今日の臨床サポート 今日の臨床サポート

著者: 松本公一 国立成育医療研究センター 小児がんセンター

監修: 五十嵐隆 国立成育医療研究センター

著者校正/監修レビュー済:2022/06/23
参考ガイドライン:
  1. 日本小児血液がん学会:小児がん診療ガイドライン2016年版
患者向け説明資料

改訂のポイント:
  1. 定期レビューを行い、参考文献の見直し、高リスク治療、再発後治療等について追加記載した。
  1. 日本でも抗GD2抗体による免疫療法が使用可能となったため、追加記載した。

概要・推奨   

  1. 神経芽腫の診断および治療は、小児腫瘍の診療に習熟した小児科医、小児外科医、病理医、放射線科医の協力のもとで行われるべきである(推奨度1)
  1. 神経芽腫の予後因子として、病期分類、発症年齢、病理分類、腫瘍細胞の生物学的特性が重要である(推奨度1)
  1. 低リスク群に対する治療は基本的には手術のみであるが、症例に応じて化学療法と放射線療法を併用する(推奨度1)
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病態・疫学・診察 

疾患情報(疫学・病態)  
  1. 胎児期の神経堤由来の副腎あるいは交感神経節に発生する悪性腫瘍である。約65%が腹部に発生し、その半分が副腎に発生する[1]
 
神経芽腫の臨床症状

神経芽腫は副腎や交感神経節に発症する。後腹膜に発症し椎間孔から脊柱管内に進展したものは脊髄圧迫症状を認めることがある(dumb-bell type)。低リスク群の腫瘍は被膜に覆われ安全に摘出される可能性が高いが、高リスク群では周囲組織に浸潤することが多く、全摘出は不可能となる。血行性にリンパ節や骨髄に転移することが多い、病期MSでは肝臓に転移することが特徴である。

出典

John M Maris
Recent advances in neuroblastoma.
N Engl J Med. 2010 Jun 10;362(23):2202-11. doi: 10.1056/NEJMra0804577.
Abstract/Text
PMID 20558371
 
  1. 小児悪性固形腫瘍のなかでは脳腫瘍に次いで多く、日本において年間130人程度(小児がん全体の6%)の新規患者が発生している[1][2]
  1. 発症年齢では0歳児が最も多く、3歳児に第2のピークがある二峰性の分布を示す[1]
  1. 1歳未満の乳児では発症し自然退縮する症例がある[3][4]
  1. 神経芽腫の約70%は診断時に遠隔転移が認められる[1]
  1. 病期分類、発症年齢、病理分類、腫瘍細胞の生物学的特性(MYCN遺伝子の増幅(図<図表>、11番線染色体長腕の異常、DNA ploidy)が予後因子として重要である[1][5]
  1. 予後因子によって、低リスク(極低リスク、低リスク)群、中間リスク群、高リスク群の3群に分類され層別化治療が行われている[1][5]
  1. 5年生存率は低リスク群で約90%以上、中間リスク群では約70~90%であるが、高リスク群では大量化学療法を含む集学的治療が行われるにもかかわらず50%未満と予後不良である[1][5]
問診・診察のポイント  
  1. 初発症状は原発部位と転移部位によってさまざまで、発熱、全身倦怠感、腹部膨隆、ホルネル症候群(患側の縮瞳、眼瞼下垂、発汗異常)、眼球突出、骨痛などがある[1]
  1. 乳児期の病期MSの症例では、肝腫大による腹部膨満と呼吸障害が特徴的である[1][3]
  1. 交感神経節に発生し脊柱管内に進展するダンベル型(dumb-bell type)では、下肢麻痺や膀胱直腸障害が唯一の初発症状となる場合があり、早期診断のうえで注意を要する[1]
  1. まれに眼球運動障害と小脳失調を呈するオプソクローヌス・ミオクローヌス症候群(opsoclonus-myoclonus syndrome)を認める場合がある[1][6]

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著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
松本公一 : 特に申告事項無し[2025年]
監修:五十嵐隆 : 特に申告事項無し[2025年]

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神経芽腫(小児科)

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