今日の臨床サポート 今日の臨床サポート

著者: 鈴木央 鈴木内科医院

監修: 市橋亮一 総合在宅医療クリニック

著者校正/監修レビュー済:2024/10/31
参考ガイドライン:
  1. 日本緩和医療学会:
・がん疼痛の薬物療法に関するガイドライン(2020版)
・苦痛緩和のための鎮静に関するガイドライン(2010版)
・がん患者の治療抵抗性の苦痛と鎮静に関する基本的な考え方の手引き(2023年版)
・がん患者の消化器症状の緩和に関するガイドライン(2017年版)
・がん患者の呼吸器症状に関するガイドライン(2016年版)
・終末期がん患者の輸液療法に関するガイドライン(2013版)
  1. 日本ペインクリニック学会:がん性痛に対するインターベンショナル治療ガイドライン2014
  1. MEMBERS OF THE TASK GROUP FOR THE CLINICAL GUIDELINE FOR CANCER PAIN MANAGEMENT:癌疼痛の薬理学的管理のための臨床ガイドライン 日本緩和医療学会の勧告 Japanese Journal of Clinical Oncology (0368-2811/1465-3621)43巻9号 896-909,2013
  1. 厚生労働省:人生の最終段階における医療の決定プロセスに関するガイドライン(平成30年3月改訂)2018
  1. WHOガイドライン 成人・青年における薬物療法・放射線治療によるがん疼痛マネジメント(2021)
患者向け説明資料

改訂のポイント:
  1. 『がん患者の治療抵抗性の苦痛と鎮静に関する基本的な考え方の手引き(2023年版)』について追記した。
  1. 本手引きでは鎮静の是非という視点ではなく、治療抵抗性の耐えがたい苦痛が生じたときにどのように対応するかということに重点が置かれている。このため成人がん患者に治療抵抗性の耐えがたい苦痛が生じた場合のフローチャートをより詳しいものとし、そのフローチャートに沿って対応することで、その場合の道筋を示したものとなっている。本項ではフローチャートに沿って筆者の経験も含めて解説した。

概要・推奨   

  1. がんの緩和ケアは、患者の約70%に出現する疼痛をはじめとした、さまざまな身体症状、精神症状、社会的な問題、実存的な問題をすべて扱う全人的なものである。
  1. 在宅で行う緩和ケアは、症状緩和を中心とした緩和医療と、終末期に生じるさまざまな問題を対象としたホスピスケアの2つの中心がある。
  1. 在宅緩和ケアの多くの場合は、身体機能が低下し通院不可能となった時点で導入されることが多い。がんの場合は、予後が限られている場合も多いので、さまざまな支援を速やかに行っていく必要がある。
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まとめ 

まとめ  
がんの緩和ケア(在宅医療):
  1. がんの緩和ケアは、疼痛をはじめとした、さまざまな身体症状、精神症状、社会的な問題、実存的な問題をすべてに対処する全人的なアプローチである。
  1. 在宅で行う緩和ケアは、症状緩和を中心とした緩和医療と、終末期に生じるさまざまな問題を対象としたホスピスケアの2つの中心がある。
 
緩和医療:
  1. 在宅緩和ケアの多くの場合は、身体機能が低下し通院不可能となった時点で導入されることが多い。がんの場合は、予後が限られている場合も多いので、さまざまな支援を速やかに行っていく必要がある。
  1. 疼痛はWHO方式を用いて緩和する。
 
疼痛のケア: >詳細情報 
  1. 疼痛医療の基本は在宅も通院医療も変わらない。下記のWHO方式を用いて緩和する。
  1. できるだけ経口薬を選択する(by the mouth)(ただし、病状が進行すると経口投与が困難となることも少なくないため、貼付薬、坐薬、持続皮下注射などの経口以外の投与経路も考えておく必要がある)。
  1. 痛みが起きる前に定期的に使用する(by the clock)。
  1. 強い痛みには強い鎮痛薬を使用し、弱い痛みには弱い鎮痛薬を使用する。
  1. WHO3段階除痛ラダーは2018年改訂で削除されたが基本的な考え方として巻末に記載されている:<図表>
  1. それぞれの患者ごとに投与量を調整する(for the individual)。
  1. 副作用対策、レスキューの設定、鎮痛補助薬の投与などの細かい設定を行う(with attention to detail)。
 
