今日の臨床サポート 今日の臨床サポート

著者: 高橋長久 心身障害児総合医療療育センター

監修: 五十嵐隆 国立成育医療研究センター

著者校正/監修レビュー済:2024/05/01
参考ガイドライン:
  1. 小児神経学会:熱性けいれん(熱性発作)診療ガイドライン2023
  1. 小児神経学会:小児てんかん重積状態・けいれん重積状態治療ガイドライン2023
患者向け説明資料

改訂のポイント:
  1. 『熱性けいれん(熱性発作)診療ガイドライン2023』、『小児てんかん重積状態・けいれん重積状態治療ガイドライン2023』の発刊に伴い改訂を行なった。
  1. 脳波検査異常に対して治療を開始することの臨床意義は確立していないことについて追記した。
  1. 予防投与について以下の追記を行った。
  1. 以前は抱水クロラール(エスクレ坐剤)が使用されていた時期もあるが、現在の熱性けいれんガイドラインでは予防投与の項目に記載はない。
  1. 抗てんかん薬の継続的内服を考慮するケースを追記した。
  1. その他既存の解説について表現の見直しや詳細な数値の追記、整理などを行った。

概要・推奨   

  1. 生後6カ月から満60カ月ころに好発する。
  1. 再発率は約30%以下であり、てんかん発症のリスクは90%以下である。
  1. 単純型熱性けいれんを起こした小児に対して脳波検査をルーティンに行う必要はない
アカウントをお持ちの方はログイン
  1. 閲覧にはご契約が必要となります。閲覧にはご契約が必要となります。閲覧にはご契約が必要となります。閲覧にはご契約が必要となりま
  1. 閲覧にはご契約が必要となります。閲覧にはご契約が必要となり

病態・疫学・診察 

疾患情報(疫学・病態)  
  1. 熱性けいれんは生後6カ月から満60カ月ごろに好発する38℃以上の発熱に伴う発作性疾患(けいれん性、非けいれん性を含む)である。
  1. けいれんが持続している場合には救急疾患であり、まずはけいれん頓挫に努めなければならない。
  1. 単純型熱性けいれんと複雑型熱性けいれんに分けられる。
  1. 複雑型熱性けいれんは①焦点発作(部分発作)、②15分以上持続する発作、③同一発熱機会の複数回反復する発作の要素をひとつ以上もつものとされ、いずれにも該当しないものを単純型という。
  1. 熱性けいれんにおいて長時間持続する発作、または複数の発作でその間に脳機能が回復しないものを重積状態と呼ぶ。
  1. 強直間代性の発作であれば、発作が5分以上持続する場合を薬物治療の開始を考慮すべきとされている。
  1. 発症率は3.4~9.3%という報告がある。欧米に比して日本人では多い。
  1. 家族性に出現率が高いことが知られており遺伝的な関与が示唆されている。遺伝子異常(SCN1A、SCN1B、GABRG2)がみられるが、6割以上で単一遺伝子の異常がみられない。
  1. けいれん重積を除いて、けいれんそのものには治療は必要ではない場合が多い。
  1. 再発率は30%以下であることが知られている。
  1. てんかん発症のリスクは2.0~7.5%程度であり、一般人口における発症率(0.5~1.0%)に比して高いが、保護者への説明においては90%以上が発症しないことの理解を促すように努める。
  1. 再発を繰り返す場合は、予防が必要な場合がある。
  1. 運動発達および知的発達の予後は良好である。
  1. 現行の予防接種はすべて接種して良い。最終発作からの期間に関わらず速やかに接種してよい。
 
  1. 脳波検査異常に対して治療を開始することの臨床意義は確立していない。(参考文献:[1]
  1. 脳波検査でてんかん放電の有無がその後の熱性けいれんの再発やてんかん発症の有無とかんれんしないという報告がされたが、近年いくつかの報告がされている。
  1. 脳波でてんかん放電がみられた場合とみられなかった場合てんかん発症に有意差があり、脳波異常を伴う場合にはてんかん発症の割合が高いという報告がある。
  1. 前頭部のてんかん放電とてんかん発症と関連するという報告や、焦点性の脳波異常はてんかんの予測因子となると報告がある。
  1. 熱性けいれん患児においててんかん性放電がみられた場合でも、のちにてんかんと診断される割合はおおむね、数%程度から30%程度であり、てんかん放電がみられてもてんかんを発症しない例が多くみられると想定される。
  1. 熱性けいれん重積の患者に1週間以内に脳波検査を実施した研究があるが、いずれも30%程度の患者に局所的な脳波異常(徐波やてんかん性放電)を伴ったと報告しているが、てんかん発症に関して言及はされていない。
  1. 反復して脳波検査を行うことが有用であるという報告や予後予測には発作後7日以降に脳波検査を施行することが有用とする報告もある。
  1. 一方で米国小児科学会は2011年のガイドラインの改訂でも「神経学的に正常な単純型熱性けいれんの児童には脳波検査をするべきではない」と明言している。
 
問診・診察のポイント  
  1. まずは意識状態の確認が重要である。けいれんが持続していればまずけいれんを頓挫させることを優先する。

これより先の閲覧には個人契約のトライアルまたはお申込みが必要です。

最新のエビデンスに基づいた二次文献データベース「今日の臨床サポート」。
常時アップデートされており、最新のエビデンスを各分野のエキスパートが豊富な図表や処方・検査例を交えて分かりやすく解説。日常臨床で遭遇するほぼ全ての症状・疾患から薬剤・検査情報まで瞬時に検索可能です。

まずは15日間無料トライアル
本サイトの知的財産権は全てエルゼビアまたはコンテンツのライセンサーに帰属します。私的利用及び別途規定されている場合を除き、本サイトの利用はいかなる許諾を与えるものでもありません。 本サイト、そのコンテンツ、製品およびサービスのご利用は、お客様ご自身の責任において行ってください。本サイトの利用に基づくいかなる損害についても、エルゼビアは一切の責任及び賠償義務を負いません。 また、本サイトの利用を以て、本サイト利用者は、本サイトの利用に基づき第三者に生じるいかなる損害についても、エルゼビアを免責することに合意したことになります。  本サイトを利用される医学・医療提供者は、独自の臨床的判断を行使するべきです。本サイト利用者の判断においてリスクを正当なものとして受け入れる用意がない限り、コンテンツにおいて提案されている検査または処置がなされるべきではありません。 医学の急速な進歩に鑑み、エルゼビアは、本サイト利用者が診断方法および投与量について、独自に検証を行うことを推奨いたします。
薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 伊勢雄也 以下、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光および日本医科大学多摩永山病院 副薬剤部長 林太祐による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、 著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
※同効薬・小児・妊娠および授乳中の注意事項等は、海外の情報も掲載しており、日本の医療事情に適応しない場合があります。
※薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、エルゼビアジャパン編集部によって記載日時にレセプトチェックソフトなどで確認し作成しております。ただし、これらの記載は、実際の保険適応の査定において保険適応及び保険適応外と判断されることを保証するものではありません。また、検査薬、輸液、血液製剤、全身麻酔薬、抗癌剤等の薬剤は保険適応の記載の一部を割愛させていただいています。
(詳細はこちらを参照)
著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
高橋長久 : 特に申告事項無し[2025年]
監修:五十嵐隆 : 特に申告事項無し[2025年]

ページ上部に戻る

熱性けいれん(小児科)

戻る