腸閉塞(イレウス) :トップ    
監修: 杉原健一 東京医科歯科大学大学院
古畑智久 聖マリアンナ医科大学東横病院 消化器病センター 消化器・一般外科

概要

疾患のポイント:
  1. 腸閉塞(イレウス)とは腸管内腔の閉塞や腸管運動障害により腸管内容の通過が障害された状態である。
  1. イレウスはその病態によって、機械的イレウスと機能的イレウスに分類される。
  1. 機械的イレウスには、血流障害を伴わない単純性イレウスと血流障害を伴う複雑性(絞扼性)イレウスがある。機能的イレウスは、麻痺性イレウスと痙攣性イレウスがある。
  1. イレウスの病態による分類:<図表>
  1. 複雑性(絞扼性)イレウスは、重症度が高く、緊急性の高い病態である。診断のアルゴリズムに従って、どのイレウスに分類されるかを早期に決定することが重要である。
  1. イレウス診断のアルゴリズム:アルゴリズム
 
診断: >詳細情報 
  1. イレウスを想起した場合、まず行うべき検査は血液・生化学検査、腹部単純X線検査である。 腹部単純X線写真にて、腸管の拡張とニボーの出現が機械的イレウスの典型的な所見である。
  1. 機械的イレウスの腹部単純X線:<図表>
  1. イレウスの診断後、機械的イレウスの原因となる閉塞機転の検索や血流障害を伴う複雑性イレウスの鑑別にできるだけ早期に腹部造影CTを行う( エビデンス )。生化学検査では、複雑性イレウスでは、白血球、CRP、LDH、CPKの上昇を認めることがある。 また、bacterial translocationや敗血症の評価のために、血液細菌培養、血漿プロカルシトニン検査を行う。
 
治療: >詳細情報 

評価・治療の進め方

※選定されている評価・治療は一例です。症状・病態に応じて適宜変更してください。

発症までの経過、症状の程度を把握するための検査例
  1. 初診時だけでなく、経時的にその変化を把握することが重要である。
○ 腸閉塞を疑う場合、下記の問診、腹部診察は必須である。

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薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 片山志郎 以下、林太祐、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、
著者により作成された情報ではありません。
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※薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、エルゼビアジャパン編集部によって記載日時にレセプトチェックソフトなどで確認し作成しております。ただし、これらの記載は、実際の保険適用の査定において保険適用及び保険適用外と判断されることを保証するものではありません。また、検査薬、輸液、血液製剤、全身麻酔薬、抗癌剤等の薬剤は保険適用の記載の一部を割愛させていただいています。
(詳細はこちらを参照)

イレウス診断のアルゴリズム
機械的イレウスの治療アルゴリズム
機能的イレウスの治療アルゴリズム
イレウスの病態による分類
機械的イレウスの腹部単純X線
腸重積による機械的イレウスのCT画像
鼠径ヘルニア嵌頓による機械的イレウス
小腸造影(機械的イレウスの所見)
麻痺性イレウスの腹部単純X線検査
Closed loop obstruction
著者校正/監修レビュー済
2017/02/28

編集部編集コンテンツ:
 
関連する医療事故:
  1. 開腹術後の腸に関する合併症は重篤な転帰をたどることを十分に理解し、全身状態の小さな変化も見逃さないように注意する:
  1. 事例:子宮頸癌のため広汎子宮全摘術が施行された。
術後2日目、嘔吐を頻繁に繰り返したため担当医の指示でパントールが投与された。術後4日目、38℃を超える発熱とCRP35.2と急上昇を認め、造影CTにより麻痺性イレウスと診断された。
術後7日目、消化器外科へ紹介された。造影CTにより絞扼性イレウスによる腸管虚血部位の消化管穿孔と診断され、回盲部切除術、腹腔内洗浄ドレナージ術、回腸人工肛門造設術、結腸粘液瘻造設術が施行された。(詳細情報ページ:医療事故情報 詳細表示
  1. 腸閉塞の可能性がある症例では、やむを得ず大腸内視鏡検査を行う際には事前に可能な限りCT等で評価を行う:
  1. 事例:下血を認める患者で、下剤投与後に十分な排便がないにもかかわらず、大腸内視鏡検査を施行した。施術中に大腸穿孔を起こし、緊急手術を行ったが、多臓器不全や敗血症で死亡。遺族が訴訟。大腸内視鏡検査施術時に送気をした結果、腸閉塞を起こしていた腸内の圧力がさらに高まり大腸穿孔をおこした可能性が有るとされている。


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