オピオイド開始用量と用量調節、副作用のコントロール: >詳細情報 
  1. オキシコドン(オキシコンチンなど)の場合、10~20 mg/日を目安とする(推奨度1)
  1. オキシモルフォンの場合は4~6 mg/日を目安とする(推奨度1)
  1. フェンタニルパッチ(デュロテップ、フェントス、ワンデュロなど)を使用する場合(推奨度2)は、モルヒネ、オキシコドン、ヒドロモルフォンで用量設定(タイトレーション)を行ってからフェンタニルパッチに変更するとされていたが、近年フェンタニルテープ(1日製剤)0.5 mgから開始すれば、最初からフェンタニルでタイトレーションを行うことが可能となった。フェンタニル貼付薬は血中濃度が安定するのに7日間程度かかるため、急な増量には注意する。
  1. モルヒネ(モルヒネ塩酸塩錠、カディアンなど)の場合、20~30 mg/日を目安とする(推奨度2)
  1. オピオイド使用時は、必ず便秘対策、嘔気対策を併用する。初期には痛みがあれば50%を目安に増量する。
  1. がん性疼痛に保険適用がないトラマドール(トラマール、ワントラム)も慢性疼痛という病名で400 mg程度(有効限界)までは使用可能である。
 
レスキュー指示: >詳細情報 
  1. 突発痛(breakthrough pain)に対してのレスキュー指示を必ず行う。レスキュードーズは、経口薬の場合は、1日投薬量の1/8~1/4、1/6が目安といわれている。
  1. 同じオピオイドで、速放性製剤を使用する。
  1. オキシコドン(オキノーム)(推奨度1)、ヒドロモルフォン(ナルラピド)(推奨度1) 、フェンタニル(イーフェンバッカル、アブストラル)(推奨度1)、モルヒネ塩酸塩(オプソなど)(推奨度2)など
  1. 持続注射の場合1~2時間分の用量をボーラス投与する。患者自己調節鎮痛法(patient controlled analgesia:PCA)機能が付属しているデバイスを選択する(患者がPCAボタンを押すと1時間分の薬液が自動的に追加投与される)。
 
オピオイドスイッチング: >詳細情報 
  1. ときにはオピオイドを変更する(オピオイドスイッチング)が必要になることもある。: >詳細情報 
  1. フェンタニルパッチ(デュロテップ、フェントス、ワンデュロなど)の使用中に呼吸困難出現した場合:
  1. ヒドロモルフォン(推奨度1)、モルヒネ(推奨度1)に変更を検討する。
  1. モルヒネ(モルヒネ塩酸塩錠、カディアンなど)の使用中に神経障害性疼痛が増悪した場合:
  1. オキシコドン(推奨度1)、タペンタドール(推奨度1)に変更を検討する。あるいはメサドン(推奨度2)の追加を検討する(在宅での開始は不可)。
  1. オキシコドン(オキシコンチンなど)の使用中に経口服薬困難な状態になった場合:
  1. フェンタニルパッチに変更を検討する(推奨度1)(オキシコドン(オキファスト)、ヒドロモルフォン(ナルベイン)持続皮下注:推奨度1という方法もある)。
  1. 鎮痛薬としての作用は、オキシコンチン40 mg/日≒ヒドロモルフォン(ナルサス)12 mg/日≒フェンタニルパッチ25μg/h≒経口モルヒネ60 mg/日などの用量が同等の鎮痛効果と考えられている。(他の用量: >詳細情報 )
  1. 持続皮下注射・皮下輸液: >詳細情報 
  1. 薬剤が経口から服薬できなくなったときの選択肢の1つで、シリンジポンプ、ディスポーザブルポンプなどを用いて、オピオイド(モルヒネ、フェンタニル、オキシコドン、ヒドロモルフォン)、ミダゾラム(ドルミカム)などの薬剤を少量ずつ持続的に皮下注射することである。多くは胸壁皮下に27G翼状針にて留置。エクステンションチューブでデバイスと接続する。
  1. 痛みが強くなったときのために、PCAボタンを備えているデバイスが望ましい(推奨度1)
 
