学研究科微生物感染症学講座感染治療学分野

監修: 具芳明 東京科学大学大学院医歯学総合研究科 統合臨床感染症学分野

著者校正/監修レビュー済:2023/10/25
患者向け説明資料

改訂のポイント:
  1. 定期レビューを行い、一部修正した。また、問診・診察のポイントとして以下について加筆した。
  1. 先行する細菌性肺炎(肺炎球菌など)に対する治療を適切な抗菌薬で行っているにもかかわらず、炎症が続くなどの病歴からも、続発する肺化膿症・膿胸などを疑うきっかけになる。
  1. また、長期の好中球減少などの病歴はMucor、Aspergillus 属などを原因微生物として疑うきっかけになる。

概要・推奨   

  1. 肺化膿症は肺実質の壊死によって起こる膿瘍性疾患である。なお、肺膿瘍、肺化膿症は病理学的には同様の病態である。
  1. 原因は、たいてい誤嚥性肺炎で、原因微生物の多くは口腔内の偏性嫌気性菌である。
  1. 症状は発熱、体重減少、寝汗、膿性痰が続き、胸膜の刺激痛などがみられる。
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病態・疫学・診察 

疾患情報(疫学・病態)  
  1. 肺化膿症は肺実質の壊死によって起こる膿瘍性疾患である。なお、肺膿瘍、肺化膿症は病理学的には同様の病態である。
  1. 他の臓器の膿瘍性疾患と異なり多くは気管によって外界と交通している。
  1. 肺化膿症の原因は、たいてい誤嚥性肺炎で、原因微生物の多くは口腔内の偏性嫌気性菌である。
  1. 胸部画像検査で空洞影の鑑別診断としても問題となる。
  1. 原因微生物としては免疫正常者の市中感染症であれば、多くは偏性嫌気性菌を含む複数菌、血行性転移をきたした場合は黄色ブドウ球菌、免疫不全患者では緑膿菌があげられる。時に市中発症で高病原性のKlebsiella pneumoniaeが原因となることがある。
 
肺化膿症

肺化膿症は腫瘤影のように認められる場合もある。

出典

Ferri, Fred F.:Ferri's Clinical Advisor 2019. Lung Abscess, Fig.1-A. Elsevier, 2019
 
肺化膿症

CTガイド下穿刺を行い、培養検体を採取している。末梢病変で治療に反応性が悪い場合は検体を採取する方法としてCTガイド下生検が行われる。

出典

Ferri, Fred F.:Ferri's Clinical Advisor 2019. Lung Abscess, Fig.1-B. Elsevier, 2019
問診・診察のポイント  
  1. 典型的な口腔内偏性嫌気性菌による肺膿瘍はゆっくりとした経過が多い。

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尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
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(詳細はこちらを参照)
著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
大路剛 : 研究費・助成金など((株)島津製作所,カーブジェン(株))[2024年]
監修:具芳明 : 研究費・助成金など(MSD(株))[2024年]

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