今日の臨床サポート 今日の臨床サポート

著者: 絹巻暁子 東京大学医学部小児科学教室

監修: 渡辺博 帝京大学老人保健センター

著者校正/監修レビュー済:2024/03/21
参考ガイドライン:
  1. 日本小児腎臓病学会:小児IgA血管炎診療ガイドライン2023
患者向け説明資料

改訂のポイント:
  1. 『小児IgA血管炎診療ガイドライン2023』に基づき改訂した。
  1. 重篤な皮膚症状に対する治療について加筆した。
  1. 非ステロイド性抗炎症薬の投与量に関して、年齢別ではなく体重当たりの用量に修正した。

概要・推奨   

  1. 腹部症状が強い患者には、ステロイド投与が推奨される(推奨度2)
  1. 関節症状が強い患者には、アセトアミノフェンあるいは非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)が推奨される(推奨度2)
  1. ステロイド投与は、その後の腹部症状や紫斑病性腎炎の発症率低下に寄与しないため、腹部症状や紫斑病性腎炎の発症予防目的で投与すべきではない(推奨度2)

病態・疫学・診察 

疾患情報(疫学・病態)  
  1. IgA血管炎とは、免疫学的反応に起因する全身性の小血管炎で、好発年齢は3~10歳、若干男児にやや多く(男女比1.5~2.0:1)、年間10万人あたり10~20人の罹患率である。季節的には冬季に多い。
  1. 組織学的には皮膚/関節/消化管/腎臓における小血管周囲の多核白血球を中心とした炎症性細胞浸潤と血管壁のIgA沈着が特徴的である。
  1. 明らかな病因は未だ明らかではない。
  1. 隆起性の紫斑、急性の腹部疝痛、生検組織での小動静脈血管壁の顆粒球の存在、年齢が20歳以下、の4項目のうち2つ以上を満たせば診断となる。同時に関節痛、糸球体腎炎を示唆する検尿所見などを伴えば、診断を支持する所見となる。
  1. 基本的には特別な薬物治療の必要性はなく、安静を保ち、症状に合わせた対症療法を行う。
  1. 一般的には予後良好だが、紫斑病性腎炎の合併が予後を左右するので、尿検査など注意深い経過観察が必要である。
  1. 20~55%で紫斑病性腎炎を合併するが、紫斑や腹痛などの全身症状から数週間~半年たって出現するため、一定期間のフォローアップが必要である。小児では腎機能障害の残存は4%に満たない(成人は20%)。
問診・診察のポイント  
  1. 1~2週間前に急性上気道感染症の既往を認めるものが約50%あるので、先行感染について問診する。

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オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 伊勢雄也 以下、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光および日本医科大学多摩永山病院 副薬剤部長 林太祐による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
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尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
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著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
絹巻暁子 : 特に申告事項無し[2025年]
監修:渡辺博 : 特に申告事項無し[2025年]

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IgA血管炎(小児科)

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