今日の臨床サポート 今日の臨床サポート

著者: 張田豊 東京大学 生殖・発達・加齢医学専攻 小児医学講座

監修: 五十嵐隆 国立成育医療研究センター

著者校正/監修レビュー済:2025/02/26
参考ガイドライン:
  1. 日本小児腎臓病学会:小児IgA血管炎診療ガイドライン2023
  1. 日本皮膚科学会:皮膚血管炎・血管障害診療ガイドライン2023年改訂版
  1. 日本循環器学会、合同研究班参加学会:血管炎症候群の診療ガイドライン(2017年改訂版)
  1. Interventions for preventing and treating kidney disease in Henoch-Schönlein Purpura (HSP). Cochrane Database of Systematic Reviews 2023, Issue 2. Art. No.: CD005128.(https://www.cochranelibrary.com/cdsr/doi/10.1002/14651858.CD005128.pub4/epdf/full)
  1. KDIGO 2021 Clinical Practice Guideline for the Management of Glomerular Diseases(https://kdigo.org/wp-content/uploads/2024/05/KDIGO-2021-Glomerular-Diseases-Guideline_English_2024-Chapter-Updates.pdf)
  1. European consensus-based recommendations for diagnosis and treatment of immunoglobulin A vasculitis-the SHARE initiative. Rheumatology (Oxford). 2019 Sep 1;58(9):1607-1616.
  1. Guidelines on the Use of Therapeutic Apheresis in Clinical Practice - Evidence-Based Approach from the Writing Committee of the American Society for Apheresis: The Ninth Special Issue. Clin Apher. 2023 Apr;38(2):77-278.
患者向け説明資料

改訂のポイント:
  1. 『小児IgA血管炎診療ガイドライン2023』『皮膚血管炎・血管障害診療ガイドライン 2023』『Cochrane Database of Systematic Reviews 2023』『KDIGO 2021 Clinical Practice Guideline』を参照し、下記の点を加筆・修正した。
  1. 免疫抑制薬などの治療法に関するエビデンスを追加した。

概要・推奨   

  1. IgA血管炎は小児で最も頻度の高い全身性血管炎であり、皮膚・関節・腹部症状(腹痛)の3つを主徴とする。
  1. 紫斑病性腎炎(Henoch-Schoenlein Purpura Nephritis、HSPN)は、IgA血管炎に合併する腎炎である。
  1. プレドニゾロンはIgA血管炎の腎炎発症予防としての効果はなく、IgA血管炎発症早期の投与は長期の腎機能を改善しない(S/CS)。
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病態・疫学・診察 

疾患情報(疫学・病態)  
  1. IgA血管炎(血管性紫斑病、アレルギー性紫斑病、ヘノッホ・シェーンライン紫斑病)は小児に多い全身の毛細・細小血管の血管炎(<図表>)であり、皮膚・関節・腹部症状(腹痛)の3つを主徴とする。
  1. 紫斑病性腎炎(Henoch-Schoenlein Purpura Nephritis: HSPN)とは、IgA血管炎 の1症状としてみられる腎炎である。
 
IgA血管炎の皮膚の病理

フィブリノイド壊死を伴う表皮の血管炎

出典

McPherson: Henry's Clinical Diagnosis and Management by Laboratory Methods, 22nd ed.
 
  1. IgA血管炎では全例で下肢を中心に点状出血斑や紫斑を認める。そのほか関節痛(約40~70%)や腹部症状(50~90%)を合併する。関節痛や腹部症状は紫斑出現前に現れることがある。<図表>
 
IgA血管炎の発疹

皮膚の紫斑

出典

Kliegman RM, et al.: Nelson Textbook of Pediatrics, 19th ed. Saunders.2011
 
  1. 紫斑の発症前に上気道感染が先行する症例が多い。秋冬に多い傾向がある。
  1. 9割が小児であり、なかでも幼稚園から小学校低学年の小児に好発する。
  1. IgA血管炎の30%程度(15~50%)に腎炎を合併する。75~90%は紫斑出現後1カ月以内(多くは2週間以内)で、3カ月以降に腎炎を発症することはまれであるが、6カ月頃までは腎炎が発症し得る。
  1. 微小血尿のみを来すものから、半月体を形成し急性進行性糸球体腎炎(rapidly progressive glomerulonephritis:RPGN)を呈するものまで幅広い。腎炎の重症度が長期予後を左右する。
  1. 発症年齢が高い(9歳以上)、腹痛、反復する血管炎がある場合、などが紫斑病性腎炎発症のリスクファクターである[1]
  1. 年長児および成人の紫斑病性腎炎は重症例が多い傾向がある。
問診・診察のポイント  
  1. 紫斑病性腎炎は小児の二次性糸球体腎炎のなかで最も頻度が高く重要な疾患である。

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オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 伊勢雄也 以下、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光および日本医科大学多摩永山病院 副薬剤部長 林太祐による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
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尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
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(詳細はこちらを参照)
著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
張田豊 : 特に申告事項無し[2025年]
監修:五十嵐隆 : 特に申告事項無し[2025年]

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紫斑病性腎炎(小児科)

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