心不全 拡張機能障害 :トップ    
監修: 伊藤浩 岡山大学循環器内科
筒井裕之 九州大学 循環器内科学

概要

疾患のポイント:
  1. 心不全とは、狭義には心機能障害を基礎疾患として持ち、その臨床経過において特徴的な症状(呼吸困難や易疲労)や、身体的な所見(浮腫やラ音)を呈する臨床症候群として定義される。
  1. 心不全のうち、収縮機能が低下した心不全を「収縮不全」、収縮機能が低下していない心不全を「拡張不全」(HF、EF)と分類するが、臨床的な心不全では収縮機能も拡張機能もともに低下していることが多く、「収縮不全」と「拡張不全」を明確に区別することは容易ではない。
  1. 心不全の多くは「収縮不全」であるが、心不全患者の30~40%では左室駆出率で評価される収縮機能は保持されている。
  1. 拡張不全は、高齢者、女性に多く、高血圧、糖尿病、心房細動を伴うことが多い。近年増加傾向にあり、収縮不全に比し、死亡率や心不全による入院には大きな差はない。
 
診断: >詳細情報 
  1. ポイント:
  1. 診断は、アルゴリズムに沿って行う。心不全の症状と身体所見を認め、心エコー図検査を用いて左室駆出率が保持されており、さらにE/e’>15など拡張機能障害の所見を認める場合、拡張期心不全と診断する。血漿BNP 100pg/mlあるいはNT-proBNP 400pg/ml以上であれば心不全である可能性が高い。
  1. 心不全診断のフローチャート:アルゴリズム
  1. 拡張機能障害の所見:
  1. E/e’>15
  1. E/e’8~15+BNP 200pg/mlあるいはNT-proBNP 900pg/ml以上
  1. E/e’8~15あるいはBNP 200pg/mlあるいはNT-proBNP 900pg/ml以上+RAd-Ad>30msecあるいは左房容積計数40ml>m2(左房径であれば>40mm)あるいは左房重量計数>110g/m2(男)・110g/m2(女)あるいは心房細動
  1. 平均肺動脈楔入圧>12mmHg
 
予後:
  1. カナダ・オンタリオ州における2,802例の心不全患者を対象とした多施設共同研究では、収縮不全、拡張不全の30日以内の死亡率は、それぞれ7.1%、5.3%(p=0.08)、1年死亡率が25.5%、22…

評価・治療の進め方

※選定されている評価・治療は一例です。症状・病態に応じて適宜変更してください。

拡張不全治療開始時の薬剤例(利尿薬)
  1. 利尿薬によるうっ血の軽減を図る。ただし、利尿薬による左室充満圧の過度の低下は、心拍出量を減少させ低血圧を引き起こす危険性があるため、投与量を調節する。
○ 少量から開始し、低カリウム血症、低ナトリウム血症の発現に留意する。うっ血の程度に併せて、いずれか1つを適宜用いる。必要に応じて1)2)を併用する。

追加情報ページへのリンク

  • 心不全 拡張機能障害に関する詳細情報
  • 心不全 拡張機能障害に関する評価・治療例(詳細) (1件)
  • 心不全 拡張機能障害に関するエビデンス・解説 (13件)
  • 心不全 拡張機能障害に関する画像 (17件)
薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 片山志郎 以下、林太祐、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、
著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
※薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、エルゼビアジャパン編集部によって記載日時にレセプトチェックソフトなどで確認し作成しております。ただし、これらの記載は、実際の保険適用の査定において保険適用及び保険適用外と判断されることを保証するものではありません。また、検査薬、輸液、血液製剤、全身麻酔薬、抗癌剤等の薬剤は保険適用の記載の一部を割愛させていただいています。
(詳細はこちらを参照)

心不全診断のフローチャート
左室機能不全の治療アルゴリズム 拡張不全
非観血的中心静脈圧の推定法
心不全における末梢浮腫
心不全における肺うっ血の胸部X線写真
心不全の胸部X線写真(シェーマ)
NYHA(New York Heart Association)分類
著者校正/監修レビュー済
2017/07/31


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