今日の臨床サポート 今日の臨床サポート

著者: 梶大介 虎の門病院 血液内科

監修: 高野利実 がん研有明病院 乳腺内科

著者校正/監修レビュー済:2024/12/25
参考ガイドライン:
  1. 日本臨床腫瘍学会:腫瘍崩壊症候群(TLS)診療ガイダンス 第2版
  1. Guidelines for the management of pediatric and adult tumor lysis syndrome:an evidence-based review. (J Clin Oncol 2008 Jun 1;26(16):2767-78)
患者向け説明資料

改訂のポイント:
  1. 定期レビューを行い、典型例および難渋例の症例について追加した。
  1. 難渋例では急性呼吸促迫症候群を来した例を解説した。詳しくは本文を参照されたい。

概要・推奨   

  1. 大量補液は腫瘍崩壊症候群の予防に際して必須であり、特に中等度以上のリスクの腫瘍崩壊症候群において推奨される(推奨度1、G)
  1. 遺伝子組み換え尿酸分解酵素製剤であるラスブリカーゼの安全性、有効性が証明されている。ラスブリカーゼは、特に腫瘍崩壊症候群を起こすリスクが高度の群において化学療法の4時間前に投与することが推奨される(推奨度1、Rs)
  1. ラスブリカーゼの投与期間についての規定はなく、投与期間を決める基準を必要としている(推奨度1、R)
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病態・疫学・診察 

疾患情報(疫学・病態)  
  1. 腫瘍崩壊症候群(tumor lysis syndrome、TLS)とは、腫瘍細胞の崩壊に伴い、高尿酸血症、高カリウム血症、高リン血症、低カルシウム血症などを来す結果、急性腎不全、不整脈、けいれん、多臓器不全などを引き起こす緊急性を要する疾患である。
  1. 腫瘍崩壊症候群の診断基準として、Cairo-Bishopによる分類が使われることが多く、検査学的腫瘍崩壊症候群と臨床的腫瘍崩壊症候群がある[1]
  1. Cairo-Bishopによる診断基準に加え、重症度分類もある。
  1. 検査学的腫瘍崩壊症候群の定義(Cairo-Bishop):<図表>
  1. 臨床的腫瘍崩壊症候群の定義およびGrade分類(Cairo-Bishop):<図表>
  1. Burkittリンパ腫などの高悪性度リンパ腫や、急性リンパ芽球性白血病に対して化学療法施行した際に、特に生じやすい。
  1. 治療介入をしていなくても増殖能の高い腫瘍では自然に生じることがある。造血器腫瘍で生じることが多いが、増殖速度が速く、腫瘍量が多い、化学療法に感受性が高い固形腫瘍でも、生じることがある。
  1. 造血器腫瘍の中で、腫瘍崩壊症候群の低リスクあるいは中等度リスク群に相当した多発性骨髄腫や慢性リンパ性白血病などに対する新規薬剤が近年使用されるようになったため、使用する薬剤に応じての腫瘍崩壊症候群のリスク分類が新たに導入された[2]
問診・診察のポイント  
  1. 基礎疾患として悪性腫瘍を有しているかを確認する。

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薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 伊勢雄也 以下、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光および日本医科大学多摩永山病院 副薬剤部長 林太祐による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、 著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
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(詳細はこちらを参照)
著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
梶大介 : 講演料(ヤンセンファーマ(株))[2024年]
監修:高野利実 : 講演料(第一三共(株),イーライリリー)[2024年]

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