鎮痛補助薬:
  1. 神経障害性疼痛には鎮痛補助薬を投与する: >詳細情報 
  1. 気持のつらさへの対応: >詳細情報 
  1. がん患者ではしばしば抑うつ状態や不安状態になるケースが存在するが、在宅で投薬を要するケースは入院と比較すると少ない。
  1. SSRI単独が使用しやすいが効果発現がやや遅いため、三環系抗うつ薬を使用することがある。2週間程度で効果が出ることが多い。
  1. スピリチュアル・ケア: >詳細情報 
  1. 霊的疼痛(キリスト教では人間を肉と霊に分けるが、この霊の部分の痛み)、実存的疼痛(人生の意味を見失う)などと訳される。
  1. 神経障害性疼痛: >詳細情報 
  1. ガバペンチン(ガバペン)、プレガバリン(リリカ)(推奨度1)、ミロガバリンベシル(タリージェ)、ケタミン(ケタラール)、リドカイン(キシロカイン)、イミプラミン(トフラニール)、デュロキセチン(サインバルタ)(推奨度1)などを用いる。プレガバリン、デュロキセチンは神経障害性疼痛に保険適用されている。
  1. 骨転移への対応: >詳細情報 
  1. 骨転移痛への緩和医療の第1選択は放射線療法である。放射線のみで緩和することが困難な痛みの場合、NSAIDsをよりシャープな薬剤に変更するとうまくいくことがある。(例:セレコキシブ(セレコックス)→ジクロフェナクナトリウム(ボルタレンSR))
  1. ほかに、アセトアミノフェン(カロナール)、ビスホスホネート(ゾメタ、アレディア)(推奨度1)、デノスマブ(ランマーク)(推奨度1)、塩化ストロンチウム(メタストロン)(推奨度2)を用いるときもある。ビスホスホネート、デノスマブを使用する際は顎骨壊死発症の可能性があるため、歯科的口腔衛生に努める。
  1. 腸閉塞への対応: >詳細情報 
  1. 症状、診察所見、エコー所見なので腸閉塞の診断を行い、オクトレオチド(サンドスタチン持続皮下注)などを用いることがある(推奨度1)
  1. 呼吸困難への対応: >詳細情報 
  1. 呼吸困難への対応はMST(モルヒネ:Morphine、ステロイド:Steroid、抗不安薬:Tranquilizer)療法と呼ばれる方法と、酸素投与を組み合わせて行う。近年ではモルヒネの代わりにヒドロモルフォン(ナルベイン)を使用することが増えた。
  1. 食欲不振、全身倦怠感への対応: >詳細情報 
  1. ステロイドの使用を考慮する(推奨度1)。食欲不振、全身倦怠感などの改善、脳転移時の脳浮腫の低減目的で用いられることがある。
 
ホスピスケア: >詳細情報 
  1. 在宅における緩和ケアは、本人とその家族を対象にする。特に家族ケアはホスピスケアのなかで重要なテーマの1つである。
  1. 入院して行う緩和ケア以上に、在宅では全人的なアプローチを行いやすくなる。在宅医、訪問看護師、ケアマネジャー、薬剤師、歯科医師、バックアップを行う病院をコアとしたケアチームの間で情報共有することが重要な意味を持つ。
 
臨床のポイント:
  1. がんの緩和ケアは、患者の約70%に出現する疼痛をはじめとした、身体症状、精神症状、社会的な問題、実存的な問題をすべて扱う全人的なものである。在宅で行う緩和ケアは、症状緩和を中心とした「緩和医療」と、終末期に生じる問題を対象とした「ホスピスケア」の2つの中心がある。在宅緩和ケアは本人と家族を対象にする。
  1. 在宅緩和ケアは、身体機能が低下した時点で導入されることが多い。がんの場合は予後が限られている場合も多いので支援を速やかに行う。疼痛はWHO方式を用いて緩和する。
  1. 在宅医、訪問看護師、ケアマネジャー、薬剤師、歯科医師、バックアップを行う病院をコアとしたケアチームの間で情報共有する。
  1. バックアップ病院連携は、在宅での状況を共有しながら進めていくと、スムーズな緊急対応が可能である。可能な限り退院時カンファレンスを行い、連携体制を確認する。
  1. 今後症状がどのように変化するかの予測を常に行っていくことが重要である。予測に応じて対応策を、本人とその家族を交えて考えておくことが望ましい。
  1. 可能であれば、患者が通院可能な時期から信頼関係を築き、今後の望み:アドバンス・ケア・プランニング(Advance Care Planning:ACP、延命を希望するか、最期の時は病院に入院するか、自宅で過ごすか等)を聞いておくことが望ましい。その際には、穏やかな環境の中でどのような支援が可能かを説明しながら、聞き出すことが望まれる。望みは病状や環境によって変化し得る。その時々の望みに寄り添い対応する。
問診・診察のポイント  
痛みの診察: >詳細情報 
  1. 痛む場所の確認:画像検査との対比、骨転移( >詳細情報 )、がん性腹膜炎、がん性胸膜炎の存在

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薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 伊勢雄也 以下、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光および日本医科大学多摩永山病院 副薬剤部長 林太祐による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
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尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
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著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
鈴木央 : 特に申告事項無し[2024年]
監修:市橋亮一 : 特に申告事項無し[2024年]

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がんの緩和ケア(在宅医療)

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