IgA腎症(小児科) :トップ    
監修: 五十嵐隆 国立成育医療研究センター
小椋雅夫 国立成育医療研究センター 腎臓・リウマチ・膠原病科

概要

疾患のポイント:
  1. IgA腎症は、わが国では成人・小児ともに最も頻度の高い慢性糸球体腎炎であり、病理組織学的には、糸球体のメサンギウム細胞の増殖、基質の増生を来し、蛍光抗体染色でメサンギウム領域や血管係蹄にIgAが顆粒状に沈着するのが特徴である。
 
診断: >詳細情報 
  1. 学校検尿で血尿と蛋白尿の両方を呈する場合は、慢性糸球体腎炎を考慮する。そして、その原因として特に思春期で最も頻度の高い慢性糸球体腎炎はIgA腎症である。血尿はIgA腎症のほぼ全例で認められる。
  1. 確定診断は、病理組織学的診断による。以下の病理組織学的特徴を有し、臨床症状から他の腎炎を鑑別できる場合にIgA腎症と診断する。
  1. 光顕所見:巣状分節性~びまん性全節性のメサンギウム細胞の増殖および基質の増生。半月体形成を伴う場合もある。
  1. 蛍光抗体染色所見:メサンギウム領域を主としてIgAがびまん性に顆粒状に沈着する。IgG、C3にも沈着を伴う。
  1. 電顕所見:傍メサンギウム領域に高電子密度物質の沈着を認める。
 
重症度・予後: >詳細情報 
  1. 軽症例とは、1:軽度蛋白尿(早朝尿の尿蛋白/Cr<1.0)、かつ 2:中等度以上のメサンギウム増殖、半月体形成、癒着、硬化病変のいずれかの所見を有する糸球体が全糸球体の80%未満で、かつ 3:半月体形成のある糸球体が30%未満であるもの――である。軽症例に該当しないものは重症例である。
  1. 小児IgA腎症の長期予後は、成人と同様に不良であることがわかってきた。小児期発症のIgA腎症の予後は、15年で、治療により57%が正常化するが、残りの34%は血尿・蛋白尿が持続する。腎不全への進行は9%とされる。
 
治療:アルゴリズム  >詳細情報 
  1. 軽症例は、アンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACE阻害薬)であるリシノプリル0.4mg/kg 分1(最大20mg/日)、あるいは柴苓湯を体重に応じて1~3包を分2~3で内服する。治療期間は2年以上投与し、2年後に蛋白尿・血尿がともに消失していれば、薬剤の減量・中止を検討する。 エビデンス 

評価・治療の進め方

※選定されている評価・治療は一例です。症状・病態に応じて適宜変更してください。

初期治療例
  1. IgA腎症は、病理組織学的評価をもって確定診断とするため、腎生検は必須の検査である。
  1. また、病理組織学的重症度により治療方針も異なる。
○ IgA腎症を疑う場合は確定診断として腎生検による組織評価を行う。軽症例の場合、1)を第1選択とする。重症例の場合は2)3)あるいは4)~6)の4剤を併用する(カクテル療法)

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薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 片山志郎 以下、林太祐、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、
著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
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小児IgA腎症の治療の流れ
小児IgA腎症の治療(軽症例)
小児IgA腎症の治療(重症例)
著者校正/監修レビュー済
2016/09/02