転移性脳腫瘍

著者: 成田善孝 国立がん研究センター中央病院 脳脊髄腫瘍科

監修: 甲村英二 神戸大学大学院医学研究科外科系講座脳神経外科学分野

著者校正/監修レビュー済:2018/09/05

概要・推奨  

※『脳腫瘍診療ガイドライン 2019年版 第2版』(日本脳腫瘍学会金原出版)が発行されたため現在更新作業中です。本稿には必ずしも最新のガイドラインを反映していない記述が含まれている可能性があるためご注意下さい。
 
疾患のポイント:
  1. 転移性脳腫瘍とは、他臓器の癌が脳に転移したものである。
  1. 癌患者の少なくとも10%が転移性脳腫瘍を発症するといわれており、癌罹患数が100万人であることを考えると、少なくとも年間10万人の癌患者が新たに脳転移を発症すると考えられる。
  1. 転移性脳腫瘍の原発腫瘍は、肺癌(46.1%)、乳癌(14.5%)、大腸癌(6.0%)、腎癌(4.2%)、胃癌(3.3%)、直腸癌(3.0%)が多い。
  1. 診断時の症状は、局所症状(48.6%)、(頭痛など)(21.7%)、頭蓋内圧亢進症状(7.7%)、意識障害(8.2%)で、無症状(15.5%)でもCT/MRIでみつかることも少なくない。
  1. 診断時の転移性脳腫瘍の数は、単発(54.1%)、2~4個(30.6%)、5~9個(8.1%)、10個以上(4.9%)、髄膜癌腫症(2.3%)。
  1. 原発巣の診断から、転移性脳腫瘍の診断までの期間は、1年以内が56.6%と最も多いが、一方で5年以上経過して転移性脳腫瘍がみつかる例も7.4%存在するので、期間だけでは否定できない。
 
診断: >詳細情報 
  1. 転移性脳腫瘍は、頭部CTやMRI(<図表><図表><図表>)で診断されることが多い。その場合、必ず造影検査を行うべきである。
  1. 髄膜癌腫症の診断は、MRIでも困難な場合があるので、水頭症や明らかな頭蓋内圧亢進症状を認めるときには、髄液検査・髄液細胞診を行うべきである。
 
重症度・予後: >詳細情報 
  1. 転移性脳腫瘍患者の転帰を調べると、脳転移による中枢神経死の割合は約1/3であることから、予後予測に関しては原発巣、他臓器転移の評価が重要である。
 
治療:アルゴリズム
  1. 転移性脳腫瘍の治療には、腫瘍摘出術、放射線治療(全脳照射、定位放射線照射)、化学療法、リハビリ、Best su…
検査・処方例
※選定されている評価・治療は一例です。症状・病態に応じて適宜変更してください。

診断のための検査例
  1. 転移性脳腫瘍の治療には、腫瘍摘出術、放射線治療(全脳照射、定位放射線照射)、化学療法、リハビリ、Best supportive Careなどがある。
  1. 治療法は、転移巣の個数、大きさ、存在部位、組織型、全身状態などにより選択される。
  1. 単純CT(<図表>)では脳内出血との鑑別が容易であるが、脳梗塞と誤診されるケースもあるので、必ず造影検査(<図表>)を行うべきである。CTで脳転移の診断がついたら、治療方針を決めるために造影MRIを行う。CTを行わず、MRIのみでもよい。
○ 造影剤に対するアレルギー反応の既往歴のない場合は、単純・造影両方の検査を行う。

薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 片山志郎 以下、林太祐、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、
著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
※薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、エルゼビアジャパン編集部によって記載日時にレセプトチェックソフトなどで確認し作成しております。ただし、これらの記載は、実際の保険適用の査定において保険適用及び保険適用外と判断されることを保証するものではありません。また、検査薬、輸液、血液製剤、全身麻酔薬、抗癌剤等の薬剤は保険適用の記載の一部を割愛させていただいています。
(詳細はこちらを参照)

改訂のポイント:
  1. NCCN Clinical Practice Guidelines in Oncology:Central Nervous System Cancers, Version 1.2018
  1. JCOG0504試験結果
に基づき改訂、およびエビデンスの変更を行った。